2013年9月10日火曜日

Vol.1158 百日紅 -6-67



楽しいコンペになるよ」
神山はそう言うと 次長席の引き出しを開け100万円分のGCを渡し
「今夜でも使ってよ 換金してもいいし ねっ」
「ありがとうございます 頂きます」

高橋孝一が深々とお辞儀をして部屋を出ると 入れ替わりにARXの
Jrと篠原涼子が次長室を尋ねてきた
「やあ どうしたの 連絡もなしに」
「うん 実は神山さんにプレゼントなんだ はいこれです」
Jrはゴルフクラブのセットを神山に渡した
「これはね 9月中旬か10月に販売する新しいモデルなんです 日本では
まだ手に入らないので 本国から送ってもらいました」
「へぇー 凄いな でもいいのかな 頂いても」
「ええ 大丈夫です 父からそう言われています」
「ありがとう 嬉しいな それで今使っているのと何処が違うの」
「うん スィートスポットが少しだけ広がった事と ピンで当てれば
今までのクラブより10%は遠くに飛ばせます 飛距離が伸びてます
もしかしたら 神山さんだともう少し伸びます アイアンはピンに
当てれば最低でも15%飛距離が伸びます」
「へぇー 凄いね」
「ええ シャフトが今までのと違い少し硬く感じると思いますよ
慣れるまで練習をしてください ははは」
「そうだね 漸く今のクラブに慣れてきたところです」
「うん 今のクラブが使いこなせれば 大丈夫 飛ぶよ 凄いです
本国のプロにも試し打ちをしてもらったが よく飛んで驚いていたよ
あとスィートスポットが広がったから ラフのときでも距離は出るよ」
「うん ありがとう 実は明日ゴルフなので 使わせてもらうよ」
「よかった 間に合ったんですね ははは」

神山はゴルフクラブを次長席に置くとクリスタルグラスの話をした
「実は確認をしたいんだが シドニーオリンピックの利用権は分かるが
今後のオリンピック 勿論 夏季 冬季と取得できるのかな」
「ええ 大丈夫です 本国ではもう2004年まで利用権を取得してます」
「ありがとう 大森さんも安心して仕事が出来ます それと 例えば
サッカーのワールドカップなどのグラスを作る場合 何か規制はある?」
「うん あれも利用権を取得すれば大丈夫 ただしあそこは少し高いね」
「って言うと」
「うん はっきりは聞いていないが 商品の5%とかを納めるんですよ」
「ふーん って事は4万円で2000円か 考えるね」
「ええ 商売が上手ですよ 飲料メーカーは上手にやってますけどね」
「ふーん 分かった でもさ 頭に入れておいて 大森さんもマシンを
買うそうだよ それも10台も」
「へぇー 10台もですか 凄いですね」
「うん 僕も驚いている ははは」
「神山さん 日本国内の販売ですが 各企業と契約しても 商品自体の
販売は来年お正月からでいいですか」
「うん?」
「ええ 本国でも販売したいし その他の国でも販売したいんです
でも数量が少ないと 輸送費ばかり経費がかさみます
あと 販売時期をあわせないと 逆にうちが突かれ 人気が無くなります」
「うん そうだね 分かりました それで戦略としてはセットはGOLから
それまではバラを販売するってどう?」
「ええ そうしましょう バラだと 結構飛びつきますよ」
「うん ありがとう では物流が年内されても 販売は元旦からにしよう」
「ええ そうしてください 本国でもそのように動いています
ルール違反をすると 私はクビです お願いします」
「了解 ありがとう」
「では 失礼します」
ARXJrと篠原涼子が部屋を出て行くと 神山は早速ニュークラブを
軽く素振りをした
「うんなかなかいい感じだ 少し硬いけれど この硬さは以前と同じかな」
「良かったわね ふふふ」

ひと段落してソファーで寛ぐと泰子から電話があった
「泰子でーす あと15分でビルに着きますよ」
「おう そうしたら下で待っています」
「はーい 了解です」
電話を切るとギフトカード3千万円分を引き出しからだし洋子に
「大きな封筒をください 3枚」
受け取ると1千万円分ずつ封筒にいれ ボストンバッグにしまった
「さあ 支度をして出ようか」
「はい 私はこのままで大丈夫よ」
二人が下に行くと泰子は車を降りて待っていた
「やあ お待たせ」