8月3日 月曜日 小雨
朝一番で銀行が現金を受け取りに来た
神山は一緒に銀行の大口預金の部屋で現金を数える所に立ち会った
「神山様 15億でございます 間違いありませんか」
神山が頷くと通帳記入がされ そのままスイス銀行へ18億を入金した
時計を見ると9時半になっていた
洋子に電話をして 15時頃次長室に入れる事を伝えた
蒼いBMWに乗ると首都高から東名高速に入り 御殿場ICでおり
駅前寿司屋には約束の時間よりも少し早く付いた
離れに入ると テーブルにはスケールモデルがおかれていた
「やあ 遅くなりました」
「ええ 済みません 突然お呼びたてしまして では説明をさせて頂きます」
基本的には前回の説明と変わらなかったが 亜矢子の部屋の西側にもう一つ
部屋が造られていた
「ここの部屋は将来的な部分で造られていますが 現状でもゲストルームで
充分使えるように設計しました」
「なるほど 廊下を挟んで部屋を増やしたわけですね」
「ええ 間口は桜川様のお部屋と同じですが 奥行きはキッチン部分まで
部屋になっていますので 相当広く取ってあります」
神山は問題ないと感じ 亜矢子に聞いてみた
「ええ 大丈夫です そうね 当分はゲストルームね ふふふ」
ゲストルームは亜矢子の部屋と同じ造りでバスルームも南側に設けられ
もう一家族住めるように造られていた
神山が頷くと勝又は見積書と前回支払った5千万円の領収書をテーブルに
置いた
「どうぞ桜川様 こちらが先日頂きました分の領収書です」
亜矢子は金額を確認するとバッグにしまった
神山は見積書を眺めてみると分かり易く書かれていた
「後は細かい所の変更で 多少の上下はありますがその都度金額提示を
させて頂きます ご安心ください」
「うん それで壁面のコンクリですが どうでしょうか 打ちっぱなしは」
「そうですね そうするとこの内装部分が減額になりますね」
「ええ その分他の建具などにお金を掛けられると思いますよ 室内も
打ちっぱなしにして そのかわり木目を明るくすれば違和感がなく
部屋全体が綺麗に仕上がりますよ ほらよくブティックなどで
展開している方法です」
「そうですね そうしましょう そうするとステンのヘアラインも
綺麗に映えてきますよね 分かりました」
「うん 大きな変更点はそのくらいかな 家具類ですが 既製品に色調を
併せることって大変ですかね」
「はい 大丈夫ですよ ただそこの工場で作りませんから 多少違いは
出てくると思いますが どのような家具ですか」
神山はメーカー名とシリーズ名を伝えると
「ああ あのシリーズですか 大丈夫ですよ 有名ですから 時々この様に
注文がございます 色だしは大丈夫ですよ」
「よかった あのシリーズで家具を新調しようと考えているんです
ただ母親の家具については現状かなと思っていますがね」
「そうですね 以前から使われている家具の方が馴染がありますからね」
「あとは 床ですが 桜川さんの部屋にも畳みスペースがあるといいかな
どうだろうか 亜矢子」
「そうね その方が落ち着く時があるわね」
「はい 大丈夫ですよ お母様の方は殆どが畳みです 桜川様のお部屋に
畳みスペースを設けるとすると どうでしょうか この部分に畳みは」
勝又が提案したのは南側のガラスに面している所に6畳のスペースを
設ける案だった
「ここですと 畳の脇にフローリングがあり ガラス面のところにも
余裕を持たせれば 畳が充分に生きて来ますよ」
その後も内装関係の詳細を打ち合わせをすると12時になっていた
「神山様 ありがとうございます それで躯体部分の金額は殆ど
変わりません 以前亜矢子様にお伺いした所ローンではなくて
一括現金とのお話でした で今回は躯体部分建築費用1億9千万円で
先に5千万円頂いています 残金1億4千万円の半分7千万円ですが
誠に申し訳ないのですが ここ1ヶ月の間にお支払いをお願い出来ますか」
「ははは 大丈夫ですよ ねえ亜矢子 全額でも払えるよね」
「ふふふ ええ ここ1週間のあいだに1億4千万円を振り込みますよ」
勝又は驚き丁寧にお辞儀をすると勝間田や部下達も丁寧にお辞儀をした
「空調器関係ですが メンテナンスを考慮して取り付けをしてくださいね」
「ええ 大丈夫です これだけ広いお部屋ですから 大店舗と同じように
躯体建築の時に組み込みます でないとランニングに経費がかさみます」
「そうですね でもボイラーは勘弁してくださいね」
「はい 今はもっと進んでいます ただしガスを直接引き込んだ方が
ランニングが安上がりなんですよ なので都市ガスの太いパイプを