「いいえ 今着いたばかりです あのぉーガソリンを入れていきたいわ」
「うん じゃ ついて来て 僕も入れるから」
神山は車をとりに地下駐車場にはいると ボストンバッグを積み発車した
「直ぐ傍だから」
神山の先導でガソリンを入れると銀座から首都高に入った
暫く泰子の運転をみていた神山は洋子に
「結構 大丈夫だね 安心したよ 上手だよ」
「そうね カーブも綺麗だし ふふふ元暴走族だったり」
「えっ そりゃないだろ 洋子だけで充分だよ ははは」
渋谷を抜け東名高速に入ると スピードを増したが泰子は離されない様
ついて来た
小田原で下りると南下して 一般道を走り熱海まえで伊豆山に入った
伊豆山 ホテル スキエを通り越すと 今夜のホテル 伊豆山ホテルに着いた
車止めで洋子を降ろすと 蒼いBMWを屋根つきの駐車場にしまった
フロントで宿泊手続きをしてTJカードを提示すると係員が丁寧に
お辞儀をして荷物をカーゴに乗せてくれた
部屋に着くと由紀枝が先に来ていて
「わぁー 早いですね 私 もう温泉に入ってきました」
「やあ 遅くなってゴメン そうか じゃ寛いだら温泉だ」
3人はホテルの浴衣に着替えると 缶ビールで乾杯した
「泰子の運転って 上手じゃないか 安心しました」
「うーん 上手と言われると恥ずかしいな でもありがとう ふふふ」
「な なんで恥ずかしいの?」
「ええ 昔乗っていたからです 暴走族じゃないわよ ふふふ」
「うん 暴走族は一人で良いよ ははは」
「ねえねえ神山さん 御殿場からここまで1時間も掛からないわよ
スピードを出しても全然平気だし 益々ファンになったわ」
「由紀枝も程ほどにね ほんと大丈夫かな」
神山はテラスに出てみると初島や大島が見えタバコをふかしていた
部屋に戻りみんなを温泉に誘ったが洋子だけは行くのをやめた
「じゃ 悪いけれど留守番をお願いします」
「はーい その間 その露天風呂に入っています」
「うん じゃいこうか」
神山と由紀枝 泰子の3人は天然温泉に入りにいった
男風呂に入ると神山一人で貸しきり状態だった
浴室の外にある大きな露天風呂にいくと海の向こうに初島が見え
柔らかい湯気のなかで疲れを癒した
サウナでたっぷりと汗を流すと体がスッキリとしシャキとなった
部屋に戻ると洋子しかいなく
「あれっ あの二人はまだ帰ってこないの?」
「ええ ゆっくりと入っているんでしょ きっと そうそうフロントから
電話で 夕食はステーキハウスで良いですかって聞いてきたわよ」
「そうか 宿泊者が少ないから会席料理が出来ないんだね きっと」
「へぇー 少ないのかしら」
「うん 駐車場もガラガラだったよ まあ本オープンは9月でしょ
仕方がないよ」
「そうね そうすると朝食は大丈夫かしら」
「うん 聞いてみて」
洋子がフロントに聞くと バイキングで用意してると言われた
「うん 赤沢と同じだね なにしろ種類が多くて美味しくて迷ってしまうな
そうか まだ行ったことが無いんだよね ごめんごめん」
「へぇー そんなに美味しいの へぇー行きたいなぁー」
「そうだ 車を買ったらお母さんを連れて行けば良いよ 喜ぶよ
夜は会席料理で美味しいしお風呂もここより迫力があるし」
「へぇー そうなの 早く終わらないかな 明日の朝だったら大丈夫かな」
「そうか 大丈夫だよ お客さんが少ないし」
「まあぁー そんな問題じゃないと思うけれど でもいいか ふふふ」
暫くすると由紀枝と泰子がキャッキャ話しながら戻ってきた
「お風呂がとても気持ちよくて 遅くなっちゃった ふふふ」
「ゆっくりだから 倒れているのかと思ったよ」
「大丈夫よ あーあ でも久しぶりにゆっくりだわ」
「さあ それでは夕食にいきましょうか 由紀枝 今日はねお客さんが
少ないのかレストランで会席料理ではなくて ステーキハウスを利用して
くださいだって」
「へぇー まあ 本格的には9月オープンだから仕方がないわね」
4人は浴衣姿でレストランの隣にあるステーキハウスにはいった
受付で部屋のカードを見せると窓際の席に案内された
窓からはまだ沈まぬ傾きかけた太陽がまぶしく さざ波に反射していた
20ほどあるテーブルは半分くらい客で埋まっていた
ステーキハウスの規模はグランドインより少し広く カウンター席は
14人くらい利用できるようになっていた
「由紀枝 グランドインより少し広めかな」