そのように出来ますか」
「ええ 勿論考えたんですが 構造上弱くなってしまうんですよ」
「そうか 分かりました」
「神山様 こちらがガレージの横引き型パイプシャッターの現物です」
神山は資料と小さく切断してきたパイプシャッターを手にとって見た
「亜矢子さん なかなかしゃれているね いいじゃない」
「ええ そうね 素敵だわ」
「この滑車はなんですか」
「ええ 天井部分にレールを設けそこに引っ掛けるんです」
「あーあ なるほど っていうと床部分はなにもないんですか」
「ええ 無いものと溝を設けるものとあります お勧めは溝を作った方が
レールや滑車に余計な力が働かないと思います」
「そうですね 風の時にはぶらぶらしますからね」
「ええ 滑車の取り付け部分が進行方向の力には全然問題ないのですが
横に力が働き曲がってしまうと シャッターごと取替えなんです 勿論
その部分のスパンだけですみますがね」
「なるほど わかりました 亜矢子さんなにかある?」
「いいえ 大丈夫です それで防水ってどうなんですか」
「ええ 天井や外壁にはシーラーといって防水処理を2層設けます」
「じゃ 雨漏りの事などは考えなくて大丈夫ですね」
「ええ 全然大丈夫です 通常は1層ですが 念のためもう1層設けます」
「はい お願いします」
神山はバッグから現金を出し 勝又に
「これは手付け金です どうぞいいものを造ってください」
「えっ 神山様 工事に入ってからで良いですよ そんな それに正式な
お見積もりも出ていない状態ですから」
「まあ それはそれとして 受け取ってください」
勝又は暫く考えたが
「分かりました ありがたく頂いておきます で領収書の宛名は」
「ええ 桜川亜矢子でお願いしますね」
神山はメモを出して 借り領収書を製作しサインを貰った
「では 次回のスケールモデルをお見せできる時に正式なお見積もり書と
今回の領収書 それと設計図などをお持ちいたします」
「はい そうですね お願いします まず大枠を決めていかないと
話が前に進みませんからね ははは」
「そうですね でも りっぱな素敵な家が出来そうです」
「そうそう シェルターはどうする 亜矢子さん」
「うーん どうかしら 私は要らないような気がするけれど」
「そうしたらさ 僕が住んでいるところのように 音楽を聴けるような
そうした部屋にすればどうかな あれも一応シェルターなんだ」
「そうね うーん 分かりました 造っていただこうかしら」
「神山様が言われたようにリスニングルームには適していますよ
コンクリも厚く造りますから 大丈夫ですよ」
神山と亜矢子がお辞儀をすると勝又と勝間田もお辞儀をした
「桜川様 神山様 お昼を準備させて頂きますので どうぞごゆっくりと
していってくださいね」
「あのぉー 私 今日は早く帰りたいんです ごめんなさい」
「そうか そうしたら僕もこれで帰らせてもらいます」
勝又が残念そうに
「はい 突然で申し訳ございませんでした」
「いえいえ それから 車はこちらで手配しますから大丈夫ですよ」
「はい 分かりました では次回 早めにご連絡します」
「ええ お願いしますね」
神山と亜矢子が先に離れを出て 駐車場で待っていると勝間田兄弟が
丁寧にお辞儀をして挨拶をした
「では 桜川様 神山様 失礼します」
二人は3台の車を見送ると 亜矢子を駅のタクシー乗り場に連れて行き
「じゃ お疲れ様でした」
「ううん あなたこそお疲れ様でした でも嬉しいわ ふふふ」
神山は亜矢子にタクシー代を1万円渡し見送り自分も銀座に戻った
次長室に戻ると洋子が
「あら 早いですね」
「うん 洋子一人だと寂しいだろ だから早く帰ってきた」
「まあ ありがとうございます どうでしたか」
「うん 順調だよ いい家ができるよ 採光も良く考えられている」
「へぇー 出来上がったら 是非お祝いに伺いたいわね」
「うん びっくりするよ ホテルみたいだよ 僕も驚いている」
神山は次長席に座ると由紀枝に電話をした
「やあ 元気?」
「ええ さては亜矢子さんから聞いたでしょ ふふふ」
「うん それで 2500万円だろ 今だと」
「ええ そうよ ねえ 私も入りたい どうかしら ふふふ」