2013年7月11日木曜日

Vol.1097 百日紅 -4-65



神山は3本目のワインを出してくると 洋子が
「ねえ そろそろお肉のお時間ですよ」
「おー そうだね そろそろ準備しますね」
神山は慣れた手つきで 塩と胡椒で牛肉の下準備をした
「でも 自分で何回も作っていると本当に美味しく出来るわね 感心するわ」
「ははは まあね」
神山は牛肉が常温になると焼き始め 裏返すと美味しい肉汁が出てきた
ところで取り皿においていった
「さあ 出来たよ 食べてね」
「ねえ 神山さん 今日のお肉って美味しいわね」
「ほんと ありがと」
「ねえ あなたも食べて」
神山は焼くのを終えるとステーキを食べ始めた
「ねえ 香織 協会って後どの位あるの」
「うーんと 林野庁関係でしょ 水産庁関係などまだまだ沢山あるわ」
「へぇー そんなにあるんだ」
「なんで?」
「うん この頃 話が無いからさ ははは」
「うん 多分 お金が廻っているから話が来ないのよ ほら結局は代議士の
選挙活動や緊急でお金を廻す時 あとは自分の事務所を使えない時や まあ
色々な状況の時に神山さんのように お金を持っている人に一時的に借用し
その担保として利権を手放すわけでしょ だからそれが無いって事は お金
が廻っている証拠だと思いますよ」
「そうすると 返済されると取り上げられるのかな」
「ううん それは無いわよ だって代議士が理事を辞めさせる事って
出来ない事ですもの」
「ふーん そうか よかった ははは」
「もっともね 自分で辞めていく人はいるわよ」
「へぇー 自分で辞めるんだ」
「そうね 顧問になってその会社に深入りしすぎたりするとね 例えばそれで
利益が出ないで赤字になったりとか 社内がギスギスしたりとかね」
「ふーん そんなものなんだ」
「ええ だから神山さんくらいがいいんじゃないかしら ふふふ」
「っていうと 深入りしすぎない方が賢明なんだ」
「そうね その方が長続きするわ」
神山はなるほどと別世界の話を聞いていた

「さあ ガーリックライスが出来たわよ 食べてね ふふふ」
神山がステーキを食べおわると洋子がガーリックライスを作ってくれた
「うん 美味しいよ なかなか上手になったね」
「ええ おうちでも作る時があるのよ だからでしょ ふふふ」
「へぇー 洋子さん お料理するんですか?」
「うーん たまにね 普段は母がするけれど 私のメニューの時は作るわ」
「へぇー 偉いですね」
「だって 泰子だって作るでしょ」
「ええ それは一人だから作りますけれど 母親がいたらまかせっきりです」
「へぇー そうなの」
美味しいガーリックライスを食べ終わると 祐子と泰子がキッチンに向った
暫くするとトレーにアイスを敷き詰めたメロンを運んできた
「神山さん 今日のメロン 美味しいですよ 完熟です」
「へぇー よかった 売場に聞いたんだよ よかった」
神山は普段でも心がけているが 美味しいものを食べるようにしている
これはビジネスの対人関係のときにも役に立つし プライベートでも
今夜のようにみなに喜んでもらえるからだった
それと 廻っているお金を廻せば 回りまわって付加価値が付いて自分に
戻ってくると思っているからだ

「さあ 今夜は突然呼び出してごめんね ありがとう」
「いいえ ご馳走様でした」
洋子と泰子が一緒のタクシーで帰り 真由美と香織は別のタクシーで帰った
神山は4人を見送ると祐子に
「祐子 今のマーチを買い替えしないか VWのゴルフだけど」
「わぁー あの白い車ですか 時々ショールームで見ているんですよ」
「ははは そうか 実はね泰子がVR6を買ったんだ ほら高速でも
全然ぶれないし 安定走行に定評があるからね」
「へぇー 泰子さんが、、、でも私が使うときって どうかな」
「まあ マーチより乗りやすいしさ どうかなって そうそう ゴルフの時も
一杯荷物を詰めるし ははは」
「じゃ 買い替えをするわ いいのかな」
「よし 決まった まだお店が開いているから 行こうよ」
二人は歩いて直ぐ傍にあるVW販売店にいった
ショールームにはいると昨日 応対した女性がにこやかに迎え
「こんばんわ いらっしゃいませ」
「やあ こんばんわ あのぉー VR6だけど お願いできますか」