繰り返しているうちに漸く本来の球筋になり 神山もひと安心した
午後のインコースでは 15番で神山と泰子は同スコアになった
10番で泰子が4アンダーにすると神山は11番で追いつき4アンダー
そのまま15番まで来た グリーンも全体が完全に乾いてきたので
海への方向を見極めラインを読むことが重要になってきた
一方 香織と真由美だがこちらも15番で共に14オーバーで並んだ
香織が乾いたグリーンに手こずり 午前中の貯金を吐き出してしまったのに
対し真由美はスライスラインやフックラインを読み長いパットを入れていた
残り3ホールの勝負となった神山と泰子 香織と真由美
休憩所で神山が缶ビールを呑むと泰子等も一緒に呑んだ
「さあ 神山さん 残り3ホールですよ」
「うん そうだね 今回は先日のように余り緊張をしていないんだ」
「へぇー それって良い事じゃないですか」
「うん まあ 先日よりスコアが悪いから気が楽なのかな ははは」
「それがあるかもしれないわね ある部分冷めたと言うか」
「ははは そうだね でも真剣に取り組んでいますよ それと香織と真由美
二人も同スコアでしょ 香織 頑張ってね」
「ええ 神山さんも頑張ってね ふふふ」
真由美と泰子は顔を見合わせてクスクス笑っていた
16番で神山が1打リードしたが17番で2打プラスして泰子の4アンダー
神山の3アンダーになった 一方香織と真由美は17番まで同スコアで
決着は18番ホールに持ち越された
最終18番で神山がバーディーであがると泰子もバーディーであがった
神山4アンダー68 泰子5アンダー67で泰子が1打差で勝った
香織と真由美は共に17オーバー89であがり引き分けにした
キャディーにお礼を言い フロントで精算を申し出ると係員が
「神山様 内藤様にご請求となっておりますが」
「ええ 私がお支払いいたしますよ」
係員は上司と相談し神山に合計金額を提示した
「あのー ギフトカードでもお支払いできますか」
「ええ 大丈夫ですよ ご安心ください」
神山はプレー費と食事代を足した9万7千円をギフトカードで精算すると
「泰子 そうしたら ホテルでゆっくりしようよ いいでしょ」
「ええ そうしましょう」
ホテルに戻ると部屋を案内され シャワーを浴び寛いでいると
注文した料理が運ばれ 乾杯をした
「しかし 泰子 凄いね 67だって」
「うーん 午前中にミスが2つあるでしょ 午後もパットで2つあったわ
だからもっといいスコア出せたのに 残念だわ」
「へぇー 凄いね 驚きだよ」
「ココはパットが上手くいくともっと良いスコアが出るわよ 今日のピンは
比較的易しかったでしょ」
「うーん 素人の僕にはそうでも無かったよ」
「うんうん 易しくなかったわ ねぇー香織」
「うん なにしろ上っているのに早かったり 下っているのに遅いし
芝生に慣れるまで 時間が掛かるわね」
「そうね 完全なスライス傾斜なのに真っ直ぐ行ったりね ふふふ」
「うん ほんとあのグリーンには手こずったな ははは」
今日の結果を楽しく話しているうちに料理が無くなった
「泰子 追加をしますか?」
「うーん 中途半端な時間ね 私は遠慮するわ 香織さんや真由美さんは」
「ええ 私も遠慮します ふふふ」
「分かりました そうしたら30分寝かしてください お願いね」
そう言いベッドに入ると直ぐに寝入ってしまった
帰りは首都高を渋谷で下りて香織と真由美を降ろし
泰子をマンションまで送り赤坂のスタジオに戻った
祐子はゴルフの練習かプールに行っていて不在だった
神山は昨日の顧問謝礼金を数えると3億2千万円で車に積むと銀座の
次長室へ運んだ
FAXや留守電を確認し時計を覗くとまだ17時になったばかりだった
さて如何したものかと考えていた時に亜矢子から電話が入った
「神山です」
「こんばんわ あの 例の家の件なんだけど」
「うん」
「さっきね 連絡があって あすの午前中に打ち合わせをしたいって
そう電話があったのよ それで連絡したの」
「そうか 大丈夫だよ ただゆっくりは出来ないけれどね」
「わぁー よかったわ 私 明日お休みで 不動産屋が
合わせてくれたみたいなの ふふふ」
「そうか よかったじゃないか そうしたらこれから行こうか どう?」
「ええ 私のほうは大丈夫よ 何処で待ち合わせをしますか」
「そうしたら 熱海の駅でお願いします」