「たまにはTJでお帰りくださいよ ふふふ」
「そうですか でも、、、」
「ほら 手前どもでもTJ会員さまの実績が欲しいのです ふふふ」
「そうですか わかりました お言葉に甘えさせて頂きます」
神山は電話を切ると亜矢子と玄関に向った
若女将や仲居が丁寧にお辞儀をして見送ってくれた
「今日は会計しなかったの」
「うん TJ会員利用の実績が欲しいんだって だから協力したよ」
「うん 分かるわ ホテル機関紙にちゃんと記載されるのよ」
「へぇー そんな事まで載るんだ」
「だって それって凄く大切な事で 利用が多ければそれだけ人気指数に
反映されるでしょ そこなのよね だけど一般紙ではそこまで
取り上げていないけれど 土日の特集とかで取り上げているわね」
「へぇー そうなっているんだ」
「まあ 全てじゃないわよ でも基本的な所はTJ会員利用頻度かなぁー」
「なるほど 勉強になりました ははは」
東名高速を御殿場ICで下りると駅前寿司屋の駐車場に車を止めた
約束の10時には15分ほど早く着いたが 先方の車が止まっていた
神山と亜矢子が車から降りると不動産屋の車からも勝間田社長がおりて
二人に対しお辞儀をして近寄ってきた
「桜川様 神山様 おはようございます さあお部屋にいきましょう」
勝間田の先導で寿司屋の離れに上がると 弟で建築屋社長の勝又が
「桜川様 ご連絡が遅くなって申し訳ございません 神山様 ご希望に
沿うようプラン直しスケールモデルを製作しました さあどうぞ」
勝又の後ろに若い制服姿の部下3名が丁寧にお辞儀をして迎えてくれた
神山と亜矢子が着席すると部下がお茶をいれ神山と亜矢子に渡した
「神山様早速ですが 色々と検討させて頂き このようにスケールモデルを
製作してきました」
今回のスケールモデルは土地の傾斜も考慮して構築物だけではなく
土地のスケールモデルの上に構築物が乗っていた
「今回は本格的なモデルですね へぇーガラスも付いているし」
「ええ わかり易いと思いまして はい」
「しかし 大きいですね」
「ええ 20分の1スケールです はい 建物の幅が約30mですから
このように大きくなりました」
「そうすると この土地の傾斜なども測量されたんですか」
「ええ 傾斜角度など当然建築の時に必要ですから はい」
神山は隅々まで見ていると なるほど細かい所まで良く再現したと思った
希望したコアになる10mx14mの大きな部屋はそのままで 寝室や
クローゼット バストイレなどを上手に配置をしてあった
凹型の出っ張った2箇所が亜矢子と母親の部屋になりへこんでいる反対側が
玄関になり へこんでいる部分がダイニングとリビングになっている
突き出た先端が南 玄関が北方向になっていて
出っ張っている部屋の外側は先端までコンクリートの壁で出来ていた
反対に内側の壁と南面は殆どがガラス張りで採光に最適な造りだった
「へぇー 玄関を入って 部屋に行くのに庭が見えて ほんとホテルの様な
造りですね」
「ええ 庭も南側先端部分まで 建物とフラットにします そうすれば
お母様のお庭弄りでも安心できますからね」
「そうですね うーん 亜矢子さんどうですか?」
「ええ ほんとホテルのようね お部屋に入って 続きのお部屋でしょ
その南側が全面ガラスだなんて 凄いわ」
「しかし 部屋の大きさが少し異なるようですね」
「ええ これは桜川様の将来を考え お母様の方は1.5人の生活空間と考え
桜川様のお部屋は2人の生活空間と位置付けをしています なので桜川様の
お部屋のほうが広くなっています」
「うーん なるほど それで子供部屋は考えているのですか」
「ええ ご本人様のお部屋の外に後付けでお部屋を造る事が可能です」
「そうか それだったら最初から造っておいて まあ 空き部屋でもいいし
その方が経済的でしょ 工期だってそんなに変わらないでしょ」
「ええ そうですね 分かりました その方向で このモデルを基本にして
作ります」
「うん そうそう この外壁を上手に外せば 使えるでしょ」
「ええ 大丈夫です」
「それから 屋根はどうなっていますか」
勝又は部下に屋根を指示すると 大きな箱から丁寧に出した
スケールモデルの上に乗せるとぴったりと合い 正確に作られていた
「勝又さん流石ですね 僕もこの南側は天井をガラスにしようと思いました」
「ええ それで斜めにする事で 雪を滑らせる事が出来ますからね
まあ そこまでの積雪は無いと思いますが それとこのガラスは 車に
使われているような熱線ヒーターを付けようと思っているんです」
「なるほど いいですね それとリビングダイニングですが ここも