2013年7月3日水曜日

Vol.1089 百日紅 -3-64



素敵じゃない」
「でも 燃費が9Kmだよ 大丈夫?」
「大丈夫よ ほら母の所に行くのにこの方が楽に運転できるでしょ
それに後ろも余裕があるし ふふふ」
「うん わかった これにしよう」
神山はカウンターで購入手続きをし現金を310万円支払った
納車に10日ほど掛かると言われ 泰子が水曜日までに納車をして
ほしいと頼むと 係員が納車台帳を調べたりして泰子に
「はい 分かりました 早速整備を始めまして 間に合わせます」
帰り道に泰子が
「ほら たまには母の所にも顔を見せないといけないし練習もね ふふふ」
「そうだね 親孝行はできる時にしておかないといけないね」
泰子を繊維協会ビルの入り口で降ろすと 次長室に戻った

「ねえ 何を買ったの?」
「うん 白いゴルフVR6だよ」
「へぇー あれって6気筒で高速で運転していても安定しているって
180出してもまだ余裕があるって書いてあったわ」
「へぇー 良く知っているね でもさあれだったらお母さんも驚かないよ
どう 購入する? いいよ買ってあげるよ」
「ふふふ 駄目よ 気絶するわ お気持ちだけで充分よ ありがとう」
神山は次長席に座り仕事に集中していると電話がかかってきた
「はい 神山です」
「東都食品の田宮です こんにちわ」
「やあ こんにちわ」
「神山さん 北陸さんにお詫びをしたいのですが どうしたらいいか、、、」
「ああ その件ですね お詫び状は出されているんですか?」
「ええ 出しました 神山さんに注意され 私が知らないところで勝手に
事が進んだ事など 丁寧にお詫びをさせて頂きました」
「そうすると うーん 村上さんと話をしたら 事業提携をし東都さんに
OEMで商品を作ることもOKと言われています 具体的な内容は
話していませんが 多分魚介類だと思われます 私も賛成です そこで
田宮さんのところは 肉類が主でしょ なので北陸さんにOEMで
作ってあげればいいんじゃないのかな その上で対等な合併も考えられる」
「そうですか OEMの話まで先方さんから頂けたんですね いい話です
私どもの魚介類は東南アジアや外国産が主なんです 国産は原材料が
高いだけではなくて 運送費など目に見えないところで経費が
掛かっています それはありがたい話です」
「でしたら 田宮さんが先方と直接話をされた方が 早いですよ
そうそう 合併の話は抜きですよ そうしたらややこしくなります」
「はい わかりました それでは早速アポをとって 向こうにお邪魔します」
「そうですね 電話よりお互い顔を見て話したほうが良いと思います」

神山は電話を切ると仕事に集中したが直ぐに携帯に泰子から電話が入った
「どうしたの」
「ねえ 渋谷で買った宝くじだけど 当ったわ」
「ほぉー それはよかった おめでとう」
「うん ありがとう さっきね昨日の新聞を整理していたの
それで分かったんです」
「それで 何等が当ったの?」
「ふふふ 1等の8千万円と前後賞の8千万円よ 嬉しいわ」
「そうしたら 大事に使いなさい いいね 言いふらすと破滅するよ」
「はーい でもあの赤いショーツって凄いわね」
「うん良かった そうすると熱海は外れたのかな」
「ううん 今日の夕刊に載ると思うわ」
「ああ 今日が抽選日なんだね ねえ 一人で換金できるよね」
「ええ でも貴方と一緒の方が落ち着くわ 今でも震えているもの」
「わかった じゃ 明日午前中にでも渋谷の銀行で換金しようか」
「ええ お願い ねえ 東京駅でも出来るでしょ」
「ああそうだった ごめんごめん つい渋谷の方が近いと思ってさ ははは」
「そうしたら 10時頃だとひと段落しますから その頃がいいなぁー」
「うん 出かける時に電話をします 印鑑と免許証を忘れないでね じゃ」

「へぇー 泰子さん当ったの」
「うん 先週渋谷で買った分が当った 1等と前後賞で1億6千万円だって」
「へぇー 凄いわね ふふふ これで安心してお仕事できるわね」
「そうだね 心に余裕が出来るからね いいことですよ」
書類を見ていると杉田から電話が掛かってきて
「うん どうした翔」
「ええ グラスのオリンピックで使うデザインですが 見て貰いたいんです」
「うん じゃ そっちの部屋に行きます」
神山は次長室を出ると 杉田の部長席に向った
「お忙しい処 すみません」
神山がソファーに座ると杉田はデザインを数枚用意して神山に見せ