2013年7月8日月曜日

Vol.1094 百日紅 -4-65



「へぇー 素敵な企画ですね でもお金が掛かるでしょ」
「まあ それはそれで仕方のないことです そうそう翔には内緒だよいいね」
「はい 分かりました」
「そうだ 奈々子ちゃんも出席でしょ 当然」
「うーん まだお話を頂いていないんですよ」
「そうか 僕からそれとなく話してあげるよ それに秘書がいないとね」
「そうですね お願いします」
神山がソファーで寛いでいると携帯電話が鳴った
「はい 神山です」
「洋子です 終わりました」
「そうしたら 先に行ってくれるかな 僕もすぐに行きます」
「はーい 分かりました」

神山は次長室に戻りギフトカードをバッグに入れうなぎやに向った
仲居が神山を見て奥の座敷を案内されると みんなが騒ぎ始めた
「おいおい どうしたの 騒がしいね」
デザイナーが神山にドレスの生地見本を見せると 豪華な生地で驚いた
「へぇー しっかりしていて高そうな生地だね」
祥子が
「ええ しかしパリではこれが基本なんですよ だから日本ではこのランクの
生地でも充分映えますよ 如何でしょうか」
「この上はどんな生地なの?」
デザイナーが神山に渡すと 何が違うか分からなかった ただ少し柔らかい
感触だったがはっきりと区別できなかった
「こちらは 先ほどより糸が細くて細かく織ってあります なので少し
柔らかく 体のラインも綺麗に出ますよ」
「わかりました それでこの生地で作った場合の生地代は」
「ええ 320万円で縫製が100万円で合計420万円です」
「分かりました 結構安く出来るね」
「ええ 日本のメーカーだと割高になります ふふふ」
「それで 支払いについては」
「ええ NNのショップで構いませんよ」
「ギフトカードでも大丈夫?」
「ええ 全然構いません それからバッグですが 大きさ的にこのバッグが
近いかなという事で 持ってきました」
バッグは28cmx15cmマチが4cmの大きさで エナメル仕上げ
パステルカラーでシンプルな形が可愛らしかった

神山が何も頼んでいない事に気が付き洋子に生ビールやおつまみを指示した
「このバッグもドレスに合わせた色が出せるんですか」
「ええ 出せます しかし 各色用意してありますから どうでしょうか
10名だと12色あるんですよ だから大丈夫だと思いますよ 逆に
このバッグの色に合わせたドレスだと素敵ですよ」
デザイナーが写真を用意すると5人の女性がドレスにバッグを持っているが
同色で纏めているので綺麗に写っていた
「はい 分かりました ありがとう ねえ洋子どうですか?」
「ええ 私は同色で纏めてもいいし 少し変化をつけても良いと思うわ」
「って事は お任せだね」
「ふふふ そうですね」
「そうだ ねえ久保さん 誰が何色を着るか決めないといけないでしょ」
「はい それはデザイナーに任せて頂けますか カラーが10色で
パステルと決まればそれで進めますし もう少し彩度を高めるという事で
あればそのように進めます」
「分かりました そうしたら 生地は320万円で決定 色については
色見本を見て 彩度を決めたいと思いますが いいですか?」
「ええ 大丈夫です それでしたら今日の夕方にでもお持ちします」
「はい お願いします それで入金はいつ頃までに」
「ええ 出来上がりでお渡しの時でも大丈夫ですよ」
「では 近いうちに4200万円を上原に持って行きますね」
「はい ありがとうございます お待ちしております 一応浜野と安田に
話して置きますね」
「ええ お願いします さあ これでお終い さあ乾杯しよう」
神山たちはジョッキをカチンと合わせ乾杯をして生ビールを呑んだ

料理を食べ始めると神山は二人のデザイナーを呼び
「はい これは日本で暮らすのに使ってください 僕からのプレゼントです」
そう言うと500万円分のギフトカードを二人それぞれに渡した
デザイナーは最初驚き神山を見ていたが泰子がフランス語で
「この人は怪しくないわよ 気に入った女性には差し上げているのよ
だから本当にプレゼントなのよ 受け取ってね」
デザイナーは泰子のフランス語を聞いてにこやかな顔になり神山の
プレゼントを受け取った
「しかし 久保さん 誰が何色ってどうやって決めるの」
「ええ そこはデザイナーの感覚です 昨夜も今日も採寸の時にデジカメで