それで後5千万は亜矢子の口座に振り込むよ いいだろ って言うより
そうさせて貰いたいんだ 僕からの気持ちだよ」
亜矢子は神山の気持ちが嬉しく こみ上げて来るものがあり
「でも なぜ? なぜそこまでしてくれるの?」
「だって 僕の亜矢子だろ 当然だよ でねホテルを辞め 再婚しても
僕の心の中にはずーっと存在するからさ」
亜矢子は今後を考えている事を図星で探られると
「本当に いいの だって再婚したら逢えなくなるのよ それでもいいの」
「ははは だってまだ再婚相手が決まったわけじゃないでしょ そんな
もう今すぐにでも 逢えない様な事態ではないと思うけれど」
「そうね」
「うん だから第2のスタートに参加させてもらうよ いいだろ」
亜矢子は泣き崩れると座卓に伏せてしまった
この時亜矢子は神山と一緒になれないことを突きつけられた思いと
神山の優しさに心を打たれ 複雑な思いが交叉し頭の中が混乱した
夕食の片づけが終わり若女将が神山に
「神山様 今の時間ですと 下の家族風呂が空いていますが如何されますか」
「うん では利用させてもらいます ありがとう」
若女将は丁寧にお辞儀をすると部屋を出て行った
「ほら 亜矢子 元気を出してくれよ いこうよ ねっ」
亜矢子は神山との生活を僅かな希と思っていたが 今夜の話でその光が
消えたことにショックを受けていた もともと無理と分かっていた事だが
しかし一縷の望みでも亜矢子にとっては心の支えとなっていた
亜矢子は冷蔵庫から日本酒を取り出すと神山に
「ふふふ 行きましょうか これ持っていってもいいでしょ」
「うん」
家族風呂にいくと亜矢子は珍しく湯船の中でお酒を呑んでいた
群青の夜空に眩しく輝く星を眺めながら考えている様子だった
「ねえ 私 再婚しないわ ふふふ」
突然言われた神山は亜矢子の顔を見ると笑顔が戻っていた
亜矢子を抱き寄せるとキスをすると亜矢子も腕を絡ませてきた
「ねえ だから ずーっと逢えるでしょ ふふふ」
そう言うと 遠くに輝く星を眺めながら日本酒を呑み始めた
「あなたが誰かと結婚をするという事は お友達が普通のお友達関係に
なる事でしょ って言う事はあなたは結婚できないわね ふふふ
って言う事は 私とずーっと逢えるって事でしょ ふふふ」
神山は結婚を意識していなかったが 言われればその通りと思い
「ははは じゃ僕と亜矢子はジジババになってもずーっとSEX出来るよ」
「まぁー ふふふ 嫌ねぇー ジジババでSEXだなんて そうだな
その頃には日本各地を訪ねて 美味しいものを食べていたいなぁー」
「ははは そうか それも楽しみだね」
少し元気ななった亜矢子に安心した神山だった
その夜の亜矢子は積極的に神山を求め 何回も果ててしまった
神山も亜矢子の積極的な行動に驚きながら応じていると 何回も果て
最後は麻痺してしまい そのまま寝入ってしまった
7月20日 月曜日 快晴
海鳥の泣き声と波の音で目を覚まし 露天風呂で寛いでいると亜矢子が
「あら 早いですね ふふふ」
「やあ おはよう 亜矢子だって早いじゃないか」
「でも この時間だと遅い方よ ゆっくりと寝てしまったわ」
二人が露天風呂で寛いでいると襖の向こうから若女将の声がした
「神山様 おはようございます これから朝食の支度をさせて頂きます」
「はーい お願いします」
若女将と仲居が支度を済ませると 衝立の向こうにいる神山に
「お食事の時に火を入れますので ベルでお知らせくださいませ」
「はーい ありがとう その時に良く冷えたビール2本お願いしますね」
「はい 畏まりました それでは失礼いたします」
若女将は誰もいない座卓に向ってお辞儀をすると襖をしめた
露天風呂で寛いだ亜矢子は先に上がり浴衣を着た
「わぁー 美味しそうよ 早く出てください」
神山はタオルで簡単に体を拭くと 亜矢子がバスタオルで丁寧に拭いた
「ふふふ 今朝は元気ないわね 昨夜はお疲れ様」
そう言うとおちんちんにキスをすると襖の傍にあるベルを押した
神山が座卓に着くと若女将がビールを持って来て 魚を焼いてくれた
「美味しそうだね そのイカ」
「ええ アオリイカで昨日上がったものを一夜干ししたものです
アオリイカは今が旬で大変喜ばれていますよ」
「へぇー イカにも旬があるんですか」
「ええ コウイカやヤリイカなどは冬から春が旬ですね」
「へぇー」
「モンゴウイカは秋口から冬が旬なんですよ もっともヨーロッパ近海や
地中海 アフリカ大西洋岸などで獲れたものが冷凍で輸入され 良く