2013年7月20日土曜日

Vol.1106 百日紅 -4-65



「うん 波の音で癒されるね」
崖の数メートル下はごつごつとした岩場で波がその岩に当たり
ザッブーン ザッブーンと自然のサウンドを聞かせてくれた
夕日が沈みかけると亜矢子の顔が綺麗なピンクになり神山は
「亜矢子 デジカメで撮影をしよう ちょっと待っていて」
神山は裸で部屋に戻るとバッグからデジカメを取り出し
「ねえ 亜矢子 そこに立ってくれるかな そう そこでいいよ」
神山は構えるとシャッターを何回か押し モニターで確認し
「ほら 亜矢子 綺麗に写っているよ どう」
「わぁー 素敵 私じゃないみたいね ふふふ」
神山は更に亜矢子にポーズを注文し 撮影すると
「ねえ 少し嫌らしいポーズよ もう」
「えっ そんなぁー」
「ねぇ じゃ いっそうの事 こんなのはどうかしら ふふふ」
亜矢子は露天風呂の縁に座ると両足を広げ投げ出し 両手は後ろで
体を支えるようにいて カメラを食い入るような目つきでポーズした
神山はシャッターを何回も押し 縦構図で撮影したり横構図で撮影した
「わぁー 素敵 いいわぁー 私 この写真がいいなぁー」
「うん 凄く自然に取れているよ おけ毛も嫌らしくないしね」
「もう すぐにそっちの発想なんだから いやねぇー」
そんな話をしていると 若女将が夕食の支度を始めてくれた
若女将が気を利かせてくれたのか
「神山さま よかったらお二人の写真を撮りましょうか」
「ははは 若女将 男は不味いでしょ ねぇー亜矢子」
「いいじゃない 記念に撮ってもらいましょうよ お願いします」
若女将は二人がいる露天風呂まで来ると 神山からデジカメをかり
「神山様 大事な所を両手で隠されるとそれなりの写真が取れますよ」
神山は言われたようにすると なるほどと思いながらポーズを作った
2枚目を撮られる時には片手でおちんちんを隠し 空いた手で亜矢子の
肩に廻した所を撮影してもらった
神山は若女将からデジカメを受け取るとモニターで確認をした
「へぇー 結構 さまになっているね でも若女将上手ですね」
「ええ 以前からこの瞬間しかない色で撮影される方がいらっしゃいまして
それで勉強させて頂きました」
「そうか そうだよね 僕たちより早く気が付いている人がいるものね」

若女将は支度を終えると神山に
「お食事の時にはこのベルを押してください 直ぐに伺わせて頂きます」
「はい 直ぐに出ますから そうそう ビールを2本 冷たいのお願い」
「はい 畏まりました そうしましたら 10分後くらいでよろしいですか」
「ええ お願いします」
若女将が部屋を出ると二人は露天風呂をあがり浴衣姿で食卓に着いた
暫くすると若女将が良く冷えた瓶ビールをもち部屋に入ってきた
焼き魚や火を使う食材を調理すると神山に
「御用がございましたら このベルでお知らせください」
「はい そうそう そうしたら 冷酒を2本持って来ていただこうかな」
「はい 畏まりました」
若女将は丁寧にお辞儀をして襖を閉めて行った
二人の話題は亜矢子の家の造りで 亜矢子が
「そうしたら ガレージをもう少し大きくしても大丈夫なの?」
「うん 結局 外壁の門扉から玄関までの奥行きを設けるとすれば
家を南側の方に だから斜面のほうに突き出す感じにすれば 大丈夫さ」
「そうすると 北側の空いている場所にも庭が作れるわね」
「うん そういう事になるね どうだろうか もっと思い切って出すと
斜面の所に地下というかそのようなフロアも設けることが出来るよ」
「うーん でもね そこまでしなくても 今でも充分な広さでしょ」
「うん 充分な空間だと思うよ 後は天井を少し高くすると 採光も良いし
なんといっても圧迫感が無いから 開放的だと思うよ」
「うーん そうね 天井が高いって 気持ちが良いわよね」
「そうだ 亜矢子 南の廊下部分があるでしょ 幅を広げて そう奥行きを
とって天井部分はガラスにしたらどうだろう 前面がガラスで天井もガラス
それと 凹んでいるリビングの部分も天井をガラスにしたらどうかな」
「わぁー 素敵ね 美術館のような感じになるわね」
「うん 太陽の光が燦々と降り注ぐ場所でゆっくりと寛げるよ」
「そうね でも 建築費が膨れるでしょ」
「うーん 僕はね思っていたんだけど 亜矢子の第2の人生スタートと
位置づけているんだよ なので少しでも参加させてもらうよ だから
金額については心配しなくても大丈夫だよ うん」
「ふふふ あなたに甘えていいのかな ありがとう 気持ちで充分よ」
「ううん」
神山は寝室に置いてあるバッグを持ってくると 中から5千万円をだし
「これはね 明日勝又さんに渡すんだよ 手付けとして」
「えっ そんなぁー」
「そうすれば こちらの誠意が伝わるし いい物を造って貰えるよ