2013年4月1日月曜日

Vol.996 紫陽花 -15-60



神山は電話を切ると 洋子に催事課へ行く事を告げ部屋を出た

催事課の部屋に入ると奥村は会議室へ招き
「実は山ちゃん 翔の事なんだけれど」
「ええ どうしたんですか?」
「うん ほらクリスタルガラスのデザインもするでしょ そこで催事課の
仕事と分けて考えた方が良いと思って 彼専用の部屋を作ろうと思って
でも 昇進しても課長だし どうしたら良いか悩んでいるんだ
クリスタルの仕事をしているとアルタとも打ち合わせを
しないといけないし 彼自身も落ち着いて仕事が出来ないと感じたんだ
この事は倉さんとも話したんだ なにか良いアイデアは無いかなって」
神山は先日の部長特進の件を掻い摘んで話すと
「えっ 翔も部長、、、ほんと???」
「ええ 本当ですよ アルタが部長待遇なんで鈴やでも部長です」
「だったら 部長席の名目で部屋を作る事は可能だ」
「でも 何処に作るんですか」
「うーん そこなんだよ 催事課の部屋はこれ以上狭くしたくないし
ちょっと困っているんだ」
「だったら この上のアルタが使っている部屋の隣って 
まだ空いているでしょ そこにしましょうよ」
「でも 催事課と完全に離れてしまうし」
「仕方ないでしょ我慢してくださいよ 同じビル内だし それにアルタとも
行き来しやすい場所ですよ」
「そうしたら 山ちゃんに任せてもいいかな?」
「ええ 良いですよ じゃ早速時田さんに話しに行きましょうよ」
「えっ 僕も?」
「勿論ですよ 押す所は僕がしますから 安心してください」
神山は会議室を出ると 奥村課長席から本社秘書室に電話をした
「大丈夫ですよ 今いらっしゃいます それから常務 お認めを
お願いします 書留が貯まっていますので」
「うん ありがとうございます では」
神山と奥村は催事課の部屋を出ると神山は次長室に戻り 洋子を連れ
本社ビルの最上階にある本社秘書室に向った

「おう どうしたんだ奥ちゃん 山ちゃんと田所秘書を連れてきて」
「はい副社長 お願いがあってついて来ていただきました」
「ほー そうか」
奥村課長は神山に話をした事を時田に伝えると
「そうか 杉田君も部屋が欲しくなったか どうだね山ちゃん?」
「ええ 僕は賛成です 仕事に区切りをつけるって処ですね
催事課の仕事をしているところに部外者はどうかと思いますし 逆に
クリスタルの打ち合わせや デザインも部外者に知られたくないし
ってところです なのでアルタの部屋を広げながら 翔の席を設け
簡単なパーテーションで仕切った部屋というか空間で良いと思います
逆に 完全な部屋にすると デザイナーとのコミュニケーションも
しずらくなると思いますよ」
「うん 分かった で何処で工事をする?」
「ええ アルタでしても構いませんよ 施錠の関係も絡んでいますし」
時田は西野理事を呼ぶように中村部長に指示をすると 秋山に
「おう 目出度い席なので氷を用意してくれ」
時田は席を立つと 棚からブランデーを取りだし グラスも用意し
「さあ 新部長のお祝いだ」
時田はそう言うと グラスを軽く持ち上げ乾杯をした
「しかし 副社長 翔が部長って 正直驚いています」
「うん この事は当日まで内緒だ いいね」
「はい 分かりました」
二人が話しているとき神山は 携帯電話でアルタの内藤と話していた
杉田の部長室新設を掻い摘んで話をすると
「そうすると 工事は10日からにしましょうね」
「そうですね その方がいいと思いますよ」
「図面はあるし その部屋をどの様にレイアウトするかですね」
「ええ 完全な部屋ではなく どこかにプロジェクトと通じる空間を
設ければ 仕事も捗ると思います」
「はい 山ちゃんのようにする必要は無いわけですね 分かりました
でも 棚とかは必要でしょ」
「ええ お願いします」
「了解です 早速取り掛かります それで最終確認は山ちゃんでいいの?」
「うーん 今回は不要でしょ お任せします」
「ははは 大変な仕事になりましたね 分かりました では」

西野理事が副社長室に入ってくると
「いい香りですね おや奥ちゃん どうしたの それに山ちゃんも」
「まあまあ 西野君 座って 大丈夫だろ」
西野が頷く前にグラスにブランデーを注ぎ 今回の用件を伝えた






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