2013年4月18日木曜日

Vol.1013 紫陽花 -16-61



「ええ 大丈夫です でもあの引田さんって 凄い人ですね」
「なんで?」
「だって 初対面の それに年上ですよ なのにあんな言いかたして」
「ははは 内野君 まだまだ修行が足りないわよ そこを踏まえての
貴方に対して発言でしょ 私には判るわよ だって正直に正確な
ピンポイントで指摘されたでしょ その他の事は何も
言われていないじゃない ちがう?」
内野誠二は考えたが洋子の言うとおりで
「ええ そうです その通りです 参ったなぁー」
「そんな事じゃ 涼子さんを幸せに出来ないわよ もっと本質を見てね」
「はい ごめんなさい」
「あらあら 左のウインカーを出しているわ よーし抜こう」

先行する洋子の真紅のポルシェがブレーキランプを頻繁に出してきて
神山も洋子のスピードに合わせると 左ウインカーで走行車線に入ると
神山も走行車線に入った
前を見ると洋子の前に男2人組みの白い車が走っていて 洋子は多分
覆面パトカーと感じ取りスピードを落としたと思った
暫くそのままの体制で運転していると 白い車がICで降りたので洋子は
また普段のスピードに戻し運転を再開した
「神山さん どうしたんですか 洋子さん」
「うん 多分覆面だったんだろう」
「へぇー 凄い そんな事分かるんですか?」
「うん 彼女はそこら辺のところは 特殊技能さ 僕は分からないもの」
「へぇー 洋子さんて 凄いですね 私 憧れちゃいます」
「おいおい ほどほどにね」

「田所理事 今のはどうしたんですか?」
「うーん シロで男が2人でしょ 考えられるのは覆面よね」
「なるほど うーん 勉強になります」
「だって こんな所乗用車で男2人って不思議でしょ そう思わない」
「はい そうですね 気をつけます」
「だから もっと勉強しないと 駄目よ 折角神山さんもあなたの事を
後押しをしているんだから もう」
「えっ 神山副社長が 僕を後押しですか、、、」
「もう だから静岡に行くんでしょ 分かってないわね 本当に」
「はい ごめんなさい」
「この件は 内藤さんにお願いをして それで来ているの 分かる」
「はい ごめんなさい」
「あのね ごめんなさいってばかりだけど 会社では通用しないから
いい これからごめんなさいは言わない事 命令です いいですね」
「はい 、、、」
「神山副社長も私も 内藤社長も貴方を育てたいのよ 分かってね
でないと 次が育たないでしょ そこまで考えているのよ」
「はい 頑張ります」
「そうよ 頑張ってもらわないと 鈴やだってアルタだって潰れるわ」
「えっ 潰れるって」
「当たり前でしょ それだけ先行投資しているんです 分からないの
だから神山副社長は大変な毎日をこなしているんじゃない」
「、、、、、、」
「少しは爪の垢でももらいなさい もう」
洋子はそう言うとアクセルを思い切り踏み込んだ

「あれっ 洋子 どうしたんだよ スピードあげて おいおい」
神山もどんどん離されて行く真紅のポルシェを追いかけた
暫くすると 左側から洋子の車を追い抜き 神山が先行した
追い抜くとき洋子の顔を見た神山は 多分内野と話がかみ合わず 精神的に
イライラしていると思った
神山が先行して静岡ICで降りると直ぐにコンビニで車を止めた
洋子や泰子がトイレに行くと神山は缶コーヒーを買って待った
タバコを吹かしていると泰子と洋子が戻ってきて
「もう 内野君ってまだまだ子供ね ほんと話しをしているだけで嫌になる」
「おいおい 自分の部下だよ それはないだろ もっと優しく接してよ」
「あのぉー お言葉ですが 私もそう思います っていうのも神山さんの
存在が大きすぎるんですよ 直ぐそこに対象となる男がいるんです
そこは分かって欲しいと思います 洋子さんが悪い訳ではないですよ」
「おいおい そんあぁー じゃ僕はどうすればいいんだぁー ははは」
内野誠二は3人の仲間に入れず コンビニの脇でタバコを吸いながら俯き
時々空を見上げながらため息をついていた
神山は時計を見ると12時になっていたので
「さあ そうしたらもう少しで県庁です そこに着いたら美味しいマグロを
嫌というほど食べましょう いいですね おーい誠二 いくぞー」
「はーい 分かりました」