携帯電話で由紀枝に電話をしたが 電源が切られていて通じなかった
その次に泰子に電話をしたが 呼び出し音が何回も続き出なかった
神山はこんなものだろうと思ったが 亜矢子に電話をした
「まぁー どうしたの」
「ハハハ 声が聞きたくなったのさ」
「まぁ 由紀枝さんが居ないので 寂しいのでしょ ふふふ」
「いやいや で 由紀枝から聞いたけれど ドタキャンがあったそうだね」
「えっ なにっ 何も無いわよ」
「えっ だって由紀枝の話だとスタッフのお母さんが亡くなったって」
亜矢子は一瞬考えたが
「あなた 由紀枝さんに本気にされたわね ふふふ」
「おいおい どういう事だよ」
「そんな事実はないわよ もう 分からないの もう」
「なんだよ 亜矢子 それは無いだろ ちゃんと教えてよ」
「だから 今夜一緒にお食事するのが辛いのよ その位分からないの」
神山は亜矢子から言われても 由紀枝のことが判らなかった
「だから あなたが考えている以上に女性は貴方を意識しているの 分かる
って言っても駄目よね そこが貴方のいいところだし ふふふ」
「おいおい なんだよ もう」
「いいのよ だから貴方のお友達女性同士でけんかはないでしょ
そこが あなたの人徳じゃない ふふふ」
「でもさ、、、」
「分かっているのよ あなたが由紀枝さんのことを好きだって でもね
由紀枝さんだけじゃないのよ 私もあなたの事を考えているのよ ふふふ」
「おいおい 分かった ごめんなさい」
「まぁー 素直な答えね でも由紀枝さんはどうかしら」
「うーん そんなに苛めないでください」
「そうそう 不動産屋から電話があって10日の午前にお持ちしますって」
「うーん ちょっと待ってね」
神山は頭に入っているスケジュールを思いだし
「分かりました 10時過ぎになります」
「はーい 了解です」
神山は携帯電話をズボンのポケットにしまうとあの二人のベンチを見た
誰も居ないベンチには今までに起きた男女の物語があるようだった
暫く見つめていると 店内から洋子が出てきて
「やっと終わりました」
「ありがとう ごめんね」
「ふふふ でも女性って怖いですね」
神山は洋子の顔を見ないで その言葉に頷いた
次長席に戻ると神山は時田に電話をした
「副社長 私 9日の午後から静岡に出ます それで10日も静岡なので
ここには居ません すみません」
「うん そんなに忙しいんだ 分かった」
電話を切ると洋子に
「洋子 折角の翔の儀式に参加できないが どうかな 洋子が列席するって」
「いいわよ 仕方ないですよ ふふふ」
「そうそう アルタの工事があるでしょ それで入館の作業届けをお願い
そうだな 10日から14日まで 朝は7時30分から夜は24時まで」
「はーい 早速出しておきますね」
「うん お願いします」
神山は池上店長に電話をすると
「店長 杉田君の人事命課の件ですが 私はあいにくと出張なので
代理で田所さんが出席させて頂きたいのですが、、、」
「いやぁー ありがとうございます お願いします 実は迷っていて
って言うのも 部長命課だと常務の列席って過去に例が無いんです
なので随分と悩んでいました でも田所理事がOKなら お願いします」
「はい 良かった」
「時間は 10日金曜日の9時15分です」
「早いですね」
「ええ 催事課の奥ちゃんから 出来れば早くして欲しいと 要望があって」
「ハハハ 分かりました 田所に伝えておきます」
電話を切ると洋子に9時15分に命課が始まる事を伝えた
「部長席のことはどうしますか?」
「うん 奥村課長から話があるでしょ こちらから言う事はしないでいいよ」
「はーい 分かりました ねえ そうすると明日は私も運転できるの」
「そうだね そうしたら明日午後 一旦赤坂に行って それで車選びだね」
「わぁー ありがとうございます 嬉しいわ」
「そうだなぁー 真紅のポルシェにでも乗ってみる もう1週間以上も
乗っていないし」
「そうね 前回 確かあの二人タクシーで帰ったのよね ふふふ」
「おいおい 済んだ事だ 言わないの」
「はーい 分かりました へへへ」
「そうだ 竹内さんに連絡して時間を聞いてくれるかな」
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