2013年4月20日土曜日

Vol.1015 紫陽花 -16-61



「ご無沙汰しています」
佐藤は泰子を見たが この事業に関係しているのか否か不思議に思ったが
この場では神山に聞くことはしなかった

竹内は全員が揃った事だし 早めに打ち合わせをしようと提案したので
「ありがとうございます ではデザインの説明をさせて頂きます
今日は ここに居る内野誠二君にしてもらいます 勿論 私もさせて
いただきますが じゃ 内野君 お願いします」
佐藤と高橋は内野誠二が課長代理になる事を昨夜知らされて 今日の会議に
出席する事も知らされていた
高橋孝一が持って来たデザインスケッチなど 全てを揃えると内野は
深呼吸を一回して説明を始めた
3つのブースと地下部分の説明が終わると神山は100点満点をあげた
「如何でしたか 竹内さん 山城さん」
「はい ありがとうございます 大変分かり易く拝聴させて頂きました
僕の方はこれでOKですが 山城さん 何かありますか?」
「いいえ 私も環境保護や顧客の事 特にお子様のことを良く考えられた
素晴らしいデザインだと感動しています ありがとうございます」
「よかった それでは次に洗車場のデザインに入ります
この部分は私が説明させていただきます」
神山はデザインを見せながら フロントガラスに反映される映像の
一コマ一コマを分かり易く整理されたパネルを見せた
「なるほど そうすると車に乗っている間 この映像が流れるわけですね」
「ええ それでパテントの関係で 最後に会社名が出てきます
最後のコマですが このような感じです 実際どのようなロゴを入れるか
まだ検討しています」
「素晴らしいですね これなら家族全員が車に乗っていても飽きませんね」
「ええ ソフトもなるべく多く用意し 選択肢を増やそうと考えています」
「分かりました それで洗車の金額はどの位に設定されているんですか」
「ええ まだ決まっていませんが 大体2000円前後でいけると思います
洗車だけではなく ワックスも入っていますからね」
「そうすると 街中のガソリンスタンドと同じくらいですね」
「ええ そうすれば わざわざ街中で洗車してもらうより ここでした方が
楽しく時間が過ごせますからね」
「分かりました 神山さん ありがとうございます 助かりました
3つのブースも大変素晴らしいアイデアとデザイン 地下共有部分の
有効的な活用 どれを取っても素晴らしいの一言です」
「こちらこそ ありがとうございます」
「そうしますと 最終的な書類のやり取りが発生しますが 次長室で
いいですか それとも各ブースの会社に送りましょうか?」
神山は暫く考え
「私のところで纏めていますから 次長室宛でお願いします」
「では ありがとうございます」
「そうそう竹内さん 消防にだす書類も入ってきますか」
「いえ 構築物の法令関係書類は後日郵送します まずは契約書関係です」
「はい お待ちしています ありがとうございました」
神山は竹内と両手で握手をすると 竹内が
「落ち着きましたら 行きましょうね お待ちしています」
「はい 分かりました」
神山は山城とも両手で握手をした
「神山さん 嬉しいですわ 落ち着いたら来て下さいね 待っています」
「はい お願いしますね」
神山たち6人がお辞儀をして部屋を出ると 佐藤が
「神山さん 本当にありがとうございます よかった」
「ハハハ 僕は何もしていませんよ 考ちゃんたちの仕事がよかったから」
神山たちは県庁を出ると 内野誠二が神山に
「神山さん 僕は高橋さんたちと一緒に帰ります 済みません」
「ははは いいよ そうそう 明日人事命課だよ 確認しておいて」
「えっ 人事命課ですか どうしたんだろう 時期がへんだな」
佐藤部長が
「11時に会議室だ 忘れないようにな」
「どこかに飛ばされるのかな 参ったなぁー どうしよう」
「ハハハ 静岡支店だったりして」
「またぁー 神山さん それは無いでしょ」
「いやいや 御殿場の事を考えれば有り得ることだよ ねえ洋子」
「さあ 明日まで我慢してね お仕事に集中よ いいわね」
「はい 頑張ります」
神山が佐藤にタクシー代を渡そうとすると
「まだ充分残っていますので 使わせていただきます」
洋子がタクシードライバーと相談すると 佐藤のところに来た
神山たちが佐藤を見送ると
「さあ 洋子 今 3時半だろ 5時には着くね」
「ええ 余裕ですね」
「権田さんの事を聞いてくれるかな」