2013年4月19日金曜日

Vol.1014 紫陽花 -16-61



今度は真紅のポルシェに洋子と泰子が乗って 蒼いBMWには内野が乗った
「おい 元気を出してくれよ いいね」
「はい 田所理事から 一杯注意を頂きました はい」
「ハハハ 仕方がないよ 今まで僕のことを男と感じていたんだから
でもね 彼女達が言っている事は 間違っていないよ それが女の本性だし
そこら辺を弁えないと 涼子さんにも愛想つかされるよ」
「そうですね 勉強になりました」
「うん 頑張ってくれよ 期待しているんだから」

「ほんと あの男はどうにもならないわね」
「洋子さん そんなに怒らないでくださいよ 彼だって それなりに
何かを話したかったんだと思いますよ ただ洋子さんと波長が
合わないから それが雑音に聞こえていたんですよ きっと」
「ふふふ 泰子さんって 優しいのね 男にだけでなく そうだわね」
「私 ちっとも優しくないですよ 自分が優位になるようにしか
考えてきていません だけど神山さんを知ってから なにか違うもの
そう 仲間を大切にする意識かしら それを学びました」
「まぁ 短時間で 凄いわね 私なんてまだ分からないわ ふふふ」
「もう 洋子さんたら 知っているのに でなければお友達じゃないでしょ」
「ふふふ そうね そう泰子さんの言われた事って 凄く良く分かるわ
でも私は ちょっと違う所で神山さんを見ているの 勿論お友達もね」
「へぇー 凄いですね」
「でも 貴女のほうが シンプルな考え方だから 凄いわ ふふふ」
洋子はこの時 泰子が由紀枝のライバルになると思った

県庁に着くと駐車場に車を止め 神山が
「さあ 直ぐそこに美味しいマグロがあるんだ 行きましょう」
神山たち4人は県庁裏のマグロ定食屋に入った 
今日も1階は満員で2階に案内された
定食を少し待ってもらい ビールとぶつ切りを注文するとお新香が出てきた
以前来たときにはメニューが無かったがA6くらいの小さなメニューがあり
簡単だがおつまみが記載されていた
「へぇー 静岡豆腐だって 食べてみよう」
神山は仲居を呼ぶと 静岡豆腐や酢の物も追加注文した
「どうだね 誠二君 ここがなぜ流行っているか 探れるかな?」
「ええ まず注文して直ぐに運ばれてくる事 それから食べてはいませんが
マグロが美味しい事 料金がめちゃくちゃ安い事 そんな所かな、、、」
「はい全部正解です ただしあと一つ ほら仲居さんにしても飾りっけが
無く威勢が良いでしょ そしてにこやかにしているでしょ そこも人気の
一つだよ 猟師町って 威勢がいいのが特徴でしょその雰囲気だなここは」
「そうかそうですね 都会の寿司屋さんと雰囲気が違いますね わかります」
「ははは もう大丈夫だ 誠二君は 少し思い込みすぎる所がアル それが
いい方に働いている時はいいんだが ほら池ポチャのように悪い方に働くと
自分をコントロールできなくなるんだよ そこを直せばもう大丈夫さ」
内野誠二は俯いてしまい 箸が進まなくなった
「おいおい誠二君 どうしたんだ 例え話で今は仕事だよ しっかりしろよ」
「はい 分かりました」
そう言うと 誠二はビールを一口呑むと箸を進めた
この時泰子と洋子は何も言わず 豆腐やビールを呑んでいた
「このお豆腐 美味しいですね 洋子さん」
「ええ 何が違うのかしら」
「まず 甘いでしょ 大豆の香りがわずかに残っている感じ かなぁー」
「ハハハ そうだね 美味しいね ちょっと甘くて美味しいよ うん」
ビールを6本呑んだ所で定食を注文した

全て綺麗に食べ終わると コーヒーを飲みたくなり 県庁内にある
レストランに入り 神山と内野誠二はコーヒーを注文し 洋子と泰子は
フルーツパフェを注文した
「しかし いつも思うけれど 良く入るね ビールも呑んでいるのに」
「ふふふ ほんと 自分でも大丈夫かしらって 考えてしまうわ」
「ほんと お金を積まれても駄目なのに 信じられないな もう」
洋子と泰子は顔を見合わせながら クスクス笑い食べていた
コーヒーを飲み終わると神山は時計を見た
「まだ時間はあるが 国土開発の山城さんに挨拶をしようよ」
「そうね 少しくらい早くてもいいでしょ」
神山たちはエレベーターで国土開発課へ行くと 山城が神山を見つけ
「神山さん いらっしゃい 竹内が待っていますよ どうぞ」
「あのぉー アルタの佐藤は到着していますか」
「ええ お部屋に入られています どうぞ」
隣にあるプロジェクトチームの部屋に入ると 佐藤と高橋が座って
神山の来るのを待っていた 佐藤が神山をみて
「神山さん 早かったですね」
「ええ 少し早めに着ました」
「やあ いらっしゃい 神山さん さあどうぞ」