2013年4月30日火曜日

Vol.1025 紫陽花 -16-61



「いいわよ それで真紅のポルシェは先ほど戻しておいたわ」
神山はタクシー代と祐子と食事代10万円渡した
「祐子さん 知っているの?」
「うん さっき電話をした お願いします」
洋子は催事課の杉田に電話をすると 直ぐに次長室に来た

「神山常務 本日付けで販売促進部 専門部長になりました
アルタでも専門部長になりました ありがとうございます」
「おお よかったね でも催事課がなくなったね 洋子どうして」
「ええ 例のクリスタルの件があるので対外的なところを配慮したと」
「へぇー 販促部の専門部長ねぇー へぇー 聞きなれないな」
「まぁー 貴方だって聞きなれない 次長常務じゃない ふふふ」
「まあまあ 杉田君 どうぞ」
神山は杉田をソファーに勧めると 洋子にビールを催促した
洋子は泰子の分も考え グラスを5個用意し ビールを注いだ
「では 改めて おめでとう よかったね 乾杯」
杉田が一口ビールを呑むと 神山は次長席の引き出しから 現金の包みを
2つ取り出し 杉田に渡した
「あのぉー 先ほど洋子理事から頂きました」
「はははあれは洋子からさ この分は僕の分だ 受け取らないなら仕舞うよ」
杉田は慌てて 自分の席の方に移動し
「ありがとうございます 感謝です」
「そうそう 各理事の挨拶は終わったの 洋子?」
「えっ、、、まだです」
「おいおい 権田社長直々の命課だろ 理事の挨拶忘れて困るな」
洋子は直ぐに本社秘書室に電話をして 杉田が理事へ挨拶する事を話すと
「そうね 神山常務の言われる通りね ごめんね洋子 気が付かなくて
早速 各理事に用意するよう指示をします それで常務はいくら」
「ええ 大きい包み2つです」
「えっ 大きいの2つも って1千万円?」
「ええ そうです」
「そうか じゃ一つでいいわね」
「ええ ごめんなさい お願いします」
「この時間だったら 全員いらっしゃるわ 直ぐに来れるのかしら」
「ええ 今 常務とビールを呑んでいるので 30分くらい後です」
「ねえ 時田さんのところは?」
「そうかぁー そちらが先ね ごめんなさい」
「もう 洋子 どうしたの」
「そうしたら 30分後に時田さんのところに伺います お願いします」
「はーい今 売場に出かけているから 30分後戻ってくるよう伝えます」
「ごめんなさい」
「洋子 昨夜 呑みすぎでしょ 結構 はしゃいでいたもの」
「ふふふ ごめんね じゃ」

「おいおい 洋子 どうなったの?」
「ええ 時田副社長の挨拶もしていませんでした ごめんなさい」
「そうか 分かった そうしたら時田さんが先だ いいね翔」
「はい 先輩 大丈夫です」
杉田はビールを呑むと 席を立とうとしたので神山が制止し
「おいおい向こうはまだ準備中だ ほら呑みなさい 洋子も注いであげて」
泰子がこの時杉田に
「ふふふ 頑張ってくださいね でも頼もしい人ですね 神山理事」
「うん?」
「だって 副社長に挨拶したり理事に挨拶するのに
お酒を呑んで行くんでしょ 普通じゃ考えられないもの」
「ははは そこだね 催事課はどんな時でもしゃっきとしているわけ
お酒は お仕事の一環です 僕もそれで育ったし それで常務になった」
「へぇー 格好いいですね 杉田さん神山理事のように 偉くなってね
影ながら応援をしているわね ふふふ」
杉田は褒められた事で ビールが進み顔が少し赤くなった
神山はそろそろ時間が良いと思い 杉田を連れて時田に会いに行った
行き交う社員が神山を見つけると挨拶をしたが 杉田には丁寧に
お辞儀をしながら挨拶をしていった
「おう 翔 凄いな みんなお辞儀をしていくぞ」
「ハハハ 最初だけですよ うん」
神山は少し大人になった杉田を見て頼もしくなった これならアルタと
クリスタルグラスのデザインを任せても大丈夫と感じた
副社長室に入ると時田が
「おーう 漸く来たか杉田君」
「はい 気が付いたらこの時間でした 申し訳ございません」
杉田は自分が忘れていた事にし 深くお辞儀をして謝罪した
「うん いいよ それより呑んできたか?」
「はい 神山常務にお祝いビールをたんまり頂きました」
「おう そうか 山ちゃんから祝い酒か おーい秋山君 準備だ」







2013年4月29日月曜日

Vol.1024 紫陽花 -16-61



「そうだ 洋子 明日は協会の面談があるから 夕方に行きます」
「そうだったわね はーい 分かりました」

電話を切ると神山は泰子にお礼を言った
「勝又さん お尋ねしたいのですが 例のガレージですがシャッターと
アコーデオン扉ですが どちらが使いやすいですか」
「ええ 良く使われているのはシャッターですね」
「ねえ 亜矢子 外壁がしっかりしているんだったら シャッターって
必要かな どうだろう」
「そうね どうかしら 私はそんなに必要性を感じないわ」
「うーん そうだね それにシャッターだと上げるのに大変だし」
「ねえねえ なぜ車3台分のスペースが必要なの?」
「例えば僕の車が入っていて もう一台入るとしたら その位は必要でしょ」
この時勝又が
「桜川様 土地があり 建物が立派だと車でのご来客が多くなります
特に御殿場市は車社会ですから 広い方がいいと思いますよ」
「へぇー 三島に住んでいると感じないけれど そうなの」
「勝又さん 一応シャッターを取り付ける方向でお願いしますね
そうそう 防犯って処だと ほら今 ファッションブティックなどで
使われている パイプシャッターでもいいかなと思っています」
「そうですね あの方が軽いし 防犯を重視でしたらOKです
それに 排気ガスの喚起をしなくて済みますよ」
「そうか 排気ガスの喚起もありますね ははは」
「それで 間口が広いと既製品ではないんですよ なので間に鉄筋を
いれて既製品を使えるようにしましょうか」
「ええ その方が便利ならそうしてください ただし車が入れないと
困りますがね」
「それでしたら 神山様 今 横引きのパイプシャッターもあります
なので 全面を2枚か3枚に分ければ使い勝手がいいと思いますよ」
「へぇー 横引きがあるんだ いいね亜矢子さん」
「ふふふ ええ」
「勝又さん そのカタログなども今度お願いできますか」
「大丈夫ですよ 揃えておきます」

御寿司も頂き 食事が終わるとデザートが運ばれてきた
泰子と亜矢子は嬉しそうに食べたが 男性群はフォークが動かなかった
お茶を頂く時間になると 勝又は電話で部下を呼んだ
「桜川様 10分ほどで運転手がきます 暫くお待ちください」
亜矢子は頷くとお茶を飲んだり 化粧室に行った
「ねえ 亜矢子 今日はどうするの?」
「母のところに行って この事を話すわ 喜ぶわよ ふふふ」
「そうか それであっちは大丈夫?」
「ええ 大丈夫よ ランニングだって母の年金もあるし
私の貯金だって あるし 大丈夫よ ふふふ ありがとう」
「うん まあ これだと2億位かな ちょっと贅沢な建物だけど」
「はーい 分かりました 準備しておきます」
勝又の呼んだ部下が3人も来て 片付け終わると
「では神山様 ここはあと1時間くらい大丈夫です」
「ははは ありがとうございます」
「そうしたら 出来上がり次第 桜川様にご連絡いたします」
「はい お願いします 楽しみに待っています」
亜矢子たちが部屋から出ると神山は泰子に
「30分寝かしてください お願いします」
そう言うと その場で寝転び座布団を枕にして寝入った

「あーあ スッキリしたよ ありがとう」
泰子は神山に冷たい缶コーヒーを渡すと 自身も飲んだ
「わぁー 冷たくて美味しいわ ふふふ」
「ほんとうだね スッキリだ」
神山は大将と女将にお礼を言うと車に乗った
「今夜の予定はどうなのかな?」
「ふふふ 入っていますよ ちゃんと」
「えっ そうか、、、で何処に行くの?」
「神山理事次第です ふふふ」
「おいおい そうか 分かった そうしたら中華にしようか」
「ふふふ お願いします」
神山はまだ夕食には時間があるので このまま銀座に行き翔にお祝い金を
渡そうと考えていると 泰子も同じ考えだった
蒼いBMWは渋谷で降りないで銀座まで首都高を走った
ビルの次長室に戻ると洋子が驚き
「どうされたんですか びっくりよ」
「ははは 翔にお祝い金だ って泰子も同じ考えだった」
「もう はーい じゃ杉田君を呼びますね」
「うん それで蒼いBMWで赤坂に帰ってもらえるかな」







2013年4月28日日曜日

Vol.1023 紫陽花 -16-61



「そうそう 神山様 玄関は分かりましたが 外壁はどうされますか?」
「って言うと?」
「ええ 住まわれる方が女性だけと言うより 家が建つとどうしても
目立つじゃないですか そこで安いコンクリ壁があるんですよ」
「ああ なるほど 土地の周りをその壁で覆ってもらう訳ですね」
「ええ その方が安心できます」
「亜矢子さん それで良いよね」
「ええ 防犯の事は全然考えていなかったわ お願いします」
「分かりました それで 壁は何処まで建てますか って言うのも
大きな土地の左側を所有されているわけですよね あの杉林の右側は
先生の土地だし そこの兼ね合いです」
「そうか じゃ先生と話をしますので とりあえず右の杉林にも外壁を
建てる案でお願いします それで外壁門のところは しっかりした造りで
インターフォンなどの設備関係もお願いしますね そうそう ガレージを
設けたほうが便利だと思います 雨や雪のときに 玄関をでて直接車に
乗れるような、、、」
「うーん そうしたら神山様 ガレージに部屋の出入り口を設ければ
部屋から直接車にいけますよ」
「うーん そうですね そうすると下駄箱などもそこに必要に
なってきますね うーん」
「そうかぁー そうですね そうだ 神山様 そうしたら ガレージ側に
玄関と同じように靴置きや傘立てなどを設けましょう 出入り口の
ガレージ側も床をフラットにして ある程度の広さを確保すれば
そこで 履き替えや傘の処理が出来ると思います」
「そうですね 濡れたものはガレージに置くようにすれば部屋が濡れなくて
いいし そうしましょう そうしたら東側のお母様がおられる処を北側に
ふかせばガレージが出来ますよね それで玄関は丁度リビングの所に
すればどうでしょうか」
「そうですね その方が効率から言っていいと思います ははは正直
神山様のアイデアだとどこに玄関を設けるか悩んでいたんですよ」
「ハハハ 私も悩んでいました それでガレージですが 車を3台 それも
余裕を見て入れるようにしてくださいね」
「はい 大丈夫です 先ほどの袴がありますから もっと前に出して建てる
事も考えられます なのでガレージを設けて 玄関前を狭くって言うか
窮屈にしないように デザインをします」
「そうですね 亜矢子さん 如何ですか?」
「ええ 素晴らしいお家が出来そうで 嬉しいです」
「じゃ このままスケールモデルを造ってもらいますね」
「はい お願いします」

仕事が終わったので勝間田が女将に電話をした
神山が時計を見ると12時半を過ぎていた
女将が鮮魚の盛り合わせや 生ビールなど運んでくれると勝又が
「今日はお忙しい所 ありがとうございました ほんのお礼です 乾杯」
神山たち5人がビールを呑むと部下達はお辞儀をして出て行った
「あのぁー 私車で呑めないのよ」
「ハハハ 大丈夫ですよ 部下が運転しますから」
「神山さんは どうするの」
「ははは 僕は30分寝かせてもらうよ 大丈夫だよ」
神山が呑み始め 泰子や亜矢子も呑むと神山の携帯電話がなった
「はい 神山です」
「洋子です 今 大丈夫ですか?」
「うん 何かあった?」
「いいえ 権田社長を今お見送りしてきました」
「そうか 早かったね」
「ええ クリスタルに随分と興味をもたれ 時間をとられたんです
それで上原の駅前寿司に電話をして お土産を包んでいただき しめ鯖も
おつまみ用に 包んでいただきました なのであそこで昼食が
出来なかったんです」
「そうか 残念だが仕方がないね」
「それで今 新幹線に乗られて名古屋に帰られました」
「分かった ありがとうございます で翔はどうした?」
「ふふふ 本人 課長だと思っていたでしょ」
「うん」
「部長って聞いたとたん 動けなくなって 大変でした ふふふ」
「そうか それでアルタではどうしたのかな?」
「アルタでも 緊張して内藤さんが大変だったみたい ふふふ」
「へぇー そうそう 今日はこのまま帰ります 何かあったら携帯まで」
「ねぇー 翔くんのお祝い どうするの?」
「仕方ないよ 明日だ 洋子の分はお願いね」
「はーい 分かりました ところで 亜矢子御殿はどうですか」
「うん 順調です」
「はーい」
その時泰子が神山に耳打ちをした






2013年4月27日土曜日

Vol.1022 紫陽花 -16-61



不動産屋社長の勝間田が女将に挨拶をしていた
しかし神山はこの程度の打ち合わせで わざわざここを利用しなくても
会社などで出来ると思っていた
部下は早速スケールモデルをテーブルに置くと 勝又の説明が始まった
A案B案と二つ用意されたスケールモデルはどちらも良く考えられていて
亜矢子も迷っていた
A案の基本コンセプトは お互いの生活プライバシーを得る所にあり
B案はその逆で 直ぐに母親の生活空間に入れるところだった
具体的にはA案は 平屋で亜矢子が生活する棟と母親が住む棟が 渡り廊下
の空間で繋がっていて その渡り廊下の外側には日本庭園が設けられる
設計になっていた 一方B案は見える所は2階建の造りで傾斜を利用し
3階建ての構造になっていた 傾斜に対し細長く突き出た箱が 
高いところでは1階しか見えず 先端に行くと3階が現れる 丁度
山の中に埋まっている 箱の家って感じになっていた 
こちらは 南側斜面は各階全面ガラスになっていて 採光も充分だった
しかし 1階から上層階 或いは上層階から1階に移動するのに 部屋の
奥にあるスロープを使わなければならず そこがネックだった

神山は全てを聞いて考えていると亜矢子が
「どうなのかしら 私はA案の方がいいと思っていますが」
「うん B案のスロープで移動って いいと思うけれど 勿論 
車椅子になったら 凄く重宝だよ でも平屋のA案のほうが 使い勝手が
いいし これをたたき台にして発展させる事が出来ます」
「そうね」
神山は勝又と亜矢子にスケールモデルで提案をしていった
「まず 北側以外は全面ガラスにすると どうですか?」
「ええ そうすると鉄骨が入らないんですよ」
神山は暫く考え
「なら この寝室部分の部屋を大きくして 鉄骨をいれ 北側のコンクリの
鉄筋で持ちませんか」
勝又は暫く考え 部下と話すと
「それなら 大丈夫ですね」
凹字の下部が北側で その部分を鉄筋コンクリートで仕上げ 出っ張った
処に真ん中に部屋を造る事を考えていた
「それなら 真ん中の部屋も鉄筋コンクリートで仕上げれば 耐震性など
充分でしょうか」
「うーん 耐震性より 天井に梁を一杯入れられるので 天井の安定は
良くなります 耐震はくい打ち本数です 勿論家全体の重量もあります」
神山は簡単なスケッチを書くと 勝又は頷きながらデザインを見ていた
「いいですね 神山さん この渡り廊下をダイニングとリビングに
するなんて うーん なかなか良いです そうすれば ゆっくりと
寛ぐ事が出来ますね」
「ええ どうでしょう 北側と真ん中の四角い所はコンクリート仕上げで
あとは全面ガラス でもメンテナンスが大変かな どう 亜矢子さん」
「ええ そうね でもお掃除を頼むように考えているので大丈夫ですよ」
「そうか 僕の所も入っているよ 正直高いところまで掃除出来ないしね」
「そうしましたら神山様 桜川様 これをたたき台にして 神山様の
アイデアを頂き 再度スケールモデルを製作します そこで神山様
あと 何かございますか」
神山は暫く考え
「このコアになる四角い部屋だけど 例えば寝室を5mx7mの大きさにし
4つ分だから 10mx14mと大きくなります 大丈夫ですか?」
「ええ 全然大丈夫ですよ かえってその方が杭が一杯入りますし」
「それから その4つの部屋の中は使い勝手がいいように 壁をふかして
柱を出さないようにしてください」
「そうですね 柱が出ると 無駄な空間が出来ますからね しかし真ん中の
太い杭のところでは 壁厚が50cmから70cm位になりますよ、、、」
「うん そうしたら 影響ないところでコンクリを薄くして その空間に
棚を設ければ良いでしょ ほらホリゾントにしてもいいし」
「そうですね その方が経済的です はい」
「ちょっと気になっているんですが いいですか」
「はい」
「この平らな所に建てると 玄関前の奥行きが狭くなると思うんですよ」
「ええ そうですね 大体ですが 15m位ですかね」
「そうしたら 家自体を斜面が始まる所まで持って行けば 奥行きが
30m以上になりますね」
「ええ 大体そのくらいです」
「それで 南側斜面の突き出た所は高床式のように杭が見えるようになり
どうでしょうか?」
「ええ 大丈夫ですよ 杭に化粧しますから でもこの傾斜なら そうだな
先端で 20cmか30cmの浮きになります なのでご心配ないですよ」
「そうしたら その部分をコンクリで隠した方が丈夫になりませんか」
「そうですね そうしましょう それで行きましょう」







2013年4月26日金曜日

Vol.1021 紫陽花 -16-61



「泰子 そうだな まだ時間があるから 熱海でも宝くじを買おう」
そう言うと 熱海駅のロータリー脇に駐車をして いつもの宝くじ売場へ
いくと おばさんが覚えていて
「いらっしゃい」
とニコニコした顔で迎えてくれた
「まずは スクラッチからだよ いいかい」
神山は神経を集中すると 手の動きが止まった宝くじを削った
「ほら 5万円も当ったよ」
「ほんと 凄いわね じゃ 私ね」
泰子は神山の手を握ると同じように 宝くじの上で手の動きが止まった
削ってみると10万円が当った
「わぁー 凄い 本当だぁー」
「でもね 泰子 この事は誰にも話しては駄目だよ いいね 当った事や
僕が赤いTバックショーツを穿いている事もだよ」
「大丈夫よ そんなぁー 信用して そうしたら宝くじを買いましょうよ」
「おいおい 昨日買ったじゃない」
「うん でもいいでしょ」
神山は昨日と同じ様に3サイズを番号にして おばさんに告げると
「うん 連番であるよ」
神山は2000円を払い 宝くじを泰子に渡した
泰子は宝くじをみて
「あらっ これって東京と違うわ」
「ああ その宝くじは 地方冶自体の宝くじさ でも当ったら東京でも
換金してくれるよ 大丈夫だよお嬢さん」
泰子は頷いて バッグに入れると神山と腕を組んで車に向った
蒼いBMWは小田原から北上し 東名高速に入ると直ぐに御殿場ICに着き
亜矢子と待ち合わせの駅前寿司屋に向った
まだ約束の10時には時間があったが 駐車場に車を止めると 見かけた
マーチが入ってきた
「やあ 亜矢子 おはよう」
「あら 早いのね おはようございます あのぉー」
「うん こちらは繊維協会の纏めをしてくれている 引田泰子さん
こちらが 桜川亜矢子 お仕事でお友達です はい」
「まぁー 私が知らない間に 本当にもう ふふふ でお幾つ?」
「はい 25です 由紀枝さんと先日お会いし話をさせて頂きました」
亜矢子は経緯が分からないので 神山に説明を求めた
神山は由紀枝と泰子は学生時代フランス語大会などで知り合った友人で
祐子や由貴 桃子なども知っていると説明した
「へぇー そうなの で 神山さんの秘書?」
「ええ なので今日は洋子秘書の代理でこちらに伺いました」
「えっ 洋子さんの代理?」
「ハハハ 冗談だよ 泰子 こらっ 駄目だよびっくりするよ」
「もう 初対面で驚かせないで ふふふ でも由紀枝さんに似ているわね」
「ありがとうございます 亜矢子さんも洋子さん そっくりで綺麗ですよ」
「もう はい ありがとうございます ふふふ 楽しいわね」
「うん ゴルフの腕前はピカイチだよ 僕も負けた ははは」
「えっ あなたが負けたの スクラッチで?」
「うん 負けた ははは 今度教えてもらうよ 泰子お願いね」
「へぇー 私も教えてね お願いします ふふふ」
「なので カトリアーナや由貴なんかも仲間だし 桃子ちゃんとは
双子の姉妹みたいに いつもきゃぁーきゃぁーと騒いでいるよ ははは」
「へぇー 桃子ちゃんて あのくるくると目が可愛い子でしょ」
「うん ほんと何が楽しいのか ねぇ泰子」
「もう 神山さんて 嫌い そんなことばかり言って 本当のこと話すから」
「おいおい なんだよもう」
「だって 私をそんな苛めるんだもの 亜矢子さんに話そうかなぁー」
「おいおい 何を話すんだよ」
「ふふふ 我慢できなくて 発射したでしょ それも2回や3回じゃなく
もっと一杯 ふふふ どう」
「わかった ごめんなさい もう言わないから やめてくれ お願いします」
「でしょ 折角バージンを提供したのに もう」
「貴女も バージン提供者なの、、、」
「そうよ 桃子ちゃんだってそうだって 言っていたわ」
「へぇー そこまでは知らなかったわ 神山さん 駄目よ苛めちゃ」
「はい ごめんなさい 泰子 もう言わないから 勘弁してね」

3人が話していると 不動産屋の車が駐車場に入ってきた
「おはようございます 神山様 桜川様」
「おはようございます 社長」
建設会社社長の勝又は部下に大きなスケールモデルを持たせ 寿司屋の
裏手に入っていくと 女将と挨拶をしていた
神山たちも 後についていき 離れに入った
「やあ 女将さん 申し訳ないね ありがとう」
「いいよ どうせ空いている時間だから」







2013年4月25日木曜日

Vol.1020 紫陽花 -16-61



「やあ おはよう 早いね」
「もう 何言っているの もう7時でしょ 早くないわよ 寝坊よ」
「ハハハ きついね 今日は御殿場に10時だから 8時45分頃ここを
出れば充分に間に合うよ えっ ちょっとまだ6時だよ おいおい」
「あれっ」
泰子はTVをつけてみると確かに6時10分だった
「あーあ 時計が壊れたのかしら 参ったなぁー ごめんなさい」
「よかったよ 急に1時間早くなるとこっちが困る」
泰子は髪を洗い スッキリしたいというので 神山が洗ってあげた
「ねえ 大きくしているでしょ 駄目よ 目を開けられないんだから もう」
泰子は手でゴシゴシとしごき始めると 神山は肉棒を更に硬くした
「分かった 泰子 出ちゃうよ そんなぁー」
泰子は両方の手でスピードに変化を付け 握りの強さも加減して動かすと
「でるぞー」
そういうと 肉棒からスペルマが勢い良く発射され 泰子の顔に当った
「わぁー ベトベトが 顔に もう 嫌だぁー」
神山は上がり湯で流してあげると 泰子は
「ねえ 顔だけど 男に変身していない?」
「ははは 大丈夫だよ 綺麗になったよ」
それでも泰子はもう一度顔を洗いなおした
風呂から上がると ドライヤーで乾かし髪の毛を左右に振った

神山がボストンの中を探していると泰子が
「何を探しているの?」
「うん パンツ 着替えのパンツだよ 忘れたかな まあいいか」
「嫌だぁー じゃ穿いていたのかして 洗濯するから はやく」
神山は仕方なく赤いTバックショーツを渡すと泰子が
「まぁー 婦人用じゃない もう そんな趣味があったの へぇー」
「おいおい これが良いんだって 締め付けしすぎなく 収まりもいいの
それにこれを穿いていると 幸運の女神が守ってくれるんだ
だから昨日もこれを穿いていたお陰で 宝くじ当ったでしょ」
「へぇー そうなの」
「そうだよ 話したけれど お友達の宝くじ買うときはこれを穿いていた」
「へぇー 凄い じゃ丁寧に洗うわね ふふふ でも小さいわね」
泰子はなれた手つきでTバックショーツを洗うと バスタオルに挟んで
パタンパタンと両手で数回たたき ドライヤーで焦げないよう乾かした
まだ少し乾いていないので 背の低い衣桁にタオルと一緒にかけ干した

7時を少し廻った所で 朝食の準備が始まった
若女将は いつものように手際よく準備すると 焼き魚を焼いたり
地元のはんぺんを焼いてくれたりした
神山はビールを2本頼むと泰子が心配そう顔をしたがウインクして返した
若女将がビールを持って来ると 神山は
「8時40分過ぎに出ますので 計算しておいてください」
「はい 神山さま あのぉー TJカードはご利用になられないんですか」
「ええ いつもだと悪いし 大丈夫ですよ ははは」
若女将も笑顔で部屋を出て行った
純和食が美味しく 新鮮で素朴な味が泰子にも受けた
「朝から お刺身なんて 贅沢ね ふふふ でも新鮮だから美味しいわ
ねえ これってシラスかな なんだろう」
神山も若女将に聞くのを忘れた
一口食べると甘くて美味しかった
わさび醤油でもいけたが しょうが醤油で刻みねぎが美味しかった
熱々のご飯が良く入り 御代りをすると泰子も御代りをした
「美味しいわ この桜えびも凄く美味しい 新鮮なのね
生なんて滅多に食べられないでしょ だから余計に美味しいのね ふふふ」
神山も同感だった 桜えびは普通乾燥していて お好み焼きなどで
使う程度で 生の桜えびは格別に美味しかった
綺麗に食べると神山は片付けの電話をし泰子に
「悪いけれど 30分寝かしてください」
「はーい 了解です」
神山は布団にいくと 直ぐに眠りについて その間に食卓は綺麗になった
泰子は時間まで 神山の顔をじっと見て色々な角度から観察をした
それに飽きると 露天風呂に入り ゆっくりと寛いだ
TVを30分タイマーで合わせておいたので 電源が落ち画面が消えると
泰子は体を拭いて 神山を起こした

「やあ ありがとう」
神山は時計を見て丁度30分寝た事を確認し 缶コーヒーを飲むと
「うん すっきりとした ありがとう これで運転は大丈夫さ」
丁度8時30分になったので 身支度を済ませ 会計を済ませた
玄関で若女将や仲居たちが 丁寧にお辞儀をして
「またのお越しをお待ち申し上げます」
神山は駐車場から蒼いBMWを出すと泰子を乗せ 熱海に向った








2013年4月24日水曜日

Vol.1019 紫陽花 -16-61



少しずつ大きくなっていく肉棒を漸くしゃぶり始めると 体を入れ替え
神山の顔に自分のクリトリスを宛がい 腰を前後に動かし始め
「あっ あっ 気持ちいいわぁー あっー」
泰子のヴァギナからはぬるぬるした体液があふれ出てきて 神山の顔は
べちょべちょになった
「泰子 ちょっと待ってくれ」
神山は起き上がると 顔のベトベトを手で拭い 泰子を寝かした
両足をV字に開脚させ 天井に向けると 恥ずかしいのか腰を動かしたが
神山がすかさず ヴァギナとクリットの愛撫を始めると 自ら両足を
更に広げ 両手で膝の辺りを押さえ 足を閉じない様にしていた
神山は舌先を尖らせヴァギナの中に入れると 泰子はそれに合わせ腰を
前後に動かし始め 呻き声を発するようになった
「はぁー あっー はぁー あっー ねえ 入れてください はやくぅー」
神山は泰子のヴァギナに肉棒を挿入すると泰子は
「ああっー はいってきたぁー あっ あっ あっー いいわぁー」
神山はゆっくりと腰を動かすと 泰子もゆっくりと腰を動かし始めてきた
「いいわぁー 気持ちいいわぁー あっ あっ あっ 」
少しずつ 腰の動きを早めると 泰子は更に腰を動かし 顔を左右に振り
汗で髪の毛が 額にへばりついた
更に早く動かすと 自分で乳首を触りだし 上体を反らすようになった
神山は空いている手で もう片方の乳首を愛撫すると 完全に状態を反らし
ガクンと上体が落ちると 動かなくなってしまった
神山はまだ発射していなかったので そのまま続けると 先ほどと同じ様に
上体を反らし始めた
「だめ 可笑しくなる だめ あっ あっ きもちいいー あっー」
神山は腰の動きを最大限早くすると 膣がきゅんと狭まり 肉棒が
悲鳴を上げてきた 動かすと 亀頭が更に硬くなり 泰子も気持ちいいのか
腰を動かし 顔は左右に振って 快楽を求めた
神山は我慢できずに発射し 頂点を迎えると 泰子もぐったりしそのまま
動かなくなった
神山は裸のままでテーブルに着くと冷蔵庫から缶ビールを出し一息して
タバコを吹かしはじめた
泰子はうっすらと目を開けると 化粧鏡に映っている裸体の姿を見て
我に返り バスタオルを体に巻きながら 立ち上がり神山の横に座った
「わぁー 恥ずかしいわ あんな格好で寝ていたなんて 嫌ねぇー」
「ハハハ 結構エロチックだったよ 両足をあのように広げていると
ぞくぞくするものがあるね」
泰子は神山の胸にむかって両の拳でたたいた
「もう 言わないで 恥ずかしいんだから」
神山は冷蔵庫から缶ビールを出し グラスに注いであげた

暫くすると玄関で若女将が
「神山様 ご夕飯は御済になられましたか」
「あっ はい ご馳走様でした」
「それでは 下げさせて頂きますが 如何でしょうか」
「はーい 1分ほど待ってくださいね 泰子 お風呂に入ろう ねっ」
神山は露天風呂に泰子と入ると 襖のところで再び若女将が
「失礼いたします」
といい 部屋に入ってきた
二人が夜空に輝く 星を眺めていると 片付け終わった若女将が
「神山様 下の家族風呂が空いていますが 如何されますか」
「はい いただきます 直ぐに伺います」
「はい 畏まりました」
若女将は誰もいない食卓に丁寧にお辞儀をして 部屋を出て行った
「泰子 下に露天風呂があって そこにいこうよ」
泰子は頷き風呂をあがると 神山の体を丁寧に拭き 浴衣を着せ
その後に自分も体を拭き浴衣を着た
「ねえ パンツ穿いていないでしょ 出っ張ってる ふふふ」
「泰子は穿いているの?」
泰子は笑顔でううんと言いながら 首を横に振った
家族風呂に入ると 内側から簡単に施錠が出来た
神山は直ぐに湯船に浸かると 天空の星空を眺めた
紺碧の海に群青の夜空 可愛らしく輝いてる星が今にも神山たちの処に
降って来そうな数だった
泰子が隣に座り神山に
「素敵な星空ね 嬉しいわぁー」
泰子は神山の左肩に自分の頭を乗せる格好になり そのまま星空を満喫した

7月10日 金曜日 晴
昨夜は家族風呂から上がると布団で交わり 泰子が降参をして
そのまま寝てしまった
今朝は6時に目が覚めると 朝日はとっくに昇っていて ショーを見る
事が出来なかった
泰子も早く起きて 神山が露天風呂に入っているので一緒に入ってきた







2013年4月23日火曜日

Vol.1018 紫陽花 -16-61



神山は一切れ レモンと塩をふりかけ 少し炙り泰子の口に入れてあげた
「わぁー 初めて 美味しい ほんと生より甘みが増しますね へぇー
神山さんって なんでも知っているんですね」
「ははは ほら寿司屋さんで炙りをしてくれる所があるから
それで覚えたんだよ」
「へぇー 美味しいわ 癖になるわね もう一切れ頂戴 ふふふ」
泰子は嬉しいのか 子供のような顔をしておねだりした
神山は先ほどと同じ要領で炙り 口に入れる前に わさびしょう油につけ
「こんどはまた違う味がするよ はい 食べてごらん」
泰子が口を突き出し あけると伊勢海老を食べさせた
「わぁー こちらも美味しいわ 初めて わさびが美味しいわ」
「ほら ここのわさびって 生だから美味しいんだよ」
「嬉しいわ こんなに楽しくお食事が出来るなんて ふふふ」
神山は電話で日本酒を注文した
暫くすると 熱燗を運んできてくれたので 冷蔵庫からしめ鯖を出した

「さあ このしめ鯖だけど 多分美味しいと思うよ」
泰子はしめ鯖を一口食べると
「わぁー 美味しい この味も初めて 魚がいいのかしら ねえ食べて」
神山は泰子に言われ 一切れ食べると 今までで最高に美味しかった
「うん あぶらが乗っていて 美味しい うん これなら権田さんも
上京した甲斐があったと言うものですね」
「そうすると 明日の行事ではなくて このしめ鯖なの、、、」
神山は権田が上京する経緯を掻い摘んで説明すると
「ふふふ って事は 権田さんはしめ鯖に釣られたって事なのね ふふふ」
「まあまあ だから美味しいのが食べられて 今夜は満足でしょ」
「そうね よかったわ ふふふ」
泰子は何が嬉しいのか ずーっと笑顔を絶やさなかった
神山もこの笑顔を見ていると 仕事を忘れさせてくれた
お猪口を持つと 徳利を持ち注いでくれ 神山が
「しかし 良く気が付くね たいしたものです そうだ 夏のボーナスを
渡さなければいけないな ちょっと待っていて」
神山はボストンから包みを取り出すと 泰子が座っている座布団の脇に置き
「これは 内緒だよ いいね」
そう言うと席に戻り 日本酒を呑み始めた
「良いんですか こんなに頂いて」
「ははは でも毎回じゃないから 今回は特別ボーナスだよ」
泰子はなかを見ないで 小さなバッグへ仕舞に行った
神山はちょっと意地悪をして
「泰子 中身が新聞紙だったどうするの」
「ふふふ それだって ボーナスに変わりないでしょ ふふふ」
神山はなるほどと思い しっかりしていると改めて感じた
協会の3人いる秘書で 一番頼りになる秘書だと思い 次回面談の
時には 何処かの会社で 専属秘書としてあげようと思った
「ねぇー どうしたの 返事が無いわよ」
「あっ ごめんごめん ちょっと考えていた」
「もう ねぇー 日本酒がなくなったの 注文していいかしら」
神山は分かったと言い 2合徳利を2本頼んだ
「ねえ 泰子 8月の面談だが 申し込みってどの位きているの」
「ええ 先日断った分意外だと まだ7社位です それで断った所でも
3社くらいかな 申し込みはされていません」
「そうか 分かりました でも8月に行う事は直ぐに連絡とれるでしょ」
「ええ 大丈夫ですよ ふふふ また何を考えているんですか ふふふ」
「おいおい 何も考えていないよ 今度は迷惑を掛けないようにってさ」

楽しく夕飯を済ませると 神山と泰子は露天風呂に入った
泰子は先ほどと違い 少し大胆に神山に迫ってきた
神山もそれに答え 愛撫を念入りにしていると 喘ぎ声を発し
湯船で2回も果ててしまった
泰子は少しぐったりしながら 神山を湯船の縁に座らせると肉棒を舐めた
経験不足からか 単調な動きしかできず 色々な愛撫の仕方を教えると
呑み込みが早く肉棒を硬く大きくするのに時間は掛からなかった
「後は 手を使ったときに 力の入れ具合にメリハリをつければ大丈夫だよ」
泰子は言われた事を守り 続けていると神山は我慢できなくなり
「でるぞー」
そう言うと 泰子の口の中に発射してしまった
泰子はごくりと飲み込むと 温泉でうがいをして神山とキスをした
「ふふふ 気持ちよかったんだ よかった」
「上手だよ 出ちゃったもの」
「ふふふ 先生がいいからよ ねえ あそこがむずむずして来ているの」
そういうと 神山の手を引いて 露天風呂をあがると バスタオルで
お互いの体を拭き 神山を布団に倒した
泰子は神山の上半身から愛撫を始めると 肉棒には触らず 周りを触り
肉棒の変化を楽しんだ








2013年4月22日月曜日

Vol.1017 紫陽花 -16-61



「丁度あったよ よかったね」
「連番ですか」
「うん 連番だよ」
神山は2000円だし 宝くじを泰子に渡した
渋谷ICで首都高に入り 直ぐに東名高速にはいった
「泰子 お友達全員があの方法で当っているんだ それも前後賞とかも
でも 当っているって誰も言わないんだよ わかる?」
「ええ そんな事を風潮したら身が破滅しますよ 当ったら神山さんだけ
報告しますね ふふふ 楽しいな ドキドキして」
「そうだね 抽選日までが楽しいよ 当るといいね」
「でも 当らなくてもいいです そんなお金って 使わないし
ほんと質素な生活をしているんですよ ふふふ」
神山は話していると楽しく 話が弾んだ

小田原から真鶴を抜けて 熱海を過ぎると目的の網代の清碧旅館に着いた
「神山さま お待ちしていました」 
「済みません 遅くなって」
「直ぐに夕食の手配をしますので お部屋でお寛ぎください」
若女将が離れを案内すると 神山は包んでもらったしめ鯖を冷蔵庫に入れた
「さあ 泰子 やっと二人きりになれたね」
「ふふふ そうね」
そういうと泰子はうっとりとした目つきで神山にキスをしてきた
「まずは 露天風呂に入ろうか その間に夕食の支度が出来るよ」
泰子は頷くと 後ろ向きになり 着ているものを脱いでいった
「ねえ 恥ずかしいから 先に入っていて お願いします」
「はーい 了解」
神山は脱いだものを纏めておき露天風呂に入ると 泰子が丁寧に畳んでいた
上原を早く出たお陰で 夕日のショーを見る事が出来た
「入ります むこうを向いていて」
神山は言われたとおり 泰子を見ないようしていると 桶でお湯を掬い
体を洗い流す音が聞こえた
なかなか入ってこないので 少し見てみると 後姿になり股間の大事な
部分を石鹸で良く洗っているようだった
直ぐに顔を海にそらすと 洗い流す音が何回も聞こえ泰子が
「失礼します ふふふ」
神山の隣に座ると 部屋が空き衝立の奥から
「神山さま 失礼します お夕飯の支度をさせて頂きます」
「はーい お願いします」
「あら 恥ずかしいわ」
「そんな事無いよ 大丈夫さ 見てご覧 夕日が綺麗だよ よかった
間に合って なんと言っても夕日と朝日は格別だからね」
「ふふふ 工場見学 まあ仕方ないわね でも権田様は気が付いているわね」
「うん 時田さんも気が付いているよ きっと ただ大人だからね
それに仕事をサボっている訳じゃないし 大丈夫さ」
「ねえ 明日は御殿場でしょ 何処に行くの 会社の大事な行事を休んで」
「うん お友達で亜矢子っていて その人の家を建てる手伝いなんだ」
「へぇー そうなの 大変ね」
「ほら 由紀枝が勤めているホテルの上司さ」
「まぁー そんなぁー へぇー 凄いわね ふふふ じゃ楽しみね」
「驚くよ 洋子と似ているんだよ 姉妹のようだ」
「へぇー じゃ益々楽しみね」
泰子は神山のおちんちんを触りだした 少しピクと動くと泰子はキスをした
神山はお返しに乳房を愛撫すると 少し喘ぎだしたが我慢をしていた
「いいよ 声を出しても」
夕飯の支度をしている若女将に聞こえないよう小さな声で話すと
泰子は口を開かず 首を横に振り 肉棒を上下にしごき始めた
神山は我慢大会かと思ったときに 若女将が
「神山様 お風呂から出られましたら 電話でお知らせくださいね
焼き魚や暖めるものがございます お願いしますね」
「ふぁーい ありがとう」

結局お風呂では少し遊んだだけで 直ぐに出て浴衣を着た
「おお 美味しそうな伊勢海老 これは縞鯛かな 美味しそうだね」
神山は電話をすると 若女将が部屋にやってきて 一人用の七輪に火を
入れたりし 焼き魚も焼いてくれた
「神山様 ビールでよろしいですか」
「ええ 2本 お願いします」
若女将は瓶ビールを2本持って来ると 丁寧にお辞儀をして部屋をでた
「さあ 食べよう」
「はーい ほんと美味しそうね」
泰子と神山は乾杯すると箸を進めた
「泰子 この伊勢海老だけど ちょっとレモンとお塩を振りかけて
本当に少しだけ火にあぶると 甘さが増すよ」
「へぇー 食べてみたい ふふふ」







2013年4月21日日曜日

Vol.1016 紫陽花 -16-61



洋子は携帯電話で本社秘書室へ電話をすると 既に部屋に来ていると言われ
「それとね 洋子 寿司屋に早く行きたいって」
「はい 5時には銀座に戻れると思います」
「じゃ 帰ってきたら 連絡をくださいね もう うるさいのよ
イライラしていて 早く行きたいって そうそう時田さんも行かれるって」
「はい 神山に伝えておきます」
電話を切ると秋山と話した事を神山に伝えた
「はぁー 時田さんも一緒 了解です」
「ねえ そうすると どうするの?」
「うん 顔だしをして 洋子は残ってください 僕は車だから呑めないし
そのまま御殿場に入ります」
「そうね 分かりました 泰子さん大丈夫?」
「うん ちゃんと紹介するし 大丈夫だよ 機転も利くし うん
帰りの車の中で話しておきます」
「はい じゃ帰りましょうか その前におトイレ ふふふ」
洋子は泰子と一緒に県庁内にあるトイレに向った

銀座に着いたのは4時50分で 県庁からICまでに時間がかかった 
洋子は早速秘書室に連絡をすると 5時に本社ビルの下で待つと言われた
「そうしたら 洋子は僕の車に乗っていけばいいよ」
神山は洋子に帰りのタクシー代と寿司屋の分で20万円を渡した
「神山さん 私の方にある軍資金で出しますよ 引き出し一杯だし」
「うん 分かりました じゃ このお金は今日のご褒美だよ ねっ」
洋子はニコニコしてもらうと 改めて軍資金を持った
「神山さん それから終わった後 加奈子と由実子の3人で呑みに行きます」
「おうおう そうか そうしたらその分も持って行きなさい いいよ
でも明日の朝 ちゃんとアテンドしてくださいね それから列席も」
「はい 呑み過ぎないようにします」
神山たち3人は蒼いBMWで本社ビルに行くと既に権田の車と時田の車が
待っていて 神山は挨拶をすると ゆっくりと走った
上原駅前寿司屋に着くと 女将が時田の顔を見て奥座敷に案内した
テーブルは2卓つなぎ 大きなテーブルになっていた
権田と加奈子が上座に着き 泰子 神山 洋子 時田 由実子と座った
女将が生ビールと鮮魚のおつまみとしめ鯖のおつまみを運んできた
神山が開口一番 挨拶をした
「社長 部長命課の為に上京してくださいまして 心から感謝しております
ありがとうございます それで本日ですが 御殿場の件で静岡県庁に伺い
OKを頂いてきました ありがとうございます」
「おお そうか それは良かった なあ時田さん」
「よかった 良くやったぞ山ちゃん うん」
「って 事で乾杯です」
みんなが生ビールを美味しそうに呑むと 神山も一口呑んで
「社長 実は私はこの後も別な現場に行きます 隣に座っているのは
繊維協会の纏めをしてくれている 引田泰子さんです さあ」
「神山理事の秘書をしています 引田泰子です こんばんわ
神山理事はこれから工場見学があり その為に私もお供します」
「はぁー 山ちゃん まだ仕事か」
「ええ なので しめ鯖をおつまみで包んでいただき 早々に退散です」
神山はこの後の事を余り聞かれたくなくGOLの詳細を説明した
「そうか 静岡県庁を見方につけてよかった うん ご苦労さん」
「それで 明日は朝早くから御殿場へ行きます なので杉田君の命課や
クリスタルのアテンドは洋子が全て行います 申し訳ございません」
「うん 体が幾つあっても 大変だな 分かった 一杯仕事をしてください」
神山は時計を見ると5時半を少し廻っていたので 女将にしめ鯖を
包んでもらい 洋子にアイサインを出した
「では 社長 副社長 退散させていただきます ご馳走様でした」
「おう 山ちゃん 車の運転 気をつけてな」
「はい ありがとうございます では失礼します」
神山と泰子は残った5人に丁寧にお辞儀をして寿司屋を出た

「さあ 遅くなったけれど これからだ」
「まあ そんな事無いですよ 一緒に居られるだけ幸せです」
神山は渋谷駅で車を止めると 駅前の宝くじ売場に行った
「どうしたんですか」
「うん 運試しさ さあ挑戦してみよう」
神山はスクラッチのくじを並べてもらうと 自然に手が動き
「うん これだ」
削ってみると なんと10万円当った
「さあ 泰子 僕の手を握って ゆっくりとくじの上を探ってご覧」
泰子は半信半疑で手をくじの上に差し出すと 一枚の上で動きが止まり
削ると 5万円当った
「ようし そうしたら 泰子の3サイズ教えてよ その番号で買うから」
泰子は少し照れながら神山に伝えると 神山くじを売っているおばさんに
番号を伝えた







2013年4月20日土曜日

Vol.1015 紫陽花 -16-61



「ご無沙汰しています」
佐藤は泰子を見たが この事業に関係しているのか否か不思議に思ったが
この場では神山に聞くことはしなかった

竹内は全員が揃った事だし 早めに打ち合わせをしようと提案したので
「ありがとうございます ではデザインの説明をさせて頂きます
今日は ここに居る内野誠二君にしてもらいます 勿論 私もさせて
いただきますが じゃ 内野君 お願いします」
佐藤と高橋は内野誠二が課長代理になる事を昨夜知らされて 今日の会議に
出席する事も知らされていた
高橋孝一が持って来たデザインスケッチなど 全てを揃えると内野は
深呼吸を一回して説明を始めた
3つのブースと地下部分の説明が終わると神山は100点満点をあげた
「如何でしたか 竹内さん 山城さん」
「はい ありがとうございます 大変分かり易く拝聴させて頂きました
僕の方はこれでOKですが 山城さん 何かありますか?」
「いいえ 私も環境保護や顧客の事 特にお子様のことを良く考えられた
素晴らしいデザインだと感動しています ありがとうございます」
「よかった それでは次に洗車場のデザインに入ります
この部分は私が説明させていただきます」
神山はデザインを見せながら フロントガラスに反映される映像の
一コマ一コマを分かり易く整理されたパネルを見せた
「なるほど そうすると車に乗っている間 この映像が流れるわけですね」
「ええ それでパテントの関係で 最後に会社名が出てきます
最後のコマですが このような感じです 実際どのようなロゴを入れるか
まだ検討しています」
「素晴らしいですね これなら家族全員が車に乗っていても飽きませんね」
「ええ ソフトもなるべく多く用意し 選択肢を増やそうと考えています」
「分かりました それで洗車の金額はどの位に設定されているんですか」
「ええ まだ決まっていませんが 大体2000円前後でいけると思います
洗車だけではなく ワックスも入っていますからね」
「そうすると 街中のガソリンスタンドと同じくらいですね」
「ええ そうすれば わざわざ街中で洗車してもらうより ここでした方が
楽しく時間が過ごせますからね」
「分かりました 神山さん ありがとうございます 助かりました
3つのブースも大変素晴らしいアイデアとデザイン 地下共有部分の
有効的な活用 どれを取っても素晴らしいの一言です」
「こちらこそ ありがとうございます」
「そうしますと 最終的な書類のやり取りが発生しますが 次長室で
いいですか それとも各ブースの会社に送りましょうか?」
神山は暫く考え
「私のところで纏めていますから 次長室宛でお願いします」
「では ありがとうございます」
「そうそう竹内さん 消防にだす書類も入ってきますか」
「いえ 構築物の法令関係書類は後日郵送します まずは契約書関係です」
「はい お待ちしています ありがとうございました」
神山は竹内と両手で握手をすると 竹内が
「落ち着きましたら 行きましょうね お待ちしています」
「はい 分かりました」
神山は山城とも両手で握手をした
「神山さん 嬉しいですわ 落ち着いたら来て下さいね 待っています」
「はい お願いしますね」
神山たち6人がお辞儀をして部屋を出ると 佐藤が
「神山さん 本当にありがとうございます よかった」
「ハハハ 僕は何もしていませんよ 考ちゃんたちの仕事がよかったから」
神山たちは県庁を出ると 内野誠二が神山に
「神山さん 僕は高橋さんたちと一緒に帰ります 済みません」
「ははは いいよ そうそう 明日人事命課だよ 確認しておいて」
「えっ 人事命課ですか どうしたんだろう 時期がへんだな」
佐藤部長が
「11時に会議室だ 忘れないようにな」
「どこかに飛ばされるのかな 参ったなぁー どうしよう」
「ハハハ 静岡支店だったりして」
「またぁー 神山さん それは無いでしょ」
「いやいや 御殿場の事を考えれば有り得ることだよ ねえ洋子」
「さあ 明日まで我慢してね お仕事に集中よ いいわね」
「はい 頑張ります」
神山が佐藤にタクシー代を渡そうとすると
「まだ充分残っていますので 使わせていただきます」
洋子がタクシードライバーと相談すると 佐藤のところに来た
神山たちが佐藤を見送ると
「さあ 洋子 今 3時半だろ 5時には着くね」
「ええ 余裕ですね」
「権田さんの事を聞いてくれるかな」







2013年4月19日金曜日

Vol.1014 紫陽花 -16-61



今度は真紅のポルシェに洋子と泰子が乗って 蒼いBMWには内野が乗った
「おい 元気を出してくれよ いいね」
「はい 田所理事から 一杯注意を頂きました はい」
「ハハハ 仕方がないよ 今まで僕のことを男と感じていたんだから
でもね 彼女達が言っている事は 間違っていないよ それが女の本性だし
そこら辺を弁えないと 涼子さんにも愛想つかされるよ」
「そうですね 勉強になりました」
「うん 頑張ってくれよ 期待しているんだから」

「ほんと あの男はどうにもならないわね」
「洋子さん そんなに怒らないでくださいよ 彼だって それなりに
何かを話したかったんだと思いますよ ただ洋子さんと波長が
合わないから それが雑音に聞こえていたんですよ きっと」
「ふふふ 泰子さんって 優しいのね 男にだけでなく そうだわね」
「私 ちっとも優しくないですよ 自分が優位になるようにしか
考えてきていません だけど神山さんを知ってから なにか違うもの
そう 仲間を大切にする意識かしら それを学びました」
「まぁ 短時間で 凄いわね 私なんてまだ分からないわ ふふふ」
「もう 洋子さんたら 知っているのに でなければお友達じゃないでしょ」
「ふふふ そうね そう泰子さんの言われた事って 凄く良く分かるわ
でも私は ちょっと違う所で神山さんを見ているの 勿論お友達もね」
「へぇー 凄いですね」
「でも 貴女のほうが シンプルな考え方だから 凄いわ ふふふ」
洋子はこの時 泰子が由紀枝のライバルになると思った

県庁に着くと駐車場に車を止め 神山が
「さあ 直ぐそこに美味しいマグロがあるんだ 行きましょう」
神山たち4人は県庁裏のマグロ定食屋に入った 
今日も1階は満員で2階に案内された
定食を少し待ってもらい ビールとぶつ切りを注文するとお新香が出てきた
以前来たときにはメニューが無かったがA6くらいの小さなメニューがあり
簡単だがおつまみが記載されていた
「へぇー 静岡豆腐だって 食べてみよう」
神山は仲居を呼ぶと 静岡豆腐や酢の物も追加注文した
「どうだね 誠二君 ここがなぜ流行っているか 探れるかな?」
「ええ まず注文して直ぐに運ばれてくる事 それから食べてはいませんが
マグロが美味しい事 料金がめちゃくちゃ安い事 そんな所かな、、、」
「はい全部正解です ただしあと一つ ほら仲居さんにしても飾りっけが
無く威勢が良いでしょ そしてにこやかにしているでしょ そこも人気の
一つだよ 猟師町って 威勢がいいのが特徴でしょその雰囲気だなここは」
「そうかそうですね 都会の寿司屋さんと雰囲気が違いますね わかります」
「ははは もう大丈夫だ 誠二君は 少し思い込みすぎる所がアル それが
いい方に働いている時はいいんだが ほら池ポチャのように悪い方に働くと
自分をコントロールできなくなるんだよ そこを直せばもう大丈夫さ」
内野誠二は俯いてしまい 箸が進まなくなった
「おいおい誠二君 どうしたんだ 例え話で今は仕事だよ しっかりしろよ」
「はい 分かりました」
そう言うと 誠二はビールを一口呑むと箸を進めた
この時泰子と洋子は何も言わず 豆腐やビールを呑んでいた
「このお豆腐 美味しいですね 洋子さん」
「ええ 何が違うのかしら」
「まず 甘いでしょ 大豆の香りがわずかに残っている感じ かなぁー」
「ハハハ そうだね 美味しいね ちょっと甘くて美味しいよ うん」
ビールを6本呑んだ所で定食を注文した

全て綺麗に食べ終わると コーヒーを飲みたくなり 県庁内にある
レストランに入り 神山と内野誠二はコーヒーを注文し 洋子と泰子は
フルーツパフェを注文した
「しかし いつも思うけれど 良く入るね ビールも呑んでいるのに」
「ふふふ ほんと 自分でも大丈夫かしらって 考えてしまうわ」
「ほんと お金を積まれても駄目なのに 信じられないな もう」
洋子と泰子は顔を見合わせながら クスクス笑い食べていた
コーヒーを飲み終わると神山は時計を見た
「まだ時間はあるが 国土開発の山城さんに挨拶をしようよ」
「そうね 少しくらい早くてもいいでしょ」
神山たちはエレベーターで国土開発課へ行くと 山城が神山を見つけ
「神山さん いらっしゃい 竹内が待っていますよ どうぞ」
「あのぉー アルタの佐藤は到着していますか」
「ええ お部屋に入られています どうぞ」
隣にあるプロジェクトチームの部屋に入ると 佐藤と高橋が座って
神山の来るのを待っていた 佐藤が神山をみて
「神山さん 早かったですね」
「ええ 少し早めに着ました」
「やあ いらっしゃい 神山さん さあどうぞ」








2013年4月18日木曜日

Vol.1013 紫陽花 -16-61



「ええ 大丈夫です でもあの引田さんって 凄い人ですね」
「なんで?」
「だって 初対面の それに年上ですよ なのにあんな言いかたして」
「ははは 内野君 まだまだ修行が足りないわよ そこを踏まえての
貴方に対して発言でしょ 私には判るわよ だって正直に正確な
ピンポイントで指摘されたでしょ その他の事は何も
言われていないじゃない ちがう?」
内野誠二は考えたが洋子の言うとおりで
「ええ そうです その通りです 参ったなぁー」
「そんな事じゃ 涼子さんを幸せに出来ないわよ もっと本質を見てね」
「はい ごめんなさい」
「あらあら 左のウインカーを出しているわ よーし抜こう」

先行する洋子の真紅のポルシェがブレーキランプを頻繁に出してきて
神山も洋子のスピードに合わせると 左ウインカーで走行車線に入ると
神山も走行車線に入った
前を見ると洋子の前に男2人組みの白い車が走っていて 洋子は多分
覆面パトカーと感じ取りスピードを落としたと思った
暫くそのままの体制で運転していると 白い車がICで降りたので洋子は
また普段のスピードに戻し運転を再開した
「神山さん どうしたんですか 洋子さん」
「うん 多分覆面だったんだろう」
「へぇー 凄い そんな事分かるんですか?」
「うん 彼女はそこら辺のところは 特殊技能さ 僕は分からないもの」
「へぇー 洋子さんて 凄いですね 私 憧れちゃいます」
「おいおい ほどほどにね」

「田所理事 今のはどうしたんですか?」
「うーん シロで男が2人でしょ 考えられるのは覆面よね」
「なるほど うーん 勉強になります」
「だって こんな所乗用車で男2人って不思議でしょ そう思わない」
「はい そうですね 気をつけます」
「だから もっと勉強しないと 駄目よ 折角神山さんもあなたの事を
後押しをしているんだから もう」
「えっ 神山副社長が 僕を後押しですか、、、」
「もう だから静岡に行くんでしょ 分かってないわね 本当に」
「はい ごめんなさい」
「この件は 内藤さんにお願いをして それで来ているの 分かる」
「はい ごめんなさい」
「あのね ごめんなさいってばかりだけど 会社では通用しないから
いい これからごめんなさいは言わない事 命令です いいですね」
「はい 、、、」
「神山副社長も私も 内藤社長も貴方を育てたいのよ 分かってね
でないと 次が育たないでしょ そこまで考えているのよ」
「はい 頑張ります」
「そうよ 頑張ってもらわないと 鈴やだってアルタだって潰れるわ」
「えっ 潰れるって」
「当たり前でしょ それだけ先行投資しているんです 分からないの
だから神山副社長は大変な毎日をこなしているんじゃない」
「、、、、、、」
「少しは爪の垢でももらいなさい もう」
洋子はそう言うとアクセルを思い切り踏み込んだ

「あれっ 洋子 どうしたんだよ スピードあげて おいおい」
神山もどんどん離されて行く真紅のポルシェを追いかけた
暫くすると 左側から洋子の車を追い抜き 神山が先行した
追い抜くとき洋子の顔を見た神山は 多分内野と話がかみ合わず 精神的に
イライラしていると思った
神山が先行して静岡ICで降りると直ぐにコンビニで車を止めた
洋子や泰子がトイレに行くと神山は缶コーヒーを買って待った
タバコを吹かしていると泰子と洋子が戻ってきて
「もう 内野君ってまだまだ子供ね ほんと話しをしているだけで嫌になる」
「おいおい 自分の部下だよ それはないだろ もっと優しく接してよ」
「あのぉー お言葉ですが 私もそう思います っていうのも神山さんの
存在が大きすぎるんですよ 直ぐそこに対象となる男がいるんです
そこは分かって欲しいと思います 洋子さんが悪い訳ではないですよ」
「おいおい そんあぁー じゃ僕はどうすればいいんだぁー ははは」
内野誠二は3人の仲間に入れず コンビニの脇でタバコを吸いながら俯き
時々空を見上げながらため息をついていた
神山は時計を見ると12時になっていたので
「さあ そうしたらもう少しで県庁です そこに着いたら美味しいマグロを
嫌というほど食べましょう いいですね おーい誠二 いくぞー」
「はーい 分かりました」







2013年4月17日水曜日

Vol.1012 紫陽花 -16-61



赤坂のスタジオに着くと神山は洋子が運転するフェアレディーZをだし
「じゃ 洋子 内野誠二君とドライブしてください」
「あのぁー 真紅のポルシェじゃ だめ?」
「いいよ 向こうに乗る?」
「うん あの方が ほらトルクがあるし ふふふ」
「分かりました」
神山はフェアレディーZをガレージにしまうと 真紅のポルシェをだし
「では お願いしますね」
「はーい」
神山の蒼いBMWには助手席に泰子が座り 洋子の運転する
真紅のポルシェには内野誠二が助手席に座った
祐子から聞いていた 庭の掃除をする職人達が神山にお辞儀をした
「じゃ 祐子 お願いしますね」
「はーい 行ってらっしゃい」

神山と洋子はスタジオを出ると直ぐ傍にあるガソリンスタンドで
ガスを満タンにすると 首都高に入り東名まで走った
幅が狭い首都高では洋子の真紅のポルシェに動きは無かったが
東名に入ると神山の蒼いBMWを抜きたいのか 時々パッシングし
神山もわざと抜かせ 先に行かせると 凄いスピードで走っていった
御殿場をもう少しという処で真紅のポルシェの左ウインカー点滅した
神山も左ウインカーを出し サービスエリアに入った
洋子の真紅のポルシェから内野誠二が飛び出しトイレに駆け込んだ
「おいおい どうしたの 洋子」
「うーん おしっこだって もう 男なのにねぇー 泰子さん」
「ふふふ 私は楽しかったわ 大丈夫でしたよ ぜんぜん」
「ここって 足柄だろ まだ半分も着ていないよな 大丈夫?」
「ふふふ 大丈夫でしょ 多分 でもね さっき大変だったのよ
もう 漏れます お願いします スピードを緩めてって それで
どうしたと思う」
「うーん」
「おちんちんの根元を掴んで 我慢していたわ 私笑えなくなったけど
車を汚されるのは 嫌いだから 頑張ってねって それで寄ったの」
「はぁー そんな苦労があったんだ へぇー」
泰子は冷たい缶コーヒーを4つ買ってきて 神山と洋子に渡し
「洋子さん これ内野さんの分 後で渡してくださいね」
「まあ 優しいのね 分かったわ」
神山は自身と洋子の車の運転に関して何も言わないのが不思議だったが
あえて聞こうとしなかった
3人でコーヒーを飲んでいると内野が変な格好で戻ってきた
「おいおい どうしたの 変な格好をして」
「ええ 少しだけもらっしゃったんです ごめんなさい」
「ははは 大丈夫だよ 外からは分からないよ」
この時泰子が
「だらしないわね 男でしょ もっとしっかりしなさいよ もう」
この言葉に内野だけでなく 神山と洋子も驚いた
「ごめんなさい はい」
「ねえ 本当に大丈夫なの 車を汚したら大変よ」
「うん 大丈夫」
「うん じゃ 車に乗ってもいいわ ねぇー洋子さん」
振られた洋子はきょとんとして泰子をみて
「そうね これからはもっと早く言いなさいね」
「駄目よ そんな 出すもの出して それで乗りなさい いいわね」
この言葉にも神山と洋子は驚いた
「はい もう全部出してきました 済みません」
泰子は勝ち誇った感じではなく 子供をあやすように
「正直に話すのよ いいわね でないと周りが迷惑するの いい」
「はい 分かりました ごめんなさい」
神山と洋子は顔を見合わせ アイサインで車に戻り発進させた

「泰子 さっきの一言 聞いていてこちらが怒られているようだった」
「ハハハ まぁー でも 当たり前のことでしょ」
「うん まあ でも初対面だろ それに内野君の方が年は上だし」
「まぁ 神山さんらしくないお言葉ですね 私 がっかりです
年や経験なんて 同じステージで関係ないでしょ 特に男と女って」
「ハハハ ごめん そうか その部分での話ですね 大好きですよ
僕自身も 男女の区別や年齢って関係ないし 仕事が出来る人が大好きで
特に 僕の波長に会う人は超大好きですよ ははは」
「ふふふ そうでしょ SEXだけの結びつきじゃないって分かっています
みんな 素晴らしいわ だから私もお友達になれて嬉しいわ ふふふ」
神山は後ろの洋子を見てみると 異常が無いみたいなので
わざと 左のウインカーをだすと すかさず抜いていった

「ねえ 本当に大丈夫 この車 神山副社長の個人の車よ」







2013年4月16日火曜日

Vol.1011 紫陽花 -16-61



「そうすると 今夜 社長のアテンドだな どうするか、、、」
「私が 早めに帰ってきて 6時ごろ上原では如何ですか」
「うーん 竹内さんに電話をして30分くらい早めてもらおう」
神山は静岡県庁内にある御殿場プロジェクトの竹内に電話をした
「ええ 大丈夫ですよ では1時半にお待ちしています」
神山は電話を切ると直ぐにアルタの高橋に電話をした
「考ちゃん 悪いけれど 竹内さんのところ1時半に変更です」
「了解です 30分早くなるわけですね」
「うん 申し訳ない」
神山は暫く考えた後 ここは泰子に犠牲になって貰うしかないと思い
「洋子 そうしたら ここを少し早めに出て行こう いいね」
神山は泰子に電話をして 30分くらい早めに来るようお願いした
「あのぉー 泰子さん 大丈夫かしら」
「ハハハ 昨日の感のよさは実感したでしょ 第一 秘書だよ」
「そうですね はい ごめんなさい」
「おいおい 元気を出して すんだ事だよ それより 今後の最善策を
考えてください お願いしますよ 特にクリスタルは重要なんだ いいね」
「はい ごめんなさい」
神山は竹内との打ち合わせ用の資料に目を通し漏れを確認していると
Gプロの内野誠二が部屋に入ってきた

「神山副社長 この度はありがとうございます」
「ああ 大丈夫だよ 安心してください 敷かれたレールだが
ひとつここはレールに乗ってください こちらからお願いします」
神山が頭を下げると 内野誠二は俯き泣いてしまった
「なあに 男なのに もう しっかりしなさい ほら」
「田所さん ありがとうございます 本当に嬉しいんです」
「ばかね でもよかったわね ゴールインできそうじゃない」
「はい 本当にありがとうございます 先ほど内藤社長からも 励ましの
お言葉を一杯頂きまして もう心臓が破裂しそうです」
「ハハハ そうか じゃもう池ポチャはなくなるな」
この言葉で 内野誠二は漸く神山と洋子をみて涙顔で頷いた
「わかった そうしたら涼子さんを大切にな なんといってもARXの
社長秘書さまだからね 大変だよ そこは分かっているね
勤務時間は不規則だし 休みも不規則だし いいね」
「はい 了解しています ありがとうございます では失礼します」
内野が部屋を出て行ったときに神山は洋子に
「ねえ 内野君も連れて行こう」
「えっ、、、」
「うん 竹内さんところだよ だって彼だって課長代理だろ 少し
修羅場を経験するのも良いんじゃないか どうだろう」
「そうね いい考えだわ 説明などは高橋さんが行うわけでしょ
それに佐藤部長もいるし 聞いているだけで勉強になるわね」
神山は頷いて聞いていたが 実際は内野に説明させるつもりでした
「内野君 緊急で悪いが これから静岡に行く 準備をしてください」
「えっ 私が静岡ですか だって部長や高橋さんが行かれてますよ」
「内野君 副社長命令です 10時半にここにきて下さい
それから今までのデザインも準備して 良いですね」
内野誠二は副社長命令と言われ 驚きながら出かける準備をした
神山は内藤に電話をして
「ハハハ いいですよ 内野君もいい勉強になるでしょう
またとない 絶好のチャンスですよ お願いします」
電話を切ると洋子が
「そうなのね もう出来ている所で内野君の更なる説明って訳ですね」
「うん 多少危険は覚悟しています でもその時は僕がフォローをして
現場の部分では考ちゃんがフォローをするって段取りです」
「いいわね そうやって育てていくんですね 勉強になります」
「うん いきなりって難しい 特にデザインではね そこで自信を
つけたり 駆け引きだったり勉強する所を与えるわけです」
「そうね いい勉強になりました やっぱりあなたね 普通じゃないわ」
「おいおい おばけじゃないぞ」

神山は次長席で持っていくデザインを整理していると泰子が来た
「やあ いらっしゃい」
「わぁー 素敵なお部屋ですね 直ぐに分かりました」
「さあ じゃソファーで少し待っていてね」
神山はニコニコしながら冷蔵庫からコーヒーを出しグラスに注ぐと洋子が
「まあ 随分と優しいのね もう 私にもそうして欲しいわ ふふふ」
泰子がコーヒーを飲んでいると内野誠二が部屋に来て 泰子に挨拶をした
「あっ 私 神山理事の秘書をしています引田泰子です」
「あっ 僕は アルタの内野誠二です」
「さあ そうしたら 行こうか」
神山は部屋に忘れ物が無いか確認をしてロックすると 駐車場へ車を
とりにいきビルの外で待つ3人を乗せた








2013年4月15日月曜日

Vol.1010 紫陽花 -16-61



赤坂スタジオ
神山は突然の電話で 浴室から出た
「ねぇ ごめんなさい 遅くに」
「うん 大丈夫だよ」
「あのぉー 私が忘れていました 先に謝ります」
「おいおい どうしたの?」
「ええ 9日の夕食ですが 権田社長と上原のお寿司屋さんなんですよ」
「えっ あーあ そうか思い出した そうだね うーん って事は 翌日
たしかクリスタルだろ 困ったなぁー」
「そうなんですよ」
「うん 分かりました 銀座店の儀式が終わったら権田さんをクリスタルへ
連れて行ってください 翔には悪いが こちらの方が先決だ いいね」
「貴方はどうするの?」
「うん 僕は上原にいきます そこで 静岡辺りで時間を聞いてください
時田さんも一緒だけど 僕は車だといって呑めないから 寿司屋で
説明をしますよ そうだったね ありがとう」
「そうしたら 車は1台でいいのかしら?」
「ううん 2台でいく 泰子も連れて行く なので静岡が終わったら洋子は
先に銀座に戻って 情報収集をしてください アテンドもお願い 僕は
直接上原に向います お願いします」
「はーい 了解です ほんと忘れていてごめんなさい」
「うーん 仕方がないよ でも思い出してくれてありがとう」
神山は泰子に対し 心の中で謝った
大切な時間帯に 食事や入浴など一緒に出来なくさぞがっかりすると思い
埋め合わせの旅行を直ぐに実行できるよう考えた

神山は直ぐに内藤に電話をした
「やあ 山ちゃん どうしたの 遅くに」
神山は10日のスケジュールがどうにも動かせなくなり 杉田の儀式に
洋子も出席できない事を伝えると
「へぇー 大変ですね 権田さんが部長昇進で出席ですか はぁー」
「で 10日の午前中にクリスタルに伺うようになっているんです
私もすっかり忘れていて 洋子から今聞いて しまったと、、、」
「ハハハ やっぱりスーパーマンじゃないですね 人間でよかった
大丈夫ですよ 杉田さんの事は こちらで面倒見ますから しかし
権田さんがクリスタルに興味を持たれるなんて へぇー」
「ええそうでしょ しかし私は同行できないので 洋子に行って貰います」
「山ちゃんも忙しいですね」
「ええ 実は過日お話をした友人の家を建築する件なんですよ」
「ああ あの話ですね 覚えていますよ」
「ええ それで土地購入も立会い こんどはうわものの立会いなんです
なので どうしてもそちらを優先したいんです」
「そうですね 分かりました 気をつけて運転してくださいね」
「はい ありがとうございます では失礼します」
神山は電話を切ると洋子に電話をした
「内藤さんに分かってもらった よかったよ」
「本当にごめんなさい 忘れていました」
「うん いいよ もうすんだ事だし それより明日にでもクリスタルに
電話をして 10日午前中に社長が伺う事を伝えてよ その方が大事だ」
「そうですね 分かりました」
「それで 帰りは確か13時の新幹線でしょ 違ったっけ」
「ええ そうです」
「そうしたら クリスタルの帰りに上原によってお弁当を包む うん
しめ鯖が美味しかったら おつまみも用意するようにしてくれるかな」
「そうですね 分かりました でもあそこってそんなに早く開いている?」
「ははは 11時には開いているよ だからクリスタルの帰りに寄れば
大丈夫だよ そうだ明晩伺った時に 注文しておけばいいよ ねっ」
「あっ そうね 美味しかったら 残してもらえばいいものね」
「うん 忘れないようにお願いします では」
「はーい ごめんなさい おやすみなさい」
「うん お休み」
神山はその後 ベッドでカトリアーナと祐子を相手に何回も交わった

7月9日 木曜日 快晴
神山は前日の事が気になり早めに出勤をした
次長室に入ると既に洋子がきていて 仕事をしていた
「あなた 本当にごめんなさい」
「ははは いいよ もうすんだ事だ それよりクリスタルには電話をした」
「ええ 大森社長が凄く喜んでいました」
「うん よかった ではクリスタルの方はお願いしますね」
「はい それから東都ですが 頂いてきました」
「えっ 早いね ありがとう 洋子が持っていて下さい」
「あのぉー もう 引き出しに入らないです」
神山は東都食品の軍資金を受け取ると造り付のロッカーに入れた







2013年4月14日日曜日

Vol.1009 紫陽花 -15-60



「そうしたら このシーツを片付けて下にきてね」
「はーい」

スタジオで神山がビールを呑んでいるとカトリアーナが先ほどのドレスを
着て 階段を降りてきた
少し腰を意識して振り 膝も内側に入るようステップを繰り返した
見ていた神山はファッションモデルが 階段を下りてくるような錯覚を覚え
「カトリアーナ 綺麗だ 素敵だよ」
カトリアーナは一番下まで来ると 2,3歩前に歩き くるりと廻った
「うーん 素敵だ カトリアーナ 素晴らしい」
「ありがとう 神山さん」
ドレスデザインは先ほどのワンピースを基にして ウエスト部分に
簡単なベルトを付けただけだった
「うーん いいよ このベルトがアクセントになっていて 何とも言えない
そうだな 古代ローマ帝国のファッションって感じかな シンプルで
女性の特徴を引き出しているよ 凄いな」
「ふふふ これも祐子のアイデアよ 凄いわね 私も気に入ったわ」
「祐子 凄いね ファッションデザインって勉強していたの?」
「いいえ でも ほら雑誌や女性誌を見ていれば こんな風にしたらとか
ってあるでしょ その思いの蓄積ですよ」
「そうか しかし 今まで見た事が無い素晴らしいデザインだよ
パリからデザイナーを呼ぶ必要がなくなったね」
「まあ でも カトリアーナも気持ちよく着れるって言ってくれたわ」
「ハハハ そうだ これをそのままデザイナーに見せよう いいよね」
「でも カトリアーナが居ないと、、、」
「ははは モデルは祐子でも大丈夫だよ ちょっと着替えてきてごらん」
祐子とカトリアーナは祐子の部屋で着替えると 祐子が
「どうですか」
神山はカトリアーナと違い こちらはこちらでOKだった
「うん 素敵だ いいよ 凄く素敵だ」
「祐子 ちょっと廻ってくれる」
カトリアーナに言われ その場で廻るとカトリアーナは
「祐子 背筋を真っ直ぐにしてもう一回」
祐子は背筋を意識しながら廻ると神山は
「ハハハ もうりっぱなモデルさんだ 素敵だよ カトリアーナありがとう」
「祐子が着ても 充分に似合うわ お友達の中で 一番日本人らしい
顔つきをしているでしょ 私が似合うのは当たり前として 祐子がこんなに
似合えば お友達全員大丈夫よ 泰子さんが着たら 驚くわよ」
「そうか 泰子はフランス人形のように可愛らしい顔をしているからね
この衣装はどうかと思っていました」
「神山さん 大丈夫よ みんな似合うわよ そうすると生地は
シルクサテンで決まりね ボレロは不要でしょ だってホテルで
着替えるようにすれば 羽織る必要ないもの」
「だったら ここで着替えてタクシーで行けばいいじゃない
入り口で 注目度120%だよ 合同披露宴に華を添えられるし」
「そうね ホテルのメーキャップをここに呼んで支度すればいいわね」
「よーし 決まった しかし綺麗だな ラインが凄く綺麗だ うん」
「ぎゃはぁー 中身が分かっていても?」
「おいおいカトリアーナ それは無いよ もう」
みんなで大笑いをすると ビールで乾杯をした

「神山さん シーツを2枚駄目にしました ごめんなさいね」
「ははは あれは特注品だよ 明日アルタの内藤さんに話しておくよ
しかし 思い切ったことをしたね」
「ごめんなさい 私ってこうと決めた所って 特に普段から気にしている
そんな所が目の前にあると どうしても実行したくなるの ふふふ」
「そうだよね プールの会員もそうだものね でもいい事だ
そうか 祐子 ファッションデザインを勉強しないか どうだね?」
「ふふふ 駄目よ お遊び程度で デッサンが出来ないもの」
聞いていたカトリアーナが
「祐子 勿体無いよ センス抜群にいいよ 勉強したらどうかしら
ほら それにここのお仕事が終われば自分の時間でしょ 出来るよ」
「うん そうだよ 眠っていたら起こしてあげればいいんだ
まずは挑戦だよ NNに聞いてみるよ 驚くよきっと」
「本当にいいんですか ここのお仕事のほかにそこまでして」
「うん ここの仕事がきつくなったら辞めてもいいよ ただし
後継者をちゃんと探してね お願いします」
祐子はその言葉を聞いたとき 俯き
「そうしたら 私 ここを出なければいけないんですか?」
神山は暫く考え
「いや 祐子の自由だ まだ先のことを考えないで 出来るところから
チャレンジだよ 僕はそのデザイン感覚に惚れました ははは」
祐子はほっとしたのか 明るい顔に戻り神山にキスをした
「私 神山さんとずーっと一緒に居たいの 分かってください」
「あーあ 祐子ったら 私だって我慢しているのに もう いいわね」
祐子とカトリアーナはケタケタ笑いながら 神山にキスをした






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2013年4月13日土曜日

Vol.1008 紫陽花 -15-60



「私と亜矢子さんは 白っぽいのがいいわ でないと色に負けちゃうもん」
「えぇー そんな事無いですよ 素敵ですよ 例えば淡いブルーなんて
凄くお似合いですよ ねぇー由貴さん」
「ええ 亜矢子さんだって 淡い緑色なんて素敵ですよ
ほらゴルフの時 あの色も素敵でしたよ 大丈夫ですよ」
洋子は若い女の子の意見に従った
「さあ それではこれでドレスの話はお終い って事で解散しましょう」
神山は洋子と泰子にそれぞれタクシー代5万円を渡し泰子に
「じゃ 明日はお願いしますね」
泰子が頷くと 洋子にも
「2人をお願いしますね」
「はーい 分かりました 明日は少し早めに出て 東都を終わらせますね」
「お願いします じゃ」
神山は洋子と由貴 桃子を乗せたタクシーを見送ると 次に泰子の
タクシーを見送り 神山と祐子 カトリアーナは歩いてスタジオに戻った

スタジオに戻った神山はソファーで寛いでいると由紀枝から電話があった
「ふふふ ごめんなさいね」
「うん いいよ それより 大変な事が起きているんだよ」
神山は美佳と涼子の合同挙式や披露宴の事を話し 更にたった今みんなで
きめたドレスの話もすると
「わぁー 素敵ですね 嬉しいわ でも合同披露宴って凄いですね」
「うん 全員が僕の部下だから そんな訳さ」
「へぇー そうですか 凄い そうそう 私 実は今日ね
宝くじを買ったの ほら削るのあるでしょ」
「うん」
「そうしたら 元手が2千円で当選金が50万円よ 凄いでしょ」
「えっ そんなぁー 凄いね でも何処で買ったの」
「ええ 渋谷の駅前で買ったの 驚いたわ ふふふ」
「へぇー 大切に使いなさいね」
「はーい それで今夜は一人だったけれど 美味しいお肉でしゃぶしゃぶを
食べたわ 凄く美味しかった」
「ハハハ 食べ過ぎないようにね そうそう泰子のレッスン 楽しかった?」
「ええ なんで」
「うん 今夜もレッスンの話で盛り上がったから そうか そのうち
僕も本格的に教えてもらわないと 駄目だな うーん」
「ぎゃはぁー 大丈夫よ 泰子さん言っていたわよ
クラブが合っていないから そこの微調整だって」
「へぇー って事は 別なクラブを買いなさいって事なのかな?」
「ううん あれ以上のクラブは無いとも言っていたわ なのでスイングや
力の配分や 重心移動など言っていたわ ふふふ」
「そうか 分かりました」
「はーい 本当にごめんなさい」
「うん いいよ 早く寝なさい おやすみ」
電話を切ると ビールを飲干し冷蔵庫から缶ビールを出しグラスに注いだ
(しかし あの2人はどうしたんだろう ゲストルームに行ったきりで)

神山は心配になりカトリアーナが寝る事になっているゲストルームに
入ると 2人はシーツでドレスのデザインを考えていた
「嫌だぁー 見られちゃった へへへ」
「おいおい 分かったよ楽しいのは どうだい斬新なデザインが出ましたか」
「ねえ こんな感じってどうかしら」
カトリアーナが着ているドレスは正面は普通のカットだが 背中を見ると
大胆にもお尻まで切れていて Vカットになっていた
神山はカトリアーナに少し動き回るよう指示すると 凄く健康的な色気で
「うん それだけカットされていると ぞくぞくするね いいねぇー」
「でしょ 正面は普通のドレスより少しだけお胸のラインを見せて
その代わり 背中は思いっきりカットしたの」
「でもさ 9月の終わりだよ ノースリーブで寒くないかな」
「ふふふ なのでボレロって可愛い羽織る上着があるのよ」
「そうそう ボレロも背中を隠すようにデザインできるわ」
祐子は直ぐにシーツをイメージしたボレロ風にカットしてみた
「こんな感じよ どう 面白いでしょ ふふふ」
「はあ なるほど でも凄いね」
ボレロはドレスにちょこっと羽織るものだが 祐子がデザインしたのは
完全にドレスと一体化した ドレスの上着だった
「祐子にカトリアーナ そのデザインでいこうか」
「ええ でもみんなの意見を聞かないと ねぇーカトリアーナ」
「私は大丈夫だと思うけれど 祐子が言うように意見を聞いたほうがいいわ」
「分かった 近いうちにファッションショーでもするか?」
「わぁー 凄いわね」
しかし神山はこのデザインでドレスを作る事に決めていたので
「祐子 僕はこのデザインでいきたい なのでこれにしようよ」
「はーい 分かりました」





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2013年4月12日金曜日

Vol.1007 紫陽花 -15-60



「何時頃ですか」
「うん 10時頃お願いしたいんだけれど」
「あのぉー 実はお庭と大掃除が入っているんです 本当は今日でしたが
先方の都合で 明日になりました ごめんなさい」
「分かりました そうか庭と大掃除があったんだね ではお願いしますね
って事で洋子 東都はタクシー 車は出かけるときに出そう」
「そうしたら帰りは 赤坂のガレージに入れておけば良いですね」
「うん お願いします 良かったよ 思い出して」
しゃぶしゃぶの牛ロースが足りなくなったので 祐子が追加注文をした
(それにしても良く食べるな 大丈夫かな 太らないのが不思議だ)
神山がみんなの事を眺めていると洋子が
「どうされたんですか 箸が進んでいないですよ」
「うん みんな良く食べるけど 太らないか心配していたんだ」
それを聞いたカトリアーナが
「神山さん 大丈夫よ 運動しているから 全然平気です ねぇー由貴さん」
「ええ また変な想像をしていたんでしょ 嫌よ絶対にデブにならないから」
「ハハハ ごめんごめん さあ食べよう みんな食べられちゃうよ」
全員がしゃぶしゃぶを食べ終わると 洋子がパーラーでフルーツを
食べたいと言い出し 神山はしぶしぶ連れて行かれた

「ねえ 由貴 ニーナ・ニーナでオーダーのドレスって作れるのかな?」
「大丈夫ですよ でも神山さんが作るんですか?」
「おいおい 僕はそんな趣味は無いよ」
神山は美佳と涼子が合同で挙式と披露宴を行う事を話をした
「そこで ほら君たちもゴルフをした仲でしょ なので招待される事を
前提で話しているんだ」
「えっ 私たちがドレスですか、、、大丈夫ですか」
「うーん どうだろう ねえ洋子?」
「うーん 大変喜ばしい話だけれど どうかしら? ほら花嫁さんより
目立つと不味いでしょ それでなくても目立っているから」
「そうか そういう物なんだ」
「そうよ だから作って頂きたいけれど そうね黒のドレスだったら
大丈夫かな 葬祭の時にも着れるし」
「そうすると 作るのにどの位掛かるんだろう 1着1千万円って、、、」
「大丈夫ですよ せいぜいかかっても100万円位だと思うわ」
神山は黒では無く オスカーの時女優が着ているシンプルなドレスを
みんなに着てもらいたかった
「ねえ 洋子 考え方として 花を添えるってところで みんな別な色で
そうそうシンプルで同じデザインでいいと思うんだ どうだろう」
「まぁー どうしてもカラフルにしたいのね ふふふ いいわよ
ねぇーみんな どう」
「嬉しいわ そうするとネックレスや腕輪も揃えるんですか?」
「そうか ネックレスの事も考えないといけないね うーん
ほら イメージとしてオスカー賞受賞式のときに女優が着ている感じさ
なのでシンプルなデザインで そのドレスだけで大丈夫って、、、」
「なるほど イメージが沸きました 大丈夫ですよ ツルってしている感じ」
「そうそう どうだろうか それで色は赤 青 黄 緑 紫 って感じで
綺麗な色なら全員が揃った時 花になるでしょ どうだろう」
洋子とカトリアーナが
「素敵ね いいわ お任せします 大丈夫よ 待ち遠しいわね」
「よし 由貴 そうしたら早速全員の体形を調べてくださいね」
「はーい 分かりました ロングドレスですね 大変ですよ」
「なにが?」
「だって 靴やバッグもそれなりの物を揃えないといけないし、、、」
「そうか いいよ任せなさい」
その話を聞いていた泰子が
「あのぉー 私は資格無しですね」
「そんなぁー 参加してもらいますよ 大丈夫だよ そうしたら由貴
僕から筒井さんに話しておくので ある程度自由に動けるようにするよ」
「ええ そうそう だったらパリからデザイナーを呼んで作りましょうよ
その方が体にフィットした立体裁断できるようにデザインできるし
なにしろ向こうでは日常茶飯事の事なので 任せておけば大丈夫ですよ」
「分かりました お願いします そうするとハイヒールやバッグもNNで
揃えられるかな?」
「ええ オーダーで出来ますよ それにバッグは日常使うものではないので
小さくてすむし大丈夫です」
「よーし 決めたぞ 楽しくなるね ハハハ」
「神山さん ここにいる人のほかに 由紀枝さんでしょ 亜矢子さん
後はどなたか居ますか?」
神山はみんなの顔を見渡し
「うん 由紀枝と亜矢子だね そのパリのデザイナーが来たら二人にも
上京してもらい 採寸だね」
「ええ そうですね」
その話を聞いていた洋子が






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2013年4月11日木曜日

Vol.1006 紫陽花 -15-60



「ハハハ 仕方ないですよ でも楽しいよ こうやっていると」
「そうね 私も人事のお仕事よりこちらの方が全然楽しいわ
全店で 貴方のように楽しくお仕事をされているのは皆無じゃないかしら」
「おいおい 何も出ないよ ハハハ」
神山が次長席に戻ると食品協会を纏めている眞鍋香織から電話がはいった
「香織です こんにちわ」
「うん どうした?」
「ええ 11日の面談ですが 今までと違い相当数の会社さんが
希望されているんです それで次回っていつにしますか」
「えっ そんなぁー 困ったなぁー 香織も休みたいものね」
「ふふふ 大丈夫ですよ 理事とご一緒でしたら」
「そうしたら 8月にしよう 7月は無理だ いいね
追ってこちらから連絡しますって そう言いなさい」
「はーい 了解です それから建築協会の安堂さんのところにも
同じように面談が多いそうです 同じように対処しておきますか」
「そうか 分かりました お願いします 僕からは電話をしないので
連絡をしておいてください お願いします」
「はーい 了解です でも凄いですね 私 初めてですよ」
「そうか 僕は初めての経験だから分からないけれどね」
「もう 神山さんは食品業界では一目おかれる立場になりました
って言うのも 業界の新聞で大きく取り上げられているんですよ
例えば 牛肉の美味しい焼き方とか ふふふ」
「えっ なんで、、、そんな個人的なことが、、、」
「だって向こうはプロですよ そのくらいの情報を直ぐに集めますよ」
「へぇー でもねぇー 困ったものです ははは」
「なので 有名なんですよ」
「はい 分かりました 有名税を払います 大変だぁー」
「今度 個人的に誘ってくださいね 寂しいもの」
「うん 了解」
「ゴルフも頑張るわ では失礼します」
「うん 安堂さんによろしくね」
電話を切ると洋子が
「そろそろ 出かけましょうよ 時間ですよ」
「おお そうですね ありがとう 気が付かなかった」

神山と洋子は帰り支度を終えると 蒼いBMWで赤坂に向った
「お帰りなさい」
祐子がお出かけスタイルで出迎えてくれた
「まだ時間があるね」
「ええ あと10分くらい大丈夫です」
「うん 洋子 悪いけれどシャワーを浴びてくる」
神山は主賓室のシャワーで体を洗い終わると 丁度タクシーが来ていた
ホテルのしゃぶしゃぶ屋に着くと まだ誰も来ていなかった
神山は由貴に電話をすると
「ハハハ 今ねぇー エレベーターでそちらに行くところです
遅くなって ごめんなさい」
携帯電話を切り暫くすると 由貴たち4人がきゃぁーきゃぁーと
仲良く話しながら神山の待つテーブルに来た
ここでも泰子と桃子は仲が良く隣同士で良く話していた
神山が泰子に
「先ほど 眞鍋さんから電話があり 面談が多くてって連絡があった
繊維の方は大丈夫かな」
「ええ 私もその情報は頂いています ただ18日以降の面談ですが
まだ面談日を設けるところまで会社数が出てこないので 待っています」
「そうか 繊維協会も同じなんだ 参ったなぁー」
「もう 神山さん お仕事はおしまいよ ねぇー洋子さん」
「ふふふ 勘弁してあげてね 私も疲れたわ 今日はしんどかった」
「おいおい 秘書がそんな事で困るよー もう」
洋子が少し疲れていると感じた祐子が 生ビールやおつまみを注文した
「洋子 明日は何も無いと思うので 10時半ころでいいよ
僕もそのつもりで 出社しますから」
「はーい そうそう 東都食品が取りに来てくださいって 先ほど」
「あっ そうか忘れていた じゃ取りに行ってくれるかな お願い」
「はーい それでも遅い時間で大丈夫ね」
「そうか 車が無いな タクシーを使ってください」
「分かりました」
祐子や由貴は泰子のレッスンが楽しかったのか ゴルフの話になり
桃子も一言も聞き漏らさないよう 真剣に聞き分からない事は質問した
神山は楽しく話しているみんなを見ていて思いついた
「洋子 明日の車をどうしよう 忘れていた」
「いいじゃない 出かけるときに赤坂に寄れば大丈夫でしょ」
「そうか そうしたら祐子に運転してもらい持って行こうか」
「そうね そうすれば東都も行けるわね」
「祐子 悪いけれど 明日フェアレディーZを運転してもらえるかな」





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2013年4月10日水曜日

Vol.1005 紫陽花 -15-60



「うん そうしてくれる それでカトリアーナと泰子は僕らと一緒に
ホテルに行くって事にしようか」
「だったら 私が留守番をしています 由貴さんと泰子さん カトリアーナ
で桃子ちゃんを迎えに行ってもらい そのままホテルでで良いでしょ
だって 何も無いと思うけれど 何かあったときは 嫌です」
「そうだね 分かりました 祐子悪いけれど タクシー代1万円を由貴に
渡して 事情を説明してください お願いします」
「はーい 分かりました 了解ですよ そうしたら6時少し前にタクシーを
呼んでおきますね」
「そうだね お願いします」

神山は電話を切ると網代の清碧旅館へ電話を入れた
「ご無沙汰しています 神山様 大丈夫ですよ」
「ありがとうございます そうしたら夕方に伺います お願いしますね」
「はい お待ちしています お気をつけてお越しくださいませ」
神山は翌日の亜矢子との打ち合わせのときに 泰子を同席させるか否か
少し悩んだが 今まで隠していた事が無いので 連れて行くことにした
明晩にでも説明すれば聡明な泰子なので対処は万全だろうと思った
神山はGプロの高橋に電話をした
「どうしたの?」
「うん 忘れ物が無いかチェックさ」
「うん そうそう例の洗車機の件だけど あれってうちはデザインだけ
って言うのも 映像の製作はどうするのかって そこら辺の話です」
「そうか まだ決めていないって言うか 話が出てきていないんだ
でも デザインするんだったら 映像も欲しいな」
「でしょ なので 後でも構いませんが 詰めてください お願いします」
「そうそう それとARXのブースの件だけど どう あのパイプの件」
「ああ 面白いですね 四角や星型の件でしょ ちゃんと
デザインアップしてあります これからお持ちしますね」
高橋が次長室に持って来たスケッチを見て神山は
「考ちゃん これでいこうよ 彼女の言うとおり これなら女の子でも
興味を持ち 楽しめるよ ありがとう」
「でしょ 僕らも一応検討して デザインしました これなら変な話
一人で見ていても 楽しくて時間を忘れますよ」
「でもさ考ちゃん 商品がパイプの中を流れないと 音楽だけじゃなくて
このオブジェも光らないんだろ うーん」
「だったら 山ちゃん こうしてはどうかな もともと基本はパイプに
商品が流れている所を知らせる為のものだったでしょ」
「うん」
「だけど 今は方向転換して 顧客特に子供が楽しめるって処でしょ」
「うん」
「って事は このサインをPCで制御して 商品の流れに関係なくして
ピカピカしたり音楽を流したりで良いんじゃないかな どうかな」
「そうだね そうしよう ただし該当売場には分かるようにする
例えば 取り出し口のところには大きなサインをつけて 売場に訴求し
直ぐにでも取り出せるようにする でないと欲しい商品が何時来るか
分からなくなってしまうからね」
「うん そうそう山ちゃん 下から持ち上げて上から流すでしょ
それで該当売場のところで ストップできるようにしたの でもね
ちょっと問題があって そこの商品取り出し口のところを 少しだけ
売場側に出っ張るんですよ それは そうしないと次の商品が
詰まっちゃうって事が 判明したんです」
「そうだよね うん わかる でもそれで充分に解消できるの?」
「うん 大丈夫 OKです 先日もメーカーでテストをしています」
「そう よかった そうだよね 詰まると お客様の商品も詰まるでしょ」
「そうそう なので工事費が少し割高になったけれど 安全策ですね」
「ハハハ そうそう 何事も安全にです」
「じゃ パイプのプランは この面白い方をメインで良いですね」
「うん」
「それから このイベントスペースだけど どうしよう」
「うーん アレックスからその後なにも無いんだ 困ったなぁー」
「山ちゃん そうしたらさ クラッシクカーの展示ってどう?
って言うのも ほら車のカタログを製作したでしょ それで色々と
調べたんです そうしたらリースで展示OKって処を見つけたんですよ」
「えっ ほんと 分かりました でも経費がかかる事でしょ
Jrと相談しないと 僕一人ではちょっと怖いな ごめんね」
「ううん でも 1ヶ月1台だと10万円なんだ それを台数纏めると
例えば5台だと25%OFFになるって 書いてあったよ」
「50万円の25%Offか ありがとう 検討させてください
アレックスのスーパーカーも日本に上陸しているし 予算の兼ね合いです」
「了解です えーっと 後は何も無いです」
高橋は一通り説明すると次長室を出て行った

「大変ですね」






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2013年4月9日火曜日

Vol.1004 紫陽花 -15-60



「いいねぇー のるよ ありがとう」
「よかった でも 少し分率を下げてください でないとGOLと
バランスが取れなくなるんですよ」
「ハハハ そうしたら GOLの価格を上げれば問題ないじゃない」
「あっ そうか でもそうすると ARXJPが公取に引っかからないかな」
「えっ ARXも絡んでいるの」
「だって オリンピックマークを使うんですよ なのであそこを利用し
それでARXの世界販売網で販売する計画なんです」
「へぇー 凄い事考えるね」
「なので 価格だけですね ネックは」
「それはそうと クリスタル大和って うちだけだね おいしいよ」
「でしょ しっかりと育てれば もっと売り上げが見込めますよ」
「だな ありがとう さすが山ちゃんだ そうそう常務様でした ははは」
「やだなぁー 先輩 でもオリンピックは内緒で」
「うん そうそう 杉田君が特別昇進だってな」
「ええ この件に絡んでいるんです」
「やっぱり そうか 可笑しいと思っていたんだ って事は仕掛け人は
山ちゃんで 時田さんを動かしたんだね」
「ハハハ みえみえですね 先輩にはまけます」
「しかし 読めても 山ちゃんのような行動が伴わないからまだ課長だよ」
「良いですよ 課長で 常務になると失敗できませんから
いつも ひやひやしていますよ」
「ははは 高給取りが 何を言っているんですか それでは」
「ええ では失礼します 内緒ですよ」
「うん 最初に話を持って来てね お願い」

神山はフェアレディーZで銀座に戻ると
「お帰りなさい ねぇー今 クリスタルの大森さんから電話がありました」
「うん なんだって」
「ええ 先日のサウンドブラスト機が3台入りましたって」
「良かった そうしたらオペレーターを手配しないといけないな」
神山はアルタの内藤に電話をした
「はい 早いですね 大丈夫ですよ オペレーターは準備しています」
「そうしたら 早速どうでしょうか 来週からでも」
「はい 本人に伝えます 聞くところマックPCなので 結構微妙な
凹凸まで設定できると話していました」
「では 来週月曜日の午前中にでも 大森社長の所に行ってもらい
そのまま作業って感じでどうですか」
「ええ 構いませんよ お給料や保険などはこちらで持ちます」
「では それで電話をしておきます 失礼します」
神山は電話を切ると 大森に電話をした
「そうですか ありがとうございます 月曜日の午前中からですね
本当に助かります それでお給料ですが、、、」
「大丈夫ですよ お約束したとおり アルタで出します 保険なども」
「ありがとうございます」
「で オリンピックグラスの件ですが まだ内緒にしてくださいね」
「はい 承知しています」
「これにはちょっと 金銭が絡んでいますので お願いします」
「はい 大丈夫です」
神山は電話を切ると 一息つきタバコを吸った

明日のホテルを何処にするか考えていると泰子から電話がはいった
「やぁ どうしたの」
「ねぇー 明日って お泊りですか ほら準備もあるし それに今夜だと
みんなが居る所で聞けないでしょ」
「そうか ごめんごめん お泊りです」
「はーい 分かりました 今ねぇー もうスタジオに戻って お風呂を
使わせて頂いているの ごめんなさい」
「いいよ みんな一緒?」
「ええ でもね 貴方が居ないからつまらないって そう話しているわ」
「ハハハ そうしたらゆっくりとして ビールでも呑んでいてね
6時にはホテルだよ お願いします」
「はーい 分かりました 祐子さんと替わりましょうか」
「うん お願いします」
「祐子です みんなにお風呂に入ってもらいました ごめんなさい」
「うん いいよ それで祐子 悪いんだけど 桃子ちゃんの事だけど
タクシーを手配して 上原からタクシーでホテルまで来れるように
してもらいたいんだ お願いします」
「はーい そうすると 桃子ちゃんの所へタクシーが行くことを連絡して
そうしないと 乗れないものね」
「うん そこら辺のところをお願いします」
「はーい タクシー代は後で本人に渡すようにするんでしょ」
「うん そうする でもどうかな?」
「じゃ 私と由貴さんで迎えに行くわ その方が良いでしょ」





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2013年4月8日月曜日

Vol.1003 紫陽花 -15-60



支払済みです なので 後で全費用を計算してFAXで送ります」
「ええ お願いします しかし合同披露宴は聞いた事ありますが
その全ての人が神山さんの部下って 聞いた事ありません」
「ハハハ 僕も驚いているよ じゃ また」
神山は涼子の額にキスをすると 社長室をでて銀座の次長室へ戻った

「やあ ただいま」
「お帰りなさい ねぇー 大変よ もう」
「おやおや 帰ったそうそうどうしたの?」
「ほら 合同披露宴の話よ 内藤さんが時田のおじ様に話したみたい
それで おじ様ったら いっそうの事洋子も式を挙げろって」
「えっ なんで 話がそこに行くんだよ もう 参ったなぁー」
「ねっ 大変でしょ ふふふ」
「おいおい 喜んでいる時じゃないでしょ もう あーあ
でもなんで内藤さんが時田さんに話すんだろう 分からないなぁー」
「でしょ おじ様が言っていたわ 美佳さん 10日に昇進するんですって」
「えっ だって係長だろ そうすると課長かよ へぇー」
「ううん 課長の下の課長代理ですって それで内野誠二君も課長代理に
特別昇進させますって 電話があったそうです」
「へぇー 大丈夫かな、、、」
「ふふふ 大丈夫でしょ 貴方のお仕事が順調みたいよ」
「へぇー そんな話もしているんだ 参ったなぁー」
神山はARXの軍資金2千万円を洋子に渡し 次長席に戻った
「そうすると 洋子 内野誠二や美佳ちゃん 涼子ちゃんにもお祝い金を
用意しないといけないね」
「ええ 誠二君と美佳ちゃんは100万を昇進祝いで 挙式の時には
それぞれに包んだ方がいいと思いますよ」
「どの位 包むんだろう?」
「うーん 内藤社長やJrと決めておいた方が 後々問題がないと思うわ」
「そうだね ありがとう あとで言われるのも嫌だしな」
「でも 大変ね グラスは間に合うのかしら」
「あっ そうか それもあるね 困ったな、、、」

神山はクリスタル大和の大森に電話をした
「やあ 神山さん 先日はありがとうございました それから
融資していただいた5千万円 ありがとうございます 受け取りました」
「ところで 社長 例の引き出物のグラスですが 100個追加です」
「えっ 追加ですか ありがとうございます」
「って言っても カップルが違うんですよ 合同で披露宴なんです」
「はい そうするとカップルの名前を差し替えるだけで良いですか?」
「ええ 充分です」
神山は内野誠二と篠原涼子のフルネームと挙式の日にちを伝えた
「ありがとうございます 早速取り掛かります」
「それで 代金ですが、、、」
「ええ 出来れば 早くいただければと思っていますが、、、」
「そうしましたら 1千万円を口座に振り込みます それで鈴やから
入金があり次第 返金してください お願いします」
「はい 助かります 何しろ纏まった個数だと運営の方が、、、
お恥ずかしい話ですが 申し訳ありません」
「いえいえ それで1千万円で足りますか?」
「ええ 充分です ありがとうございます」
「僕の方は 上野店に入金をしておきますので 直ぐに支払いできるよう
手配はしておきます ただしお店のルールがありますので我慢して下さい」
「はい 本当にありがとうございます」
神山は時計を見るとまだ15時過ぎだったので洋子に
「これから上野店に行ってくる」
神山は上野店特選課長に電話をすると
「やあ 山ちゃん どうしたの」
神山はクリスタルグラス追加の件を掻い摘んで話をすると
「うん いいよ そうすると 18万円だから1800万円だよ」
「商品券で行きますので お願いします」
「了解 直ぐに来るわけ」
「ええ 10分ぐらいです」
「はい 待っています」

神山はバッグに商品券1800万円分を入れ フェアレディーZで
鈴や上野店特選雑貨に行った
課長はレジスターで待っていて
「おお 早いね 相変わらずだね ハハハ」
挨拶もそこそこに商品券を勘定し始めた
手伝い店員も2人来て 何回も枚数を数えると課長が
「うん どんぴたです ありがとう 助かるよ これで9月は楽チンさ」
「ところで オリンピック限定商品をこのグラスで販売する
計画があるんです どうですか?」





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2013年4月7日日曜日

Vol.1002 紫陽花 -15-60



神山はそう言うと洋子に電話をしてもらい一人で軍資金を受け取りに行った

「やぁ Jr 遅くなって申し訳ない」
「いえいえ こちらこそ先日持って行くのを忘れてしまいました」
Jrはジャックに指示をして 軍資金を社長室に運ばせた
「神山さん カトリアーナのお給料ですがどの位用意すればいいんですか?」
「うん 良く分からないけれど 20万円から25万円で大丈夫だと思うよ」
「えっ そんなに安くていいんですか?」
「うーん まだ見習い社員だ それ以上は必要ないよ ただしGOLの時は
あそこのトップという意識を持って貰う為にも もっと出さないと駄目だ」
「はい 分かりました でしたら準備金として100万円位渡しましょうか」
「うん 化粧品も購入しないといけないし色々と大変だし お願いします」
Jrがジャックや涼子に席を外すよう指示をした
「実は神山さん 涼子がアルタの内野誠二君とお付き合いをしていて
結婚をする約束をしたそうです」
「えっ、、、本当の話ですか?、、、」
「ええ 本当ですよ 一応その報告を先ほど聞きました」
「はぁー 大変だな そうか それで日にちや式場は決まっているの」
「ええ それはまだですが 近いうちに式を挙げたいと話していました」
神山は暫く考えるとJrに
「どうだろう 僕の部下がオートモで9月に挙式するんだよ それで相手が
アルタの受付嬢なんだ だからここは経費の件も踏まえて 
合同で挙式ってどう? だってその方が合理的だろう」
「えっ 合同ですか うーん 私がするわけじゃないので、、、」
「そうか ちょっと待っていてね」
神山は洋子に電話をすると
「ええ 私が結びつけたわ でもその報告はまだ聞いていません」
「うん どうだろう 今 Jrとも話しているんだが 翔と合同って」
「わぁー 素敵ね いいんじゃない」
「そうか そうしたら涼子に話しておくよ いいよね」
「ええ お願いします 私は内野君に話しておきます」
「うん じゃ」
神山はJrに涼子を呼ぶよう指示をした
篠原涼子が社長室に入ってくると 覚悟しているのか少しにこやかだった
「まずは おめでとうございます そこで 挙式ですが未定と聞きました」
「ええ まだなんです でも出来れば早い方がいいと思っています」
「うーん そうか 提案ですが 美佳さんと合同でどうですか?」
「えっ 美佳と合同ですか? でも予算がないし、、、」
「ハハハじゃ決定だ いいね 9月23日に挙式と披露宴だ オートモで」
「、、、、、、」
「なんだ 嬉しくないのか おいおい」
涼子は嬉しすぎて言葉が出なくて 泣いていた
「お願いします、、、」
「よーし 決まった 部下が4人も同じ日に挙式と披露宴だ 大変だJr」
「4人もですか」
「だって涼子だって 内野誠二君も僕の部下 小谷美佳 翔も部下さ」
「なるほど 分かりました そうしたら父親にも参加してもらいましょう
神山さんの特別なイベントだからと言えば 来てくれますよ」
「おいおい 僕の挙式じゃないんだよ でもいいか この頃会っていないし
そうそう涼子 引き出物や式場費用は僕とJrが持つから 安心しなさい いいね」
Jrはちょっと驚いたが 神山に任せた
神山は早速アルタの内藤社長へ電話をした
「えっ 内野誠二君がARXの社長秘書と結婚ですか はぁー」
「それで 美佳と合同でどうだって話をしたら OKサインです」
「はぁー アルタの二人が合同挙式と合同披露宴ですか、、、はぁー」
「社長 大丈夫ですか」
「ええ でも良くやりますね 山ちゃん それで披露宴参加者はARXの
分でどの位オーバーするんでしょうか」
「ちょっと待ってくださいね」
神山は涼子に披露宴招待者の大枠を聞くと 大体100名と言ったので
「そうすると アルタがダブるので 50名ほど追加ですね」
「そうですね その位見ておけば大丈夫だと思います」
「そうすると 美佳ちゃんの方がまだ決まっていないので ホテルには
合同という事を伝えるだけにしておきますね」
「ええ お願いします そうそう 会場費は社長と折半 引き出物はJrと
折半って事でいいですね」
「ええ でも内野誠二も私の部下ですから 私も出しますよ」
「ハハハ 分かりました じゃ 決まりましたら 又 連絡します」
神山は電話を切るとJrが
「神山さん ここはどうですか 全てを3等分して折半したら 
私だけ少ないとなんか可笑しいですよ どうですか」
「ハハハそうだね Jrも社長だし 分かりました 掛かった費用を3人で
折半しましょう OKです 現在支払済みは ホテルの会場費を内藤社長と
支払済みです あと例のクリスタルガラスですが これも120個分





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2013年4月6日土曜日

Vol.1001 紫陽花 -15-60



洋子はニコニコして神山に
「お約束の時間は 14時でーす」
「なんだ もうコンタクトしてあったんだ そうしたら 少し早めにでて
向こうで美味しいマグロだね そうしよう」
「大体1時間45分見れば大丈夫でしょ」
「うん なにも工事が無ければね そうしたら11時に出ようか」
「はーい 分かりました」
「ねえ Gプロは知っている?」
「ええ 高橋さんには伝えてあります」
「さすが ありがとう でも先ほど何も言っていなかったな、、、」
神山は洋子に失礼とは思ったが 高橋孝一に確認をした
「ごめんなさい 大丈夫ですよ 今夜でて静岡で午前中打ち合わせをして
それから県庁に2時までに伺う予定になっています」
「へぇー 静岡支店も絡んでいるの」
「ええ ちょっと大きい仕事なので 静岡も絡ませた方が何かと便利だし」
「そうか なるほど では明日 お願いしますね」
「はい 今夜 何かありましたら携帯でお願いします 静岡支店でも
PCで色々とプリントアウト出来ますから」
「はーい 了解です」

神山は電話切ると亜矢子に電話をした
「明日の晩だけど 勤務なの?」
「はーい 残念ですが それで10日は特別に朝あがりにしたのよ」
「そうか 残念だな」
「由紀枝さんも勤務よ 残念ね」
「そうだよな 由紀枝は明日から勤務だから、、、」
「愛ちゃんはお休みよ ふふふ」
「おいおい 冗談はほどほどに そうか、、、分かりました、、、」
「では 10時にあのお寿司屋さんでお願いしますね」
「うん 10時にって 開いているの?お店?」
「ええ 社長がお願いしたみたい だから大丈夫よ 変更があったら
携帯電話で連絡をします」
「うん そうだね お願いします」
神山は電話を切ると泰子の携帯電話に電話をした
「はーい 泰子です」
「いやぁー ごめんごめん レッスン中」
「今ね 打ちっぱなしのカフェでコーヒーを頂いています 大丈夫よ」
「あのね 明日だけど 一緒にドライブとお仕事とってどう?」
「ハハハ 大丈夫ですよ そんなに心配しないで 付いて来いって
そう言ってください だって理事の秘書ですよ 私」
「うん じゃ 11時少し前にここに来てください」
「ここって 神山さんの居るところ?知らないもん どこにあるか」
「ハハハ 受付で聞けば教えてくれるよ 神山常務で聞いてね」
「ははは 分かりました そうそう由紀枝さんが 先ほど帰りました」
「うん 聞いている」
「なんか 凄く寂しそうな感じだった いいのかなぁー」
「おいおい レッスンに集中してくださいね」
「はーい では今夜を楽しみにしていますね ふふふ」
「うん なるべく早く行くようにします」
「みんな 上達したわよ 楽しみね ふふふ」
「分かりました レッスンもほどほどにね お願いします」
神山は電話を切ると洋子に
「あーあ 洋子 大変だぞ 泰子のレッスンでみんな上達したって あーあ」
「あらっ いいわね 私も泰子さんに教えて貰おうっと」
「あーあ 大変な事になってきた」
神山は最後は独り言になり ぶつぶつと言いながら仕事に集中した

「あっ そうだ 翔はアルタでも命課があるんだ 忘れていたよ」
「ええ 内藤社長から11時と伺っています そうすると貴方は
出られないから 私が出て 杉田君とは行き帰りも私と一緒でいいわね」
「そうだね そうしたらタクシーを使いなさい」
神山はタクシー代として 1万円を渡した
「内藤さんに電話をしておいた方がいいね まだ知らないでしょ?」
「ええ まだ連絡していません お願いします」
神山はアルタの内藤社長に電話をして 10日の人事命課に出席出来ない旨
伝えると 残念がっていた
「洋子 翔が命課を貰ったら この部屋で500万円ほど渡して欲しい」
「はい で貴方の分はどうされますか?」
「うん 僕は翌日渡すようにするが どうだろうか」
「そうね ご自身で渡された方が 有難味も違うし その方が良いですよ
それで 軍資金のほうから出しておきますね」
「そうだね お願いします」
「そうそう ARXの軍資金だけど、、、」
「あっ 忘れていたよ これから取りにいこう」





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2013年4月5日金曜日

Vol.1000 紫陽花 -15-60



携帯電話で由紀枝に電話をしたが 電源が切られていて通じなかった
その次に泰子に電話をしたが 呼び出し音が何回も続き出なかった
神山はこんなものだろうと思ったが 亜矢子に電話をした
「まぁー どうしたの」
「ハハハ 声が聞きたくなったのさ」
「まぁ 由紀枝さんが居ないので 寂しいのでしょ ふふふ」
「いやいや で 由紀枝から聞いたけれど ドタキャンがあったそうだね」
「えっ なにっ 何も無いわよ」
「えっ だって由紀枝の話だとスタッフのお母さんが亡くなったって」
亜矢子は一瞬考えたが
「あなた 由紀枝さんに本気にされたわね ふふふ」
「おいおい どういう事だよ」
「そんな事実はないわよ もう 分からないの もう」
「なんだよ 亜矢子 それは無いだろ ちゃんと教えてよ」
「だから 今夜一緒にお食事するのが辛いのよ その位分からないの」
神山は亜矢子から言われても 由紀枝のことが判らなかった
「だから あなたが考えている以上に女性は貴方を意識しているの 分かる
って言っても駄目よね そこが貴方のいいところだし ふふふ」
「おいおい なんだよ もう」
「いいのよ だから貴方のお友達女性同士でけんかはないでしょ
そこが あなたの人徳じゃない ふふふ」
「でもさ、、、」
「分かっているのよ あなたが由紀枝さんのことを好きだって でもね
由紀枝さんだけじゃないのよ 私もあなたの事を考えているのよ ふふふ」
「おいおい 分かった ごめんなさい」
「まぁー 素直な答えね でも由紀枝さんはどうかしら」
「うーん そんなに苛めないでください」
「そうそう 不動産屋から電話があって10日の午前にお持ちしますって」
「うーん ちょっと待ってね」
神山は頭に入っているスケジュールを思いだし
「分かりました 10時過ぎになります」
「はーい 了解です」

神山は携帯電話をズボンのポケットにしまうとあの二人のベンチを見た
誰も居ないベンチには今までに起きた男女の物語があるようだった
暫く見つめていると 店内から洋子が出てきて
「やっと終わりました」
「ありがとう ごめんね」
「ふふふ でも女性って怖いですね」
神山は洋子の顔を見ないで その言葉に頷いた
次長席に戻ると神山は時田に電話をした
「副社長 私 9日の午後から静岡に出ます それで10日も静岡なので
ここには居ません すみません」
「うん そんなに忙しいんだ 分かった」
電話を切ると洋子に
「洋子 折角の翔の儀式に参加できないが どうかな 洋子が列席するって」
「いいわよ 仕方ないですよ ふふふ」
「そうそう アルタの工事があるでしょ それで入館の作業届けをお願い
そうだな 10日から14日まで 朝は7時30分から夜は24時まで」
「はーい 早速出しておきますね」
「うん お願いします」
神山は池上店長に電話をすると
「店長 杉田君の人事命課の件ですが 私はあいにくと出張なので
代理で田所さんが出席させて頂きたいのですが、、、」
「いやぁー ありがとうございます お願いします 実は迷っていて
って言うのも 部長命課だと常務の列席って過去に例が無いんです
なので随分と悩んでいました でも田所理事がOKなら お願いします」
「はい 良かった」
「時間は 10日金曜日の9時15分です」
「早いですね」
「ええ 催事課の奥ちゃんから 出来れば早くして欲しいと 要望があって」
「ハハハ 分かりました 田所に伝えておきます」
電話を切ると洋子に9時15分に命課が始まる事を伝えた
「部長席のことはどうしますか?」
「うん 奥村課長から話があるでしょ こちらから言う事はしないでいいよ」
「はーい 分かりました ねえ そうすると明日は私も運転できるの」
「そうだね そうしたら明日午後 一旦赤坂に行って それで車選びだね」
「わぁー ありがとうございます 嬉しいわ」
「そうだなぁー 真紅のポルシェにでも乗ってみる もう1週間以上も
乗っていないし」
「そうね 前回 確かあの二人タクシーで帰ったのよね ふふふ」
「おいおい 済んだ事だ 言わないの」
「はーい 分かりました へへへ」
「そうだ 竹内さんに連絡して時間を聞いてくれるかな」





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2013年4月4日木曜日

Vol.999 紫陽花 -15-60



「そうか 分かりました 気をつけてね」
「はーい 分かりました 寂しいから来てね」
「うん 分かった では」
神山が電話を切り がっかりしていると洋子が
「どうしたの 由紀枝さんでしょ」
「えっ、、、うん スタッフのお母さんが亡くなったんだって
それでシフトがどうにもならないので 今夜から勤務で帰るって、、、」
「はぁー 大変ね でも由紀枝さんと連絡取れたホテルは嬉しいわね」
「僕は悲しいよ、、、」
「もう しっかりしてよ 分かった 由紀枝さんと一緒になりたいんでしょ」
神山は図星を言われ躊躇したが
「うん 半分当っている って言うのも片道だけどね ハハハ」
「そんなぁー 彼女喜ぶわよ だって私だって素敵な女性って思っているわ」
「そうかぁー、、、」
「まぁー どうしたのよ 元気を出してお仕事してくださいね
もう どこかに行ったわけじゃないし、、、」
「ハハハ ごめんごめん そうだね 頑張るよ ははは」

洋子はこの時 神山の本心を聞いてしまった事に少し反省をしながらも
自身これからのことを考えた
神山はこの時 洋子が肝心な事を発言した事を思い出し
「洋子 僕は みんなに片思いさ ハハハ」
そう言うと洋子の額にキスをして 部屋を出て行った
洋子は神山が自分だけでなくみんなにお詫びをしているように聞こえ
少し寂しさがこみ上げてきたが その事が決定している訳ではないと思い
気を紛らわす為に仕事に集中した
神山は新館の屋上にある日本庭園に行きベンチでタバコを吸った
ここは以前 亜矢子と最初に連絡をとった場所でもあり
心を落ち着かせるには絶好の場所でもあった
洋子に図星を言われた事に対し反論はしなかったが 間違いなく神山の
心の中には由紀枝に対する何かしらの芽生えはしていた
(うーん なんだろう でも由紀枝かな、、、)
神山が自問自答していると 来店客のカップルが直ぐ傍のベンチで
「私 貴方が会社をクビになったら別れるわよ ごめんなさい」
「おーい そんな、、、」
「だってそうでしょ 離婚の話だって進んでいないし
当たり前じゃないですか 私たちもう直ぐ50になるのよ」
「うん、、、」
「女ってね 本気で愛していても その人の本心が分からないと
凄く不安なの 特にクビになるって言われたら 生活のことを
一番に考えると思うわ 違う?」
「うん、、、でもさ なんとかなるよ ねえ」
「駄目よ 愛があれば何とかって 嘘よ 最低限のお金は必要よ
そこのところが分からない人だったら お終い」
「おーい そんなぁー だって今までだって、、、」
「何言っているの 私が我慢している事知らなかったの 嫌ねぇー
貴方に恥をかかせたくなくて お会計をしていたの 分からないの」
「そんなぁー、、、」
「はっきりと言わせて頂くわ もう追い回さないでね
もう お終いにしましょうね お願いします」
その言葉を聴いた男は 神山の前を背中を丸くして店内に戻っていった
神山は暫くは二人の会話で人生色々と考えていたが その女性が急に
屋上のフェンスの方に走りパンプスを脱ぎ始めた
神山は一瞬に何をしようとしているか感じ取り 彼女を追いかけた
女性は裸足でフェンスをよじ登ろうとしている所を神山に押さえられた
「お客様 困ります」
「あーあ どうして止めたの あーあ」

神山は女性の心を落ち着かせるために ベンチに座らせ靴を履かせた
「どうされたんですか 驚きましたよ」
「あーあ、、、」
神山は気が動転している女性の事には不得手なので 洋子に電話をした
「分かりました 直ぐに行きます」
洋子が感情を抜きにして来てくれると直ぐに返事をしてくれた事に感謝した
暫くすると洋子が走って神山の待つベンチにきた
神山は直ぐに洋子とバトンタッチすると 別なベンチでタバコを吸った
(もし 本気で考えているとすれば この様な事が起きるんだ 怖いな)
神山は女の本性を垣間見た思いで少し怖くなった
現実 付き合っている女性が 特に泰子や由紀枝は本音で話してきているが
それがこのような事態になったら 防ぐ事は不可能だろうと思った
暫くすると洋子が
「神山常務 女性が落ち着きましたので お見送りします」
「うん お願いします」
神山は40代後半と見える女性と洋子を見送りベンチに座った





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2013年4月3日水曜日

Vol.998 紫陽花 -15-60



「うん いいね そうしよう」
「で 床の仕上げはどうしますか?」
「どうしようね、、、」
「ねえ そうしたら次長室と同じ仕上げにしたらどうかな って言うのは
もう 一回製作しているのでノウハウがあるから時間短縮できるし」
「うん そうしたらうちでゴールドを使っている部分をシルバーにしようよ
床だけじゃなくて 棚とか 机とかさ」
「うーん なかなかいいですね 造り付の棚なども図面があるから 寸法を
確認したら 直ぐにでも出来ますよ 大丈夫です そうそうヘアラインで
どうでしょうか」
「うん そうだね、、、ミラーの方がインパクトがあるよ どう?」
「ハハハ 大丈夫ですよ じゃ早速本社から呼んで図面を確認します」
「うん お願いしますね でも幸三ちゃんの仕事だったけど、、、」
「ええ でも図面は本社にあるんです なので持って来て貰います」
「了解 そうすると どのくらいで出来上がるのかな」
「ええ 大体ですが小田原を急がせて、、、4日は頂きたいですね」
「うーん じゃお願いします 杉田君にはそのように伝えておきます
そうそう ここの部屋に居る時はアルタの部長さんだよ 考ちゃん」
「ハハハ そうですね 了解です って事は パーティーですね ここで」
「あっ そうそう 会議テーブルや椅子なんかも用意してくれるかな」
「ハハハ 大丈夫ですよ しかし随分と急な話ですね」
「うん ごめんごめん ほんと僕自身も驚いているんだ しかしこの事業は
アルタにとっても 鈴やにとっても 失敗が許されないし 大変なんだよ」
「なるほど 内藤から少し話を聞きました しかし大変な仕事ですね」
「うん でも楽しい仕事でしょ」
「ははは 参ったなぁー」
打ち合わせを終わった神山は次長席に戻った

ニコニコしている神山を見て洋子が
「どうされたんですか ニコニコされて」
「ハハハ 翔の部屋が決まったんだよ ここと同じにするんだって」
「まあ そうすると秘書もつけないといけないわね ふふふ」
「あっ そうだ 備品類を頼むのを忘れていた 秘書はなしだよ もう」
神山は直ぐに高橋に電話をすると 大丈夫です準備しますとの返事だった
「なーんだ 余計な心配をしなくても良かったんだ ははは」
「それでどの様なお部屋なんですか」
「うん 基本はここと同じさ 造り付の棚や部長席の配置など ただ
今座っているこのソファーの後ろにGプロとの扉を設けるのさ そう
丁度 この辺りから奥までをアクリルガラスにして 明るくしている」
「へぇー 翔君があの机に座るんですね へぇー」
「まあ 違うデザインより同じものの方が図面があるから早いしね」
「なるほど そうですね そうすると本人も驚きますね」
「まあね 課長じゃなく 部長だもの驚くよ 部屋だって基本ここと同じだし
しかし 時田さんや池上さんも驚くだろうな ははは」
「そうそう 本社秘書室の中村部長が忘れ物ですって 電話がありました」
「あっ そうだ 参ったなぁー 例の書留だよ 忘れていたよ」
「まぁー そうしたら早めの方がいいですよ」
洋子は直ぐに本社秘書室の秋山に電話をした
「そうね 紙袋に入れてあるけれど でも台車が有った方がいいわね
二人できても結構な重さよ 台車よ洋子」
「はーい 了解でーす 早速伺いますね」
電話を切ると
「ねえ やっぱり台車ですって」
「あーあ 分かりました じゃ一緒に行ってくれるかな お願いします」
神山と洋子は催事課で台車を借り 本社秘書室に行き書留を受け取った
次長室で早速整理をすると現金2億GCと商品券が4千万円になった

銀行に行き大口入金をした帰りに神山は洋子に
「洋子 そろそろ自宅を建てようかな」
「えっ、、、どうしたの 急に」
「うん 今の所はそれなりでいいと思うけれど やっぱり自宅じゃないしね」
「へぇー 初めて聞いたわ そうか ある程度お仕事が見えてきたって事?」
「うん って言うより 逆に見えないんだよ どんどんと仕事の規模は
大きくなっていくし 失敗は許されないし」
「でも 赤坂でも別な場所でも同じでしょ」
洋子は自分で言ってはっと思った
「そうか 分かったわ 思う女性が心に芽生えたのね ふふふ」
神山は何も言わずに次長室に戻った
(うん ごめんね しかし今の所だと 落ち着かないしさ)
次長室で神山は普段のように仕事に集中していると由紀枝から電話があった
「神山さん ごめんなさい 今夜から出勤になっちゃった もう」
「えっ そんなぁー」
「ええ でも今回は仕方がないのよ スタッフのお母様が亡くなられて
どうにもならなくなったの なのでこれから帰ります」





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2013年4月2日火曜日

Vol.997 紫陽花 -15-60



「大丈夫ですよ 今日からでも しかし杉田君が部長ですか
副社長も随分と思い切った事をされましたね もっとも山ちゃんで
慣れていますが ははは」
「それで理事 工事は内藤さんのところで 10日から入ります
お願いします」
「うん 了解です で どの位必要なのかな」
「ええ 棚なども設けますから 5m位ふかしたいんですが」
「ハハハ 図面を見てきたな そうすると空き部屋が無くなるじゃないか
もう隣の部屋との境界線だよ その数字は」
「ハハハ 前回のときにみて覚えておきました 今は隣の倉庫になって
いると思われますが 整理をしていただくようお願いします」
「そうすると 総務部長に話しておくよ 9日夜までに綺麗にするよう」
「ええ お願いします」
神山は話が終わると内藤に電話をした
「神山ですが 先ほどの件で 部屋の大きさが決まりました」
部屋の区切りを隣の部屋のパーテーションまで使える事が決まった事を
伝え 部屋の壁は天井まである事など注文をした
「分かりました そうすると区切りの既存パーテーションはそのままにして
部長席側に新規に壁を天井まで作るって事で良いですね」
「うん そうですね 棚を次長席のようにしその上を塞ぐようにすれば
新規の壁は必要ないでしょ」
「そうですね 分かりました そうしたら高橋に話しておきますので
後ほど現場を見させてください」
「はい 分かりました」
神山が電話を切ると時田が
「しかし いつも感心するが 仕事が速いな なあ西野君」
「ええ 本当ですよ いいですね副社長 いい部下をお持ちになって」
「ハハハ さあもう一杯」
時田は神山が褒められたので 気分が良く西野と奥村にブランデーを
注ぎ 自らもブランデーを口に含むと
「秋山君 なにかないか」
秋山は呼ばれると 直ぐに冷蔵庫から乾き物を用意した
「副社長 まだお昼ですよ 奥村さんや神山常務に失礼ですよ」
秋山は洋子と顔を見合わせくすっと笑った

「では 社長 失礼します ご馳走様でした」
「おお もう帰るのか?」
「ええ 現場を見る約束をしていますから 奥村課長はまだ大丈夫ですよ」
「ハハハ 奥ちゃんを置いていくのか 分かった」
神山と洋子が部屋を出ると たまたまエレベーターで本社総務部長の
堀田理事と会い
「神山常務 大変喜ばしい事ですね」
「お願いしますね 翔本人もやる気を出していますし 私自信の事でもあり
失敗が許されない事業です」
「はい 心得ています しかし神山常務の一件で驚いたのに 今度は杉田氏
ですからね 自身驚いていますよ いい先輩を持つと羨ましいですね」
「ははは 本人の努力も充分とありますよ 私は何もしていませんよ」
次長室に戻ると神山はGプロの高橋に電話をした
「やあ山ちゃん 部屋が広くなり部長席もできるって 内藤から聞きました」
「うん それで現場を見に行こうよ っても隣だけどね」
「了解です」
神山はGプロの部屋に行くと高橋と二人で隣の空き部屋を覗いた
「そうすると山ちゃんの言うように 隣とのパーテンションの所に新規に
造り付の棚を置いて バックに天井までのパネルを設ければ良いわけね」
「うん そうすれば次長室と同じように音も気にならないでしょ」
「で 部長席をどうするの 例えば、、、」
高橋孝一はスケッチブックに簡単なレイアウトをスケッチした
「うん それで 何も無いと落ち着かないから ほら外国のトイレのように
簡単な扉をつけようよ そうすればGプロから大きな声を出せばいいし」
「そうだね ってことはこの既存壁をそのまま残し 奥のほうを2000位
空けて そこに部長席の扉を設けるって方法でいいのかな」
「うん 開放は900で扉でしょ 一番奥は、、、うーん、そうだ考ちゃん
こうしよう 次長室と同じレイアウトにして ほらモニターが置いてある
あの位置を開放にすれば良いでしょ どうかな」
「はい 了解です すると出入り口も設けたほうが良いですね」
「うん 一応部長席だからね 扉はスイングにしてそうだな、、、うーん、
扉は曇りガラスとかで床から2000位で上はルーバーでどうかな」
「そうすると アクリルガラスで大丈夫でしょ 開口部は既製品の高さを
利用した方が早いと思うよ どう?」
「そうだね そうしよう そうするとスイングではなくて片開きで 施錠が
出来るようにしてください そうそう 扉の左右もアクリルガラスだと
開放感があって良いと思うけど どうかな」
「そうしたら この既存壁Gプロの壁を半分残して 後はアクリルガラスで
仕上げて 壁の真ん中あたりにドアを設けるって感じでどう?」





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2013年4月1日月曜日

Vol.996 紫陽花 -15-60



神山は電話を切ると 洋子に催事課へ行く事を告げ部屋を出た

催事課の部屋に入ると奥村は会議室へ招き
「実は山ちゃん 翔の事なんだけれど」
「ええ どうしたんですか?」
「うん ほらクリスタルガラスのデザインもするでしょ そこで催事課の
仕事と分けて考えた方が良いと思って 彼専用の部屋を作ろうと思って
でも 昇進しても課長だし どうしたら良いか悩んでいるんだ
クリスタルの仕事をしているとアルタとも打ち合わせを
しないといけないし 彼自身も落ち着いて仕事が出来ないと感じたんだ
この事は倉さんとも話したんだ なにか良いアイデアは無いかなって」
神山は先日の部長特進の件を掻い摘んで話すと
「えっ 翔も部長、、、ほんと???」
「ええ 本当ですよ アルタが部長待遇なんで鈴やでも部長です」
「だったら 部長席の名目で部屋を作る事は可能だ」
「でも 何処に作るんですか」
「うーん そこなんだよ 催事課の部屋はこれ以上狭くしたくないし
ちょっと困っているんだ」
「だったら この上のアルタが使っている部屋の隣って 
まだ空いているでしょ そこにしましょうよ」
「でも 催事課と完全に離れてしまうし」
「仕方ないでしょ我慢してくださいよ 同じビル内だし それにアルタとも
行き来しやすい場所ですよ」
「そうしたら 山ちゃんに任せてもいいかな?」
「ええ 良いですよ じゃ早速時田さんに話しに行きましょうよ」
「えっ 僕も?」
「勿論ですよ 押す所は僕がしますから 安心してください」
神山は会議室を出ると 奥村課長席から本社秘書室に電話をした
「大丈夫ですよ 今いらっしゃいます それから常務 お認めを
お願いします 書留が貯まっていますので」
「うん ありがとうございます では」
神山と奥村は催事課の部屋を出ると神山は次長室に戻り 洋子を連れ
本社ビルの最上階にある本社秘書室に向った

「おう どうしたんだ奥ちゃん 山ちゃんと田所秘書を連れてきて」
「はい副社長 お願いがあってついて来ていただきました」
「ほー そうか」
奥村課長は神山に話をした事を時田に伝えると
「そうか 杉田君も部屋が欲しくなったか どうだね山ちゃん?」
「ええ 僕は賛成です 仕事に区切りをつけるって処ですね
催事課の仕事をしているところに部外者はどうかと思いますし 逆に
クリスタルの打ち合わせや デザインも部外者に知られたくないし
ってところです なのでアルタの部屋を広げながら 翔の席を設け
簡単なパーテーションで仕切った部屋というか空間で良いと思います
逆に 完全な部屋にすると デザイナーとのコミュニケーションも
しずらくなると思いますよ」
「うん 分かった で何処で工事をする?」
「ええ アルタでしても構いませんよ 施錠の関係も絡んでいますし」
時田は西野理事を呼ぶように中村部長に指示をすると 秋山に
「おう 目出度い席なので氷を用意してくれ」
時田は席を立つと 棚からブランデーを取りだし グラスも用意し
「さあ 新部長のお祝いだ」
時田はそう言うと グラスを軽く持ち上げ乾杯をした
「しかし 副社長 翔が部長って 正直驚いています」
「うん この事は当日まで内緒だ いいね」
「はい 分かりました」
二人が話しているとき神山は 携帯電話でアルタの内藤と話していた
杉田の部長室新設を掻い摘んで話をすると
「そうすると 工事は10日からにしましょうね」
「そうですね その方がいいと思いますよ」
「図面はあるし その部屋をどの様にレイアウトするかですね」
「ええ 完全な部屋ではなく どこかにプロジェクトと通じる空間を
設ければ 仕事も捗ると思います」
「はい 山ちゃんのようにする必要は無いわけですね 分かりました
でも 棚とかは必要でしょ」
「ええ お願いします」
「了解です 早速取り掛かります それで最終確認は山ちゃんでいいの?」
「うーん 今回は不要でしょ お任せします」
「ははは 大変な仕事になりましたね 分かりました では」

西野理事が副社長室に入ってくると
「いい香りですね おや奥ちゃん どうしたの それに山ちゃんも」
「まあまあ 西野君 座って 大丈夫だろ」
西野が頷く前にグラスにブランデーを注ぎ 今回の用件を伝えた






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