2013年3月30日土曜日

Vol.994 紫陽花 -15-60



「祐子 今夜は普通に帰宅するつもりです」
「そうしたら どうかしら ホテルでしゃぶしゃぶは?」
「でも 由紀枝と泰子はどうする?」
「ぎゃはぁー 食べていくわ ねぇー泰子さん そうしましょうよ」
「ええ いいわよ みんなと話していると楽しいし お願いするわ祐子さん」
「じゃ決定でーす 神山さん 早く帰ってきてね」
「うん 早めに食べて 少し寝ればスッキリするし そうしよう
だったら桃子ちゃんも誘ってあげようよ 洋子もいいだろ」
「ええ ホテルだったら大丈夫よ お願いします」
「そうすると 桃子ちゃんに合わせないといけないな」
「神山さん 桃子ちゃんは5時30分上がりだから 6時でOKですよ」
「さすが由貴だね シフトをちゃんと覚えているんだ」
「へへへ だってそうしないと自分が休めないでしょ」
「そうよ 私だってみんなのシフトを覚えているんだから 大変よ」
「へぇー 由紀枝もそうなんだ 凄いね ここの美女たちは」
5人の美女達と神山が鈴や1Fの出口で話していると 容姿が際立ち
行きかう人たちが振り返り見ていた 

「ねえ 美佳 神山先輩と洋子先輩だよ それに女性5人組みだぁー」
「あれっ 由紀枝さんや由貴さんも一緒だわ へぇー」
今日 美佳は定期健康診断を終えお昼ご飯を杉田と過ごした帰り道だった
美佳自身は会いたい気持ちもあったが どうしようか悩んでいると
「折角だから 先輩に挨拶をしようよ 先日の事もあるし」
美佳は頷き交差点で待っていると どこかで見た顔があった
(あれっ 引田さんだわ どうしたのかしら へぇー)
信号が青に変わると 美佳は杉田の事だけを考えるようにして近寄った
「わぁー 引田さん 小谷です ご無沙汰」
「あらっ 小谷さん お久しぶり お元気ですか」
「ええ 引田さんもお元気そうですね」
引田泰子は一瞬考えたが 直ぐに
「今日は 神山理事からゴルフの講義って事でお昼をご馳走になりました」
「やっぱり そうなんですか 由貴さんやカトリアーナさん
ご無沙汰しています」
「あらっ そちらの男性は」
美佳は堂々とした態度で
「ええ 今度 式を挙げる運びとなりました ふふふ」
由紀枝が
「良かったわね 追い越されたわ もう がんばろうっと これから
引田さんに教えてもらうのよ ゴルフ練習場で実践です」
「わぁー 凄いわね 由紀枝さんも由貴さんも上手だし 追いつきたいわ」
「もう 駄目よ 旦那様を大切にしないとね ねぇー由貴さん」
「そうそう もうゴルフで遊んでいる時じゃないでしょ 怪我したら大変よ」
「そうね 当分出来ないわね ふふふ でも旦那様がいるから良いわ」
「おいおい 分かった 翔 早く部屋に帰りなさい」
「はい 先輩 先日はありがとうございました さあ美佳 帰ろうよ」
美佳と杉田は神山たちにお辞儀をして その場を離れていった

「しかし泰子 凄い機転の早さだね 驚いたよ」
「簡単よ だって男性が居るって事は お友達じゃないでしょ 由紀枝さん」
「そうそう でも凄い早い回転ね だからゴルフと語学が両立できたのね
私も驚いたわ でも美佳さんを知っているの」
「ええ そんなに親しくはしていないわよ 大学で交流会の後 話したわ」
「へぇー 交流会があったの」
「ええ フランス語部活の方よ それで多少親交があった訳です」
「分かった さあさあ目立つから 早く練習場に行きなさい」
神山はそう言うと祐子に現金10万円を渡し
「祐子 ホテルのしゃぶしゃぶを予約しておいてください 桃子ちゃんが
6時だから その時間でもいいし 先に行って呑んでいてもいいよ」
「はい 分かりました では先に行って呑んでいますね」
「由紀枝 余り呑み過ぎないようにね お願いします」
「大丈夫よ 神山さん私がついているから」
「もう カトリアーナは余計な事言わないのよ 本当に
飲み過ぎれば お泊り出来るじゃない もう」
「はぁー なんだ作戦だったのね ごめんなさい」
「もう いいわよ ふふふ 安心して神山さん そんなに呑まないわ」
「分かりました じゃ タクシーを拾って帰りなさい」
由紀枝はううんと言いながら 青になった横断歩道を渡り始めた
5人全員が殆ど同じような体形で 出る所が出ていて へこむ所はへこみ
お揃いの制服姿で後ろから見ると誰だか判らないだろうと思った
自然と由紀枝が真ん中を歩いていて みんなと話している様子が伺えた
行きかう男性や若い女性が振り返るほど容姿端麗な5人組みだった
神山が見とれていると洋子が
「どうしたの さあ部屋に戻りましょうよ でも綺麗な5人ね ふふふ
同姓でも惚れ惚れするわ」





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