2013年3月18日月曜日

Vol.982 紫陽花 -14-59



「うん まあね そうしたら送ってあげるよ 乗っていく?」
「ううん ありがとう でももう1件 寄らなければいけないのよ」
「うん 分かった じゃ」
神山は信号が変わり 前の車が出たので一緒に発進をした
祥子が手を振っているのが分かったが 神山は少し複雑な思いをした

泰子のマンションに着いたのは4時半だった
昨日 不動産屋で駐車場を2台分借りた時 泰子が驚いたが
どうせ車を購入するなら 今のうちに駐車場を確保した方が良いと思い
2台分の駐車スペースを確保した
車を止めると玄関で泰子の部屋のナンバーを押すと インターフォンで
泰子が答えてきた ガラス扉を開けてもらい エレベーターで
最上階に行くと泰子は玄関の扉を開けて待っていた
「わぁー 早いわね 私もほんと 今 着たところよ」
泰子と神山は玄関で長いキスをすると 泰子が
「駄目よ 欲しくなっちゃう もう 今日一日大変だったのよ」
「何が大変だったの」
「ええ まず一つ目が蟹股になっているんじゃないかって 二つ目は
あそこがムズムズして 可笑しいのよ 座っていても可笑しかったわ」
「そうか 体の修復作業だよ きっと」
「そうかしら でも嬉しいわ」
泰子は又 キスをすると神山に抱きついて
「ほんと 幸せよ ふふふ」
「さあ 泰子 拭き掃除をしておこうよ 準備してくれた?」
「ええ バケツと雑巾を買ってきました ではお掃除をしましょうね」
二人が拭き掃除を終わる頃にインターフォンがなり 家具と家電製品が
部屋に運ばれてきて 泰子は部屋が出来上がる喜びを感じていた
クーラーの取り付けが終わると 水道開栓の為に水道やが来たり
ガスの開栓でガス屋が来たり 電気の開通を確認したりと忙しかった
7時には全てが終わり 不要になったダンボールも綺麗に片付き
部屋の中はホテルのような内装になった
「わぁー この家具って こんなに素敵なのね」
「うん 本物って飽きが来ないし 気が落ち着くよ」
「そうね」
泰子はソファーに座ると 喜んで跳ねていた
「さあ そうしたら どこかで食事をするか 出前を取るかだね」
「外で食べましょうよ いいでしょ」
神山は頷き 泰子と手を組んで外に出た

漸く夕日が沈みかけているが まだアスファルトの上は暑かった
「何を食べようか」
「うーん お寿司が良いわ」
二人は街の中を歩いているとお寿司屋が見えたので泰子が
「あったわ 入ろうか?」
神山は店構えなどを見て判断し 清潔そうなので
「よし 入ろう」
店内に入ると 店長が威勢良く迎えてくれて 若い職人も威勢が良かった
女将がカウンターを勧めると店長が直ぐに
「今日はマグロの美味しいところが入っています」
神山は女将に生ビールと鮮魚の盛り合わせを注文すると店長が
「こちら サービスです どうぞ召し上がってください」
そう言うと下駄にマグロの切り落としを乗せた
「美味しそうだね 食べましょう」
泰子と神山は生ビールが来る前に食べてみると 確かに美味しかった
赤みなのに油が乗っていて 久しぶりに美味しいマグロだと感じた
生ビールが来て乾杯をすると 鮮魚の盛り合わせが下駄に乗せられた
「わぁー 美味しそう でもこんなに一杯食べられるかしら」
「ハハハ 大丈夫だよ」
ゴルフの話や携帯電話の話で盛り上がっていると 後ろから
「あれっ 神山さん」
「やあ 由貴に桃子ちゃん どうしたの」
「神山さんこそどうしたの」
「うん 紹介するね 引田泰子さん お仕事でお友達さ
こちらは浜野由貴さん こちらが安田桃子さんで お仕事でお友達です」
「お客さん 向こうのテーブル席はどうですか?」
「じゃ お願いします すみませんね」

席を移ると由貴が
「ゴルフの練習をやってきたのよ それで桃子ちゃんとご飯って訳でーす」
「そうか でもマンションから結構離れているよね」
「そうでもないわよ でも 引田さんってどこかで聞いたわ わぁー
思い出せない もう 嫌ねぇー」
「私 覚えているわよ 東京学院大学の引田さんでしょ」
「ええ もしかして 青学の安田さん?」





.