「まあ まだ頑張るんですか もう ほんと元気ですね ふふふ」
神山は香織の言葉を聴いている限り 昨夜の事を悪く思っていないと感じた
部屋が違うと本来はテーブルが離れるが ホテル側の好意で同じテーブルで
朝食を摂る事が出来た
神山は泰子の気持ちを察し ゴルフの話に徹していたが香織が
「神山さん 今日のハンデは私たちにオールワンよ」
「おいおい それじゃ 僕がもう負けるの分かっているじゃないか もう
駄目だよ せいぜい 14がいいところでしょ」
すかさず泰子が
「そうね オールワンだと神山さんがボギーを叩くと負けでしょ
だったら ショートとロングを除いた14がいいところじゃないかしら」
「まあ 泰子さん でもそうね それで1打いくらですか?」
「まあまあ それはゴルフ場に行ってからで良いでしょ それとも
ここで決めた方が いいのかな?」
香織は真由美と顔を見合わせると
「どちらでもいいわ でも 1打1000円が妥当でしょ」
「うん ではハンデを発表します 神山 引田は0 香織 真由美は
共にハンデ14 でどうかな」
「はーい 頑張りまーす ふふふ ねぇ真由美」
「はい 90を切る様に頑張ります」
それを聞いていた泰子は
「私は パープレーできるように頑張ります ふふふ」
神山だけでなく 香織や真由美も驚いた
食事を終えて部屋に戻ると神山は泰子に
「ねぇ 本当にパープレーで廻るつもりなの?」
「だって記念すべきゴルフでしょ だから自分に言い聞かせているの
分かってもらえるでしょ ふふふ」
「よし 僕もがんばって いいスコアを出すよ 悪いけれど20分ほど
寝かせてください お願いします」
泰子はニコニコと笑顔で答え その間にゴルフの支度をした
神山のパンツやポロシャツなどをきちんと揃えて ハンガーに掛けた
目を覚ました神山は泰子にお礼を言って
「あれっ パンツは?」
「ふふふ 全部ハンガーに掛かっていますよ もう」
「あ あっ ありがとう」
神山は直ぐに支度が出来ると 泰子に
「あの二人の様子を聞いてください こちらは下に行きますと」
「はーい 電話をしますね」
泰子が電話をすると香織たちも これから部屋を出るところだった
1Fのティーラウンジで合流すると神山は2Fのフロントで精算をした
「神山さま 今回のご利用は全部で56万円でございます 昨日お預かり
しています100万円から引かせて頂き 44万円のお返しになります
本日はどうもありがとうございます これからもご利用ください」
神山は返済の44万円を受け取るとティーラウンジに向ったが
エスカレーターを降りたところで 椿が待っていて
「神山さま 今回はありがとうございます」
「いえいえ たまには現金で宿泊しないと罰があたりますよ」
「そんな でも これからもご利用くださいね」
「ええ こちらこそお願いしますね」
神山は挨拶を終えると 3人に玄関で待つよう言うと 車を取りに行き
エンジンを掛けると 車止めで3人を乗せた
「神山さま 今日は無風と言っていました いいスコアが出そうですね」
「はい パープレーを目指します では 失礼します」
神山が車を発車させるときに 由紀枝と亜矢子が手を振っていた
ゴルフ場に着くと神山はフロントで予約表のところに名前を記入して
スタート手続きを行った
各自がロッカーキーを受け取り着替えを済ますと 神山は3人を待った
香織たち3人が来ると神山は
「ねぇ みんな同じクラブだから 目印をつけないといけないね」
「そうかぁー 分かりました」
神山は3人をキャディーマスターのところに連れて行くと 訳を話し
クラブの根元にマジックインクで印をつけた
パターを取り出し 練習グリーンでパットの練習をすると泰子のボールが
狙ったとおり 気持ちよくカップに吸い込まれていた
神山も集中したが どうしても距離感が合わなかった
多分 昨日の雨でグリーンが重たくなっているのだろうと思い
少し強めに打つと 結構思ったとおりのラインを描いていた 泰子が
「今日のグリーンって 重たいですね こうなると素人の方がいいスコアを
出しやすい状況ですね 頑張りましょうね」
神山はまだ25歳の女性に ゴルフを教えられ泰子を見直した
8時30分 インスタート 10番ティーで打順を決めた
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