2013年3月29日金曜日

Vol.993 紫陽花 -15-60



私の知る限り最高の縫製技術だと思います 嬉しいですよ
あんなに買っていただいて ありがとうございます」
「へぇー そうか じゃ宣伝不足って訳だね」
「ええ しかし宣伝をしても 最高の縫製では売れませんし 難しいですね」
「まあ それもそうだね」
「ところで 常務 どこのクラブですか? 美しい方ばかりで」
「そうか そう見えるか 喜びますよ 一般人ですよ ははは」
売場係長は狐につままれた思いで 神山たちを見送った

「ねえ 神山さん どこかでお昼を食べたいなぁー」
「ははは 由紀枝の事だから そう来ると思ったよ うなぎにしようか
美味しくて 少しだけ自慢できるかな どう?」
「いいわよ ねぇーカトリアーナ」
「ええ 久しぶりにうなぎを頂きたいなぁー 嬉しいわ
でも 元気になっても 神山さんは居ないし あーあ どうしよう」
「おいおい 僕じゃなくて そのエネルギーはお仕事に使ってよ もう」
神山がそう言うと 女性群から笑いが起こった
店内にあるレストランのうなぎ屋に向うと お昼とあって順番待ちのお客が
列を作っていたが 洋子が仲居に話をして 裏から奥座敷に入った
「さあ 好きなものを注文してね」
「って言っても メニューにはうなぎしかないじゃない もう」
「ははは そうだね」
神山は仲居にいつものように おつまみと生ビールを注文した
「ところで泰子 今日はお休みにしたの?」
「ええ 有給休暇が余っていて それで休んでいます」
「うん そうだね 休める時に休んでおかないとね 引越しもあるしね」
「引越しかぁー カトリアーナもしたいなぁー」
「ははは カトリアーナは嫌でも来年には引越しだよ それまで我慢さ」
「そうですね ここのインフォメーションで働けるなんて幸せだわ」
「うん 頑張ってくださいね きっと似合うよ制服姿 ねぇー洋子」
「ええ 素敵な案内嬢になるわ 待ち遠しいわね」
生ビールを飲み終わると日本酒を頼んだが 5人の女性は控えていた

「どうしたの 今日は?」
「ええ ここを出たらゴルフの練習なんですよ ふふふ」
「泰子さんに教えてもらうんだ いいでしょー」
「そうか でもクラブはどうするの?」
「ええ 貸しクラブで充分でしょ まずは基本ですから」
「泰子 ほどほどに教えてくださいね でないと僕の出番が無くなるから」
女性群は大笑いしながら 少しだけ日本酒を呑んだ
おつまみがなくなると洋子が仲居に
「うな重を7つください そうそう特上でお願いしますね」
「洋子さん 蒲焼だけってお願いできますか」
「いいわよ 何人分にする?」
「うーん 一人半分だから 4人前でOKだと思いまーす」
この時も由紀枝が気を利かせて 洋子に注文をした
「おいおい 由紀枝 大丈夫? そんなに食べて 太るぞ」
「ふふふ 大丈夫ですよ お仕事大変だし うなぎはどこかに消えるわ
消えないうなぎのほうが 良いけれど 時々休憩するからなぁー」
それを聞いていた 泰子や祐子 カトリアーナなど大笑いをした
由貴が由紀枝に
「余り言うと 本当に使い物にならなくなるから 程ほどが良いわよ」
「そうね 可哀相だから ここらで勘弁するかぁー ぎゃはぁー」
またみんなで大笑いをした
「洋子 これだよ ほんと 参ったよ もう」
「いいじゃないですか 若返って ねぇーみんな」
「そうそう 他の男がだらしないのよ 神山さんは選ばれた男よ
だから頑張ってね ねぇー由貴さん」
「そうそう ほんと他の男ってだらしないし 意気地が無いわね」
これだけ褒められると 神山も悪い気はしなかったが 由紀枝が
「そうしたら 私はもう一泊しようかな いいでしょ」
「だって 明日はお仕事でしょ 大丈夫かな」
「うーん 大丈夫ですよ ただ早起きして運転しないとね 遅刻だわ」
「だったら 今夜ちゃんと帰りなさい 明日事故を起こしたら大変だ」
「えーっ 帰るの 今夜、、、」
その時洋子が
「いいじゃない そのうちに御殿場に行きますよ ねぇ神山さん」
「うん 行くよ だから今夜は帰りなさい いいね」
「はーい 分かりました ただし嘘をついたら どうなるか分かるでしょ」
神山はぞくっとしてカトリアーナと祐子の顔を見ると
カトリアーナと祐子は由紀枝とニヤニヤしながら口を押さえて笑っていた
ころあい良く うな重と蒲焼が運ばれ 美味しくたいらげた

「ご馳走様でした ではこれから練習に行ってきますね」





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