2013年3月22日金曜日

Vol.986 紫陽花 -14-59



「えっ でも 大丈夫かしら」
「あのね 僕が言っているんです お願いします」
洋子は神山がトップ3の立場という事を思い出し
「ごめんなさい 神山常務」
「うん 早めにその情報が欲しい 居なかったら中途採用だ
それでこの件は 内緒でお願いします 時田さんには事後報告します
洋子 これは本当に内緒で進めたいんだ なので口の堅い人にお願い」
「分かりました 早速聞いてみます」
洋子は神山がなにをしようと考えているのか 少しは分かるが
細かい詮索はせず 言われた事を守り事を進めないと自分が危ないと感じた

神山が仕事に集中していると洋子が
「本社人事から返事がありました」
洋子がリストを神山に渡すと神山は
「うーん 翔のサポートする器は居ないな ねえ 女性でもいいよ」
「でも 徹夜って出来ないでしょ どうかしら?」
「うん しかしその意気込みがあれば問題ないよ だって法律に女性は
徹夜作業が駄目だって書いてある? 無いでしょ そこだね」
「はい ごめんなさい もう一度手配します」
「うん お願いします」
神山が仕事に集中していると直ぐに10時30分になった
「洋子 これから大森さんの所に行きます 今日はARXの秘書が来るし
契約書もあるかもしれないので お願いしますね」
二人は蒼いBMWで恵比寿の大森の会社に向った

クリスタル大和に着くとアレックスは既に来ていて神山を見つけると
「やあ 神山さん お願いしますね」
「早いね 誰の運転?」
「ええ 涼子ですよ ほんと早いです」
アレックスはJrと涼子の二人だけで 神山は会社の中に入った
社長の大森に会うと
「大森さん こちらが五輪記念グラスを販売していただける
アレックスジャパンの社長 アレックスJrです」
簡単な挨拶を済ませると 早速社内のグラス工房を見学し 更に
サンドブラストが置いてある部屋に入った
Jrの希望で マシンを稼動させ実際にグラスに絵柄を彫らせると
「凄い マジックですね 神山さん 大丈夫ですよ これなら私も父も
大賛成です OKです このマシンで出来たものは全て買い取ります」
大森や神山は頷いたが大森が
「神山さん 出来れば仕入れにも出資をしていただくと 大変に助かります
って言うのは 今までと個数が桁外れです、、、」
「うーん そうですね 大森珪砂会社とグラス製造会社の二つですね」
「良くご存知ですね ええ 特に大森珪砂会社に出資をしていただくと
大変助かります 鉛も特殊な鉛を買う事が出来ますし、、、」
神山は暫く考え
「いいでしょう いくら位ですか?」
「ええ 両方で5千万円もあれば大丈夫です 数はこなせます」
「分かりました そうしたら 出資しましょう ただしこの件については
事業が軌道に乗ったら 返済をしていただく どうでしょうか?」
「えっ それでいいんですか 顧問になられても構いませんよ」
「ええ でも それだけ利益を圧迫しますから 今回は不要です
ただし アレックスの支払いが始まったときから 返済をお願いしますね
勿論 少しずつで構いませんが」
「ありがとうございます」
「もっとも アレックスが販売を始めたら 直ぐに返済は出来ますよ
なんと言っても 桁が違いますからね」
神山は洋子に出資の件や出来上がり商品の買取などの契約書製作を指示し
篠原涼子も同じように契約書を製作した
大森 神山 Jrがサインをし立会いで洋子と涼子もサインをした
3人は暫く雑談をしクリスタル大和を後にした

神山と洋子が次長室に着くと 本社人事課からFAXが届いていて
「洋子 この人物だけど 面白いね」
神山は上野店手芸用品売場の女性を指し洋子に見せた
「へぇー 趣味は店舗めぐりやデザインなのね 面白いですね」
「うん 創造性が問題だからね どうだろうか 面接してみないか」
「ええ 分かりました この部屋に来てもらえばいいですか」
「うん お願いします」
山崎絵里華 23歳 鈴や上野店手芸用品売場勤務 入社3年
東京芸術学院グラフィックデザイン課卒業
入社時にデザインは大好きだが 手芸用品売場で多くの人にデザインの
面白さを伝えたいと言い 宣伝課や催事課配属の希望はしなかった
「あなた 山崎さんですが 大丈夫です 今日は3時に休憩が
入っているので 売場係長にお願いをして来て貰います」





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