2013年3月23日土曜日

Vol.987 紫陽花 -14-59



「うん ありがとう そうすると3時半までには来るんだね」
「ええ そうです」
「それで 評判はどうだった」
「ええ 人事で調べたとおり 明るくて人気者ですよ お客様からも
評判が良くて 売場でも助かっていると話していました」
「そうか、、、うん ありがとう」
神山は時田に電話を入れると
「うん 分かった どうだね 昼を一緒にしないか」
「はい ありがとうございます それでしたらいせ丸で如何でしょうか」
「うん 分かった 12時半に着くようにする」
「はい お待ちしています」
電話を切ると洋子に
「12時過ぎにいせ丸を予約してください」

神山と洋子は12時を過ぎたときに銀座築地寿司屋いせ丸へ向った
女将がいつものように奥座敷へ案内し 襖を閉めた
約束の時間少し前に 時田が現れおつまみやビールが運ばれ 催事課の
人員補強を説明した
「うん 分かった 屋敷君も頑張っているが まだまだだしな そこへ
アルタの仕事では 余裕が無くなるか うん しかし上野店はどうだ」
「ええ 外商移動で人員整理をするので その時に補充が出来ればと、、、」
「そうすると 8月1日の移動か うん その方がいいな」
「ええ 銀座からも上野に行くと思っています その時のほうが
目立たないし いいと思っています」
「わかった 上野店と池上君にはワシから話しておく
しかし そんなに忙しくなるか?」
「ええ 軌道に乗るまで忙しいし 軌道に乗ったら乗ったで忙しいです」
「ハハハ 山ちゃんは仕事を作るのが上手だな」
「ええ まあこれは性分ですかね ははは」
3人は仕事の話を終えると 鮮魚のおつまみや握りを食べ店を出た

次長室に戻り神山が仕事に集中していると直ぐに3時になった
神山は山崎絵里華の面接用として GOLのデザインを用意して待った
暫くするとまだあどけなさが残る 目鼻がはっきりした山崎が来た
「やあ いらっしゃい さあ こちらのソファーに座ってください」
山崎は神山の前で多少緊張しているのか 顔に余裕が無かった
「さあ そんなに緊張しないで 座って」
「はい 分かりました 失礼します」
山崎絵里華がソファーに座ると 神山と洋子が自己紹介をした
「私は上野店手芸用品売場の山崎絵里華です、、、」
「ははは まあまあ あなたの事は人事からデーターを頂いています
ところで 東京芸術学院グラフィックデザイン課を卒業されたのに なぜ
宣伝課や催事課配属を望まなかったのですか」
山崎は何処の売場でも デザインを楽しみながら 顧客に伝える事が
出来ると思ったので売場配属を希望したと話した
「例えば 手芸用品の売場でも 既成概念にとらわれたお客様に提案を
するんです そうするとお客様の反応が楽しいでしょ
刺繍にしてもキルトにしても 配色などをアドバイスしたりして
そこで 売場の商品を買っていただくようにしているんです」
「そうか 要は今までのスキルを生かした販売をされているんですね」
「ええ 楽しいですよ その代わり私もお休みの時は 色々な所へ出向き
デザイン感覚を磨いていますよ 例えば東京タワーの美しいラインなど
デッサンをし家で考えるんですよ あの角度 ラインを何かに使えないか」
「そうか 凄いね 勉強家ですね」
神山は用意したGOLのデザインを見せると山崎は直ぐに
「わぁー 素敵なデザインですね 子供が喜びますね 素敵だわぁー」
神山は洋子を見て
「このデザインでそう思うのかね」
「ええ 子供を大切に思うデザインですよ 喜びますよ絶対に」
山崎絵里華は目を輝かせデザインに見入っていた
何枚も用意したデザインを見終わると
「失礼でなければ、、、 何処のデザインですか」
「うん これはね来年完成する 御殿場アウトレットのデザインさ」
「へぇー 大人でも楽しめますね 完成したら行きますよ 絶対に
それから いいですか?」
「うん どうぞ」
「この アレックスブースのパイプの丸いものですが何でしょうか」
「ああ この部分ね このパイプは上から商品が流れた時に センサーが
感知して 音や光でお客様 特に子供を楽しませるものだよ」
山崎は少し考え
「そうしたら 丸ばかりだと男の子の世界だと思います
宇宙空間や未来的な要素が高すぎます なのでこの形を例えば星や四角 
三角やL字型など 色々と変化をつけると楽しいですよ 音符でもいいし
保育園のおもちゃなどにある 積み木の形です」





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