神山が全員の紹介を終わると
「それでは当初案から説明をさせて頂きます」
内野は先日のシュミレーションどおり 気持ちに余裕を持ち説明した
時々洋子の顔を見ながら 説明していたが 先日のような
慌てる様子も無く 分かり易く説明を終えた
神山はここで
「内野さん 説明ありがとうございます さてここにいらっしゃる
パリニーナ・ニーナ副社長 ポール・モーガンさんにお伺いします」
神山は久保に通訳をお願いし
「実はこの案は筒井副社長と打ち合わせをして 決められた予算の中で
デザインをさせて頂きました このデザインは決められたスペースの
中で最高のものだと思います しかしこの御殿場アウトレットでは
私は存続が難しいと思います 一つに固定客の販売ではなく
不特定多数の顧客に満足して貰わないともいけないからです
百貨店のように 固定客がいれば売り上げも見込めますが この
GOLでは 強力な固定客を望むのは無理だと思います
ポール・モーガンさん 如何でしょうか」
指名されたポールは ではGOLの位置づけはどうかと質問した
「はい GOLでの販売は 現行品も多少値下げをして販売し
更にGOL限定品も販売するという方向です 百貨店のセールとは
意味が全然違います ここに来た方に安く提供をする そのスタンスです」
祥子が分かり易く通訳をしていると
「クリアランスでもないのか」
「ええ この会場に来て頂いた顧客のみが手にする喜びです
それは値段であったり 限定品であったりさまざまです」
ポールは頷いてどの様にすればいいのか 教えて欲しいと話した
神山は頷いて高橋に説明するように指示をした
高橋はぶっつけ本番だったが さすが神山が認めているだけあって
丁寧に ポイントを分かり易く説明した
ポールは久保の通訳で頷き 聞くほどに目が輝いてきた
説明を聞き終わるとポールが神山に
「これで3億円か 高くないか」
「これはまだ試作で 方向性を示したもので 地下部分もあるので
この図面も見て欲しい」
神山はアレックスブースの地下共有部分のパースを見せると
「アレックスはここまでやるのか 素晴らしい」
「そこで考えているのは 自分でブースを建てれば この地下共有部分に
連結させる事が出来 大きなテーマブースが誕生し リピートが必ずある
その方法も アレックスと進めているので 安心して欲しい」
ポールは神山の話に頷き
「是非 アレックスと手を組んで 仕事をしたい どうだろう」
「わかった ポール 最低でも3億は掛かる デザインによっては
6億掛かるかもしれないが それでもいいか」
ポールは暫く考えた後 頷き
「分かった 神山さんに任せる ジャパンの筒井と進めてください」
神山は洋子に契約書を直ぐに製作するよう指示を出した
いつもの事ながら 頷く時にはもうキー入力をしていて
「はい これで宜しいでしょうか」
神山はフランス語で書かれた契約書を熟読し頷くと
「コピーを2部作ってください」
洋子は2部プリントアウトして 神山に渡すと
ポールからサインをして 筒井 神山とサインをした
洋子と祥子が立会いでサインをして 最後に神山が場所と時間をサインした
神山は1部をポール 1部を筒井 1部を自分が保管した
ようやく普段の神山に戻ると筒井が
「山ちゃん 助かったよ 本当にありがとうございます」
筒井は丁寧に深々とお辞儀をし握手をした
「頑張って 進みましょう 良かったですね」
ポールが神山に
「あなたが居るので 安心した アレックス氏が惚れている訳が分かったよ
もう 好きなようにデザインをして ニーナ・ニーナを盛り上げて下さい」
ポールも神山としっかりと握手をしたが神山が
「私はアレックスJPでは最高責任者だが 鈴やの人間です ははは」
「そうだったね 鈴やのデザイナーだったね うん ありがとう」
「筒井さんと いいものを造ります ありがとうございます」
「では お願いしますね」
神山は筒井にポールの昼食を聞いてみると
「うん 築地のいせ丸に行くことになっているよ どう一緒に」
神山は少し考えたが
「ここはニーナ・ニーナさんで行かれた方が いいでしょう
次の機会にしますよ」
「うん ありがとう そうそう あのスーツはある?」
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