2012年11月23日金曜日

Vol.867 紫陽花 -9-54



「おいおい 僕は真剣に悩んでいるんですよ 楽しいなんて あーあ
そうだ 30分寝かしてください」
「はいはい 分かりました」

昼寝を起こした洋子が
「ねえ 大丈夫 なにか魘されていたわよ」
「うん 大丈夫さ ありがとう」
神山は昨日制作したQ&Aを洋子に見せた
「わぁー 凄いわね 大丈夫よ あなたが言うように
このプロジェクトだけじゃなくて 色々と使えるわ」
「ほんと 人事の神様が言うのだったら 間違いないな」
「ねえ 私の意見も入れていいかしら」
「うん いいよ お願いします」
洋子は軽やかなキー操作で直ぐに神山の書類を制作し
「どう こんな感じで」
「へぇー 僕が気が付かない事まで網羅してる 大したものです」
「ねえ 本社の人事に知らせてもいいでしょ きっと役に立つわ」
「うん いいよ そんなに役に立つかな 当たり前のことだけどな」
「ええ だけど当たり前が分からない社員が増えているでしょ
特に外商は 既存の客ばかり狙っているけれど 新規開拓って
この8月からじゃないですか その時にも役に立つわ」
「えっ そんなところに役に立つのかな」
「ええ 勿論 このままといかないでしょうけれど これをたたき台にして
人事で考えてもらえば いいマニュアルが出来るわ」
「分かった お任せします」
神山はアレックスブースの纏めを整理していると亜矢子から電話があった
「やあ 先日はお疲れ様でした」
「ふふふ お元気そうね」
「うん なんとか どうされました」
「ええ 前から話していた 土地の購入と建物の話だけど」
「うん」
「それで 土地はいいところが見つかったのよ」
「それは良かった それでもう見にいったの?」
「ええ 会社から離れているけれど 病院が直ぐ傍で いい所なんです
それで家を建てるのに 例の不動産屋の弟さんが建築会社の社長を
されているって聞いたの」
「うん 由紀枝のマンションもそこで建てたと聞いているよ」
「だから そこに頼もうと思っているの」
「うん そうだね 色々と繋がりが分かるし良いと思うよ」
「それで 基本的なデザインをあなたにお願いしようかなと思っているの」
「おいおい 僕はそこまでは出来ないよ やはり餅は餅屋だよ
でもアドバイスなら可能だよ それでどうかな」
「そうね そうしたら あなたの時間が空く時でいいから 御殿場に
来て そこで打ち合わせをしたいんだけど いいかしら」
「うん 大丈夫だよ その時に亜矢子の希望と僕の考えを話し
後はデザインとお金の問題だと思うけど それでいいかな」
「ええ ではお待ちしています」
「うん 今週はGOLの大変な時期なんだ だから少し後になる」
「ふふふ 分かったわ でも私 寂しいの お願いね」
「もう そんな苛めないで 分かりました 伺いますよ」

電話を切ると洋子が
「亜矢子さん どうしたの」
「うん 御殿場で病院に近いところに土地を見つけたんだって
それで僕にデザインをして欲しいと言われたんだけど
そこまで出来ないから アドバイスをするよって」
「へぇー 良かったわね そうすると 家を建てるんだ いいなぁー」
「うん お母さんに安心してもらうのと 自分が安心できるからね」
「そうね 親孝行ね そうしたらこの書類を本社に持っていきます」
「はい お願いしますね 照れくさいな ははは」
「大丈夫よ 完璧だから」
洋子は神山にキスをすると 次長室を出て行った
神山は明日のニーナ・ニーナブースを見ていると予算が気になり
どうしても2つの箱が欲しかった
自分なりにアイデアを出しスケッチをしたが どれも
帯に短し襷に長しで どうにも使えなかった
神山は考えていてもいい案が出てこないので 筒井に電話をした
「やあ お久しぶり 凄いスコアじゃないか」
「ええ たまたまですよ」
「職務でも僕を追い越し ゴルフでも僕は負けたよ それで」
「ええ GOLのブース予算ですが その後変化はありましたか?」
「うん 僕も何回かパリと話をしているんだ でもね 態度を変えないな」
「うーん そうすると当初の3000万円ですか」
「うん そうだね ただし大きなイベント 例えばクリスマスセールなど





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