2012年11月8日木曜日

Vol.852 紫陽花 -8-53



「すみません課長 近日中に処分しますから」
「いいですよ 山ちゃんの事だったら 断れないよ
いつも助けて貰っているんだ 何とか力になりますよ」
「ええ お願いします」
神山は次長室に戻ると仕事に集中した
16時を過ぎた頃に 祐子から電話があった
「はい 神山ですが」
「祐子です お仕事中ごめんなさい」
「うん どうした?」
「ええ プールから戻るところですが ホテルのお肉屋さんが
半額サービスをしているんです それでどうかと思いまして電話しました」
「そうか ありがとう そうしたら まだ分からないけれど
5人だから 少し余分に買っておいてもいいですよ」
「はーい 分かりました」
「ところで お肉は大丈夫だろうね」
「ええ カトリアーナと生を少し頂いたら 美味しかったですよ」
「うん お願いします 立て替えておいてね
そうそう それだったら 魚介類も買っておいてくれるかな」
「ええ 伊勢えびも新鮮で美味しそうなのが安いです」
「分かった 任せますので お願いしますね」
「はーい 了解しました 早く帰ってきてね」
「うん では」
電話を切ると洋子が
「どうしたんですか?」
「うん 今夜の食材でお肉が安いけど買ってもいいかって」
「へぇー 祐子さん?」
「うん 午後からホテルのプールに行っていてね 丁度帰るところで
お肉が半額のセールをしていたんだ それで聞いて来たんだよ」
「へぇー そうしたら今日は買い物なしで 帰れるわね」
「うん 生肉を食べたら美味しいかったって 期待できるね」
「わぁー 凄いですね」
「ほら 時々食べているから 分かるんだろうね」
「そうね 良かったわね こういう時に役に立つのね」
「うん ありがたい話さ さあ 今日はここまでかな」

神山は冷蔵庫から缶ビールを取り出し ソファーに座った
「はい 洋子 どうぞ」
二人は缶ビールを呑むと軽くキスをした
「ねえ 洋子 今朝だけど翔から相談を受けたんだ」
神山は杉田から言われたことを掻い摘んで話すと
「私だったら 妹さんの事情や家の事情も分かるけれど
まずは 美佳さんを一番に考えるわ だってみんなが賛成しているんだし」
「そうだよね これで反対意見があると大変だけどな」
「そうそう 反対がなければ 前に進んだ方が懸命だと思うわ」
「うん そうすると 近いうちにいい報告がくるかな」
「そうね そう願っていましょう 社内でも浮いた話は全然ないし
この頃はすっかりお兄さんになったみたいよ ふふふ」
「へぇー そうか 今朝はそんな話は出なかったな
勿論 自分のことで精一杯だからな」
神山は缶ビールを呑むと洋子に30分寝るといい ソファーに横になった
時間になると洋子が起こし
「ふぁー すっきしした さてそろそろお迎えですね」
「ふふふ 楽しみでしょ」
「うーん 半分半分かな」
「どうして あんなに綺麗な方と一緒にお食事よ」
「うん でもね ほら毛が中途半端だからさ」
「まぁ ご自分が悪戯をしなければ良かったのに ねえ」
「まあね 反省しているよ あーあ おっかない」
「さあ 少し早いけれど 行きましょうよ」

神山と洋子は支度をして部屋を出ると 三山百貨店の南口についた
時計を見るとまだ17時には10分くらい時間があった
「洋子 ここの百貨店て 若い層の客が多くなったね」
「ええ うちも考えないといけないわね うちは半分くらいかしら」
「そうか そうすると上野はもっと層が上だな 大変だな」
「先日もニーナ・ニーナさんが 外商顧客じゃない新しい顧客で
売り上げが伸びているって そう言っていたわ」
「そうだよな 外商も早く手を打たないと負けるな」
「そうそう 2階のブティックでも 同じような事を言っていたわ」
「そうすると改装工事が始まるかな うーん難しいな」
神山と洋子がそんな話をしていると 後ろから山脇絵美が
「神山さん 遅くなってごめんなさい」
「あっ 山脇さん こんばんわ つい先ほど来たばかりですよ」
「店長が急にゴルフのことで色々と言われ 遅くなりました」





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