暫くすると涼子が受付に現れたので 神山は手を振って合図をした
「ごめんなさい 遅くなりました」
「いや 僕達も来たばっかりだよ それより急にごめんね」
「少し驚いていますが 大丈夫ですよ ふふふ」
「涼子さん 素敵よ ワンピース似合っているわ」
「祐子さんのワンピースも素敵よ おしゃれでいいわ」
若い二人が話していると 生ビールとおつまみが運ばれてきた
「では 若い二人にかんぱーい」
「まぁ 私は もう」
「あっ ごめん あのぉー 若い3人にかんぱーい」
神山はどうも普段の調子が出ないまま 乾杯をした
最初は世間話や先日のゴルフの話をしていたが神山がタイミングよく
「ねえ 涼子さん 同じ組の内野君がね 涼子さんにありがとうって」
涼子は内野の話が出た時に 顔を少し赤くした
洋子はその変化をしっかりと見ていたが祐子が
「わぁー 涼子さん どうしたの ねえ」
この言葉が引き金になり
「ええ 知らない間に 一生懸命応援をしていたんです
自宅に戻った時は 何も考えなかったんですが 日曜日になると
もう一度お逢いしたいと思っていました
それで きょう鈴やさんでお逢いできると思っていたんですが、、、」
「そうか 残念だったね 担当制にしているからなんだ」
「涼子さんね 私 内野君から相談されたのよ
ゴルフの時に応援してくれたけど 何か自分の中に恋が芽生えたようで
もう一度 涼子さんと会いたいって よかったわ」
「うん よかった そうしたら誠二ちゃんとデートをしなよ
誠二ちゃんも それで駄目なら 潔く諦めますって そう言ってたよ」
涼子は益々顔を赤くして 俯くと祐子が
「涼子さん 良かったわね 成功を祈って乾杯」
「おいおい 性交って まだ手も繋いでいないんだよ」
「もう 成功よ 嫌ねぇー 変態 ねぇー涼子さん」
神山を除いて女性達は大笑いして 楽しんだ
今夜の神山はどうしても 普段の調子が出なかったので
洋子や祐子と話をしないで我慢した
ビールを呑み終わりワインも進むと 神山が仕事の話をし始めた
「大変ね そんなに予算がきついなんて、、、」
「うん だからニーナ・ニーナのパリがGOLをもっと認めてくれないと」
「そうね でも筒井さんは動いてくれているんでしょ」
神山は周りの目があるので みんなにここからは
フランス語で話すように伝えると 3人とも頷いた
神山はフランス語なら周りの目を気にしないでいいだろうと
「だからパリニーナ・ニーナは御殿場店舗を認識しなければ駄目になるよ」
「なんで」
「だって デパートに入っている店舗と同様の店舗では
直ぐに飽きられてしまい 存続自体が難しくなるってことさ」
神山がワインを一口呑むと 丁度後ろに座っていた外人が立ち上がり
「その話は 本当か」
神山はびっくりして後ろを振り向くと 外人の正面には祥子が座っていて
こちらを見ると ニコニコして挨拶をした
神山は気を取り直して
「今の話は本当です 私はあなたの事を知らないが 事実を話しました」
外人は名刺を出して神山にお辞儀をした
神山も名刺を出すと外人は驚いて神山を見て
「あなたがアレックスの神山さんか 噂には聞いています
先ほどは驚かせて すみませんでした」
洋子も祥子の存在に気が付きお互いに お辞儀をしていた
神山は簡単な説明をした後に
「今夜は 楽しいパーティーをしているので 明日我が社の次長室に
是非来てください その時にまた説明をさせて頂きます」
「分かった 神山さん 予算はどの位見ればいいのか教えてください」
「箱を造るとなると最低でも3億は掛かります でも存続はします」
「3億か 分かった 私が出来るところまで頑張ります
存続を希望しているからね お願いします では明日」
「久保さん 10時にお願いしますね」
「はーい 筒井も伺います こちらこそお願いしますね」
神山は名刺をもう一度見直すと パリニーナ・ニーナの副社長と
印刷され その下には財務長とも印刷されていた
洋子や祐子 涼子が覗いて
「多分 財務関係の最高責任者って事でしょ これは」
「そうね 向こうでは 役職が日本のようにごちゃごちゃしていないから」
神山は名刺を仕舞うと 仕事の話は一切しないようにみんなに伝えた
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