2012年11月14日水曜日

Vol.858 紫陽花 -8-53



内野はAプラン(箱を1つしか借りれなかった場合)とBプラン
(箱を2つ借りて 真ん中の仕切りを排除した場合)を
分かり易く説明した 神山は予算のことを話すと 最初は頼りなさそうな
顔をしたが 洋子の顔を見て 頷いているのに勇気付けられ
神山を驚かすほどの説得力ある 説明をし終了した
「誠二ちゃん 凄いよ 完璧だ 僕は意地悪な質問をしたけれど
この位の質問は出てくるよ しかし大したものです」
佐藤部長も神山の質問に丁寧に答えた内野を褒めていた
「どうですか 洋子出資者は」
「はい 大変分かり易くくすぐられました 出資はOKです ふふふ」
「って事で 誠二ちゃん 大したものだ うん
では 2時から ここで建築を交えた本格的なシュミレーションをします
遅れないようにお願いしますね そうそう田辺ちゃんと山下ちゃんも
当然だけど 参加してね 午後はそちらにも質問するから」
「はい 分かりました」
「はい ありがとうございます では解散」

「洋子 ありがとう さあどこに行こうか」
「ねえ 築地はどうかしら」
「ははは また断られたりして でも電話をしてください」
洋子はクスクス笑いながらいせ丸に電話をすると神山にOKサインを出した
「良かったわ さあ行きましょう」
洋子と神山はタクシーで築地の寿司屋いせ丸に向かった
暖簾をくぐると女将が笑顔で迎えてくれて 奥座敷を案内してくれた
「洋子 内野君の相談って なんだったの」
「ええ 先日のゴルフでアレックスの篠原涼子さんが
ずっと応援をしてくれたんですって それで内野さんに恋に芽生えた
みたいなんですって だから自分で言えないから 私に聞いて欲しい
そういった内容よ」
「ふーん そうか 大変な役を仰せつかったね」
「でも 振られたら潔く諦めるって言っていたわ」
「うーん そうなんだ でも先ほどの彼は大したものだった うん」
「ふふふ あなたが意地悪な質問をしたでしょ」
「うん」
「彼ったら私の顔を見ているの だから頷いてのよ
そうしたら 私も驚いたわ ピンポイントでちゃんと説明できたし」
「そうか あの時は洋子の事を見ていたんだ 僕も驚いたよ
急にエンジンがかかって そのままエンストしないもんね」
「ええ だからきっと自分が頼りに出来る素敵な人が出来たら
きっと今まで以上の力を発揮するわよ 間違いないわ」
「そうだね うん じゃ篠原さんの件はお願いしますね」
「はーい 分かりました」
女将が気を利かせて 鮮魚のつまみとビールを運んでくると神山は
美味しいといって 良く箸が進んだ
「ねえ 祐子さんはどうしているのかしら ほら急に一人でしょ」
「うん大丈夫だよ 僕が心配しなくても 彼女は自分をちゃんと見ている
今日も多分 掃除が終わったら プールで泳いでいるよ」
「そうなの 私だったら そこまで出来るかしら」
「またまた そんな可愛い事言っちゃって」
「まあ 失礼な 可愛いですよ 幾つになっても もう」
丁度その時に 女将がネギトロの巻物を運んできたので日本酒を頼んだ
「大丈夫? まだ大切なお仕事があるのに」
「うん 大丈夫 多少呑んでいた方が ストレートに出るから ははは」
「まあ 知らないわよ 本当に」
「まあまあ ほら相手のことを考えるでしょ それを無くすのさ」
「ほんとは呑みたいんでしょ もう」
「うん 言えている 洋子も呑みなさい」
「えっー では少しね」
洋子と神山は日本酒を呑みながら お寿司を充分堪能し部屋に戻った

午後からのシュミレーションは 各ブース担当とグラフィックデザイナーの
田辺と見積もり関係の山下 建築設計の渡辺が同席し クライアントとして
神山と洋子が質問をする役になり 佐藤部長は後ろで見学をする事になった
「では 最初はアレックスのブースから初めましょう」
高橋は今朝の練習でも 上手にポイントを分かり易く説明していった
説明が一通り終わったところで神山や洋子の質問が始まった
「高橋さん ここの地下部分では私どもアレックスのカラーが
出ていないように 見受けられるのですが 経費はどうなっていますか」
「ええ 仰られるとおり このパースはあくまでもたたき台です
会社のカラーを出していくとなれば 調整をさせて頂きますが
具体的に どのようなご提案がございますか」
神山と洋子は高橋も上手に受けていると思い神山が
「ええ 例えばここの壁ですが この部分を我が社の基本カラー
ブルーとグリーンを使ってもらえると ブースからの導線がしっかりと





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