神山は作り付けのワードローブから世界で3着しかないスーツを出すと
ポールが懐かしそうに見ていて
「うん神山さんに似合う ぴったりだ そうだ 紳士も作るか ははは」
神山もこの冗談に笑って答えた
ニーナ・ニーナの面々が次長室から出ると神山達はビルの出口で見送った
次長室に戻ると神山は冷蔵庫から缶ビールを取り出し みなに配ると
「お疲れ様でした ニーナ・ニーナは予算の上乗せが出来
これからが時間との勝負です 頑張ってください いいですね 乾杯」
神山は心の底から嬉しかった
ある部分筒井に恩返しが出来た事 これでようやく自分が考えていた
子供と大人の調和 などなど もう予算を気にしないで
思い通りの仕事が出来る喜びが 嬉しかった
Gプロの佐藤部長も
「山ちゃん 凄い もう感激したよ よかった ありがとう」
「佐藤部長 漸く自分の仕事が出来るように整いました
後は 皆さんに徹夜をしてでも 仕上げてください お願いします」
「もう 頑張りますよ これだけ下地を作ってもらったんだ ねえ高橋君」
「ええ 山ちゃんの為にも 頑張るよ 任せて」
「考ちゃん 悪いけれど誠二ちゃんの応援体制をお願いね」
「うん 午後から準備して 明日から稼動します」
「では ニーナ・ニーナの打ち合わせ 解散でーす」
次長室に洋子と二人だけになると神山は ビールを呑みながら泣いていた
洋子が
「良かったですね 自分のお仕事が出来るようになって」
神山は何も言わずに頷くだけだった
GOLで何かを仕掛けたかったが なかなかデザインが出てこなかった
デザインが出来ても予算が足りなく 夢が砕けた
しかし今日の話で 描いていたグローバルプランが実現できるところまで
こぎつけた その喜びと 自分を支えてくれている人に恩返しが
出来る喜びを かみしめていた
神山の気持ちが落ち着いてきた時に携帯電話が鳴った
「はい 神山です」
「おお 山ちゃん わしじゃ」
「社長 どうされたんですか 急に」
「ははは 午前中はトップじゃ グロスでトップじゃ」
「はあ おめでとうございます 午後も頑張ってください」
「おお それからニーナ・ニーナ やったそうだなおめでとう」
「早いですね ははは」
「アルタで昇級だと言っていた」
「えっ あーあ 人気者は辛いなぁー」
「ははは それで昨夜は どうした 上手く行ったか」
「はぁ 残念ながら 次回です」
「ははは スーパーマンでも弱点はあるんだな 頑張れ」
「はい それで明日の鈴や食品さんの打ち合わせにはどうされますか?」
「うん 山ちゃんに任せた ははは ワシの出る幕はなしじゃ」
「お金は大丈夫ですか」
「うん 大丈夫だ 任せろ」
「はい お願いします」
「うん じゃ午後も頑張る」
「はい 頑張ってください」
「じゃ」
神山は電話を切ると洋子に
「参ったぁー 社長が午前のプレーでグロストップの話で その後
ニーナ・ニーナの件 そうそうアルタで僕の昇進だって」
「えっ アルタで昇進 凄いわね」
「その後が 昨夜はどうした って言われたから次回ですって答えると
そうしたらスーパーマンにも弱点はあるんだな ははは だよ もう」
洋子はクスクス笑って
「でも 良かったわね 筒井さんもアレックスJrも」
「それでね 明日の鈴や食品どうされますか って聞いたら
ワシの出る幕は無しじゃ 任せたって もう 困りましたね ははは」
「ねえ お食事はどうされますか」
「そうだ どこに行こうか いせ丸は避けよう」
神山は洋子にGプロに行くが直ぐに戻るといい部屋に入ると
「佐藤部長 今夜からフル稼働でお願いします」
そういうと現金100万円を渡し お辞儀をして戻った
「洋子 イタリアンレストラン スパにでも行こうか 久しぶりに」
洋子は頷くと早速予約を入れた
「キープ出来ました」
「洋子 白い封筒あるかな?」
洋子は引き出しから出すと神山に渡した
.