「実感が湧かないよ キスをされたわけじゃないしね」
「もう 私が一杯しているのにまだ不満なの」
話していると銀座に着き車をホテルの地下駐車場に止め
次長室に戻った
洋子が先程貰った包みを神山に渡すと
「ねえ 現金ね この頃分ってきたわ」
神山は2つの包みを開けると洋子が言ったようにひと包みが500万円で
1000万円入っていた
「洋子 これは僕が貰っていいのかな」
「勿論よ だってアイディア賞でしょ 大丈夫ですよ」
神山は頷くと銀行に行くと入金をして部屋に戻った
洋子が現金を無地の紙に丁寧に包んでいた
「どうしたの洋子」
「ええ 他を見習って包んでいるの まあ100万円は別としても
200万円や500万円は包んでおいた方が良いでしょ
何かの時にも」
「そうだね じゃあ僕のもお願いするかな」
「ええ ここに5千万円あるから これを持って行ってください」
神山は自分の引出しから5千万円をだして洋子に渡した
洋子は500万と300万 200万円の包みを作ってくれた
神山は包みの現金を鍵の掛かる上の引き出しに入れ包んでいない現金を
鍵が掛かる下の引出しに入れた
「さあ どこに行こうか」
「お蕎麦を食べたいわ 鎌倉で食べたでしょ 又食べたくなったわ」
「そうだね この頃食べていないな 2ヶ月前は社員食堂でよく食べたけど
今は全然食べていないもんな」
「じゃあ 久しぶりに行ってみる」
「いや 辞めておこう そうしたら あそこの角のお蕎麦屋にいこう」
神山達はまだ小雨が降っている中を表通りまで歩き蕎麦屋に入った
2階を案内されると座敷になっていて神山はまずビールを注文して
おつまみも注文した
「しかし由紀枝さんも驚いたでしょ あんなに一杯」
「うん だから昨日は素麺と缶詰だけの食事だったよ
素麺なんてこんなに食べられないって言っていたよ
そこで昨夜 野菜の缶詰があったら良いねって話になったんだ」
「そうよね 缶詰って 結構お肉が多いでしょ コンビーフにしたり
ハムだってそうだし ウィンナーの缶詰もあるでしょ
だから 野菜の缶詰が出来たら画期的ね」
「そうだね 働く人にとっては多少割高でも手間が省けるし助かるよ」
「そうよね」
二人はビールを呑みおつまみを食べるとざる蕎麦をたべた
「あ~美味しかった」
「そうよね 鎌倉と違うし美味しかったわ ご馳走様でした」
神山達が部屋に戻る頃には小雨が上がっていた
電話が鳴ったので洋子が出ると内藤社長からだった
「2番です 内藤社長から」
「はい 神山ですが こんにちわ 今朝は残念でした」
「ええ しかし桜川さんの言い分もわかりますし しかし平行線でした
そして 電話をしたのは山ちゃん 一戸建ての部屋を借りませんか」
「えっ 突然どうしたんですか」
「実はうちで設計管理をして建てたスタジオ兼事務所兼住居なんですが
先程売りに出されたんです で元々うちが管理をしている関係上
不動産屋から連絡がありまして山ちゃんに連絡をしたんです」
「場所は何処ですか?」
「ええ 赤坂の一等地ですよ 敷地1.2ヘクタール建物は2階建てですが
1階の天井が高いので外観は3階立てみたいですね」
「築何年ですか」
「ええ 3年ほどですが中は綺麗ですよ さっき見てきました
それに家具は高級品ばかりを集めていますし山ちゃんの好きなイタリアの
家具です 主賓室はアメリカシモンズの大きなベッドがそのまま利用でき
寝室も3つもあります どうですかこれから見に行きませんか」
「ええ 家賃は幾らになりますか」
「ええ そこですが 代々木を山ちゃんが借りる事にして貰うと
50万円から70万円で行きますよ」
「代々木がそのままだとどうでしょうか」
「ええ うちで福利厚生を使えないので100万円になりますね」
「分りました ではこれから伺います 住所を教えてください」
神山は住所をメモをし洋子に話をすると
「へぇ~1ヶ月100万円 凄い それに1.2ヘクタールって広いわ」
「一緒に見に行くか」
「ええ いくわ」
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