2012年4月7日土曜日

Vol.637 ゆり -8-41



「いいの でも私もまだまだ若い子に負けられないわ」
「そうよ洋子さん 頑張ってね」
「もう あなたもあと10年すると分るわよ」
すっかり身支度を整え神山達は部屋を出てレストランに行った
三人は昨夜と同じテーブルに案内されバイキングを楽しんだ
洋子と由紀枝は和食中心で神山が洋食中心のメニューだった
由紀枝は納豆が無いので不満だったが脂の乗った焼き魚に満足していた
神山はビールを注文して呑んでいると洋子が
「今日 車じゃないの」
「うん 洋子が居るうちは車は使わないよ 安心して」
三人ははおしゃべりをしながら楽しく朝食を終えると部屋に戻り洋子が
「どこに行くの」
「ほら あそこの強羅公園でお花を楽しもうと思っているよ」
「わぁ~ いいわ 伊豆と違ったお花が見られるわね」
「う~ん でも季節が季節だから似通っているかもね」
神山達は出かける用意をしたが洋子が悩んでいて
「どうしようかしら この荷物」
「宅配便なら明日届くよ フロントで出しておけば」
「そうね ダンボールを頂けばGパンやジャケットは小さくたためるし」
洋子は帰り仕度をして荷物を纏めると由紀枝が
「このHな下着は持っていかないの」
「えっ いいわよ 由紀枝さんが使えば ねっ」
「ほんとですか わぁ~貰っちゃった」
洋子はニコニコして由紀枝を見ていた
「さあ 仕度が出来たわ」
神山はモテリコのワンピースをきた二人を見て
「おいおい どこかのモデルと見間違えるよ 二人とも似合っているよ」
由紀枝と洋子は顔を見合わせてくすっと笑った
洋子たちがフロントに行くと店員達は驚きの眼差しで二人を見ていた

宅配の手続きを終ると強羅公園まで歩いてもすぐの距離で
洋子と由紀枝は仲良く並んで坂を下った
園内はさほど大きくは無いがそれでも充分に楽しめた
この時期は薔薇が見ごろで
「ねえ 神山さん 文学館と又 違った感じね」
「うん ここは小さくまとめられているね」
「素敵だわ 神山さん ありがと~」
由紀枝は神山に抱きつき頬にキスをした
洋子と由紀枝はデジカメで薔薇を撮影していた
神山たちは強羅公園を出ると強羅駅まで歩き彫刻の森美術館に行った
広大な敷地に現代美術の彫刻が競い合うように展示されていた
芝生の緑が眩しく青空の向こうには相模湾がかすかに見えた
三人と行き交う観光客たちは由紀枝と洋子をみて口々に
「素敵なお二人ね 親子かしら 美しいわね」
と女性が言っていた
爽やかな風がスカートを揺らしより美しくみせた
由紀枝もこの格好になるとおしとやかな女性に変身し言葉使いも
気を付けて話していた
三人はピカソ館を見終わり お腹が空いてきて時計を見ると
13時なので彫刻の森美術館でお昼を食べる事にした
「私 ここに来たいとずーっと思っていたんです
でも 近いようで結構遠いですよね
日帰りだとここに着いたら直ぐに帰らないといけなくて来れなかったわ」
「そうね 車じゃないと ちょっと不便ね」
「でも 今日は洋子さんと一緒だったから楽しかったですよ」
「ふふふ 神山さんも でしょ こら」
「ふふふ 分りました」
3人は食事が終るとタクシーで強羅駅まで戻って洋子と分かれた
「じゃあ 気を付けて帰ってね 明日も晴れそうだから良かったね」
「ええ ありがとうございます」
「洋子さん ありがとうございます またお会いしましょう」
「ええ 貴女と話をしていると元気になるわ ありがとう」
洋子は入電してきた電車に乗って由紀枝と神山に手を振っていた
発車時間が来ると由紀枝が手を振って挨拶をしていた

神山と由紀枝は見送ったあとに
「さあ そうしたら芦ノ湖にいって遊覧船で一周しようか」
「ふぁ~ 嬉しいわ」
二人は強羅駅からケーブルカーで早雲山駅までいきロープウェイに乗り換えた
大涌谷駅で降りて黒い温泉ゆで玉子を2つずつ食べた
硫黄の臭いが鼻を突き由紀枝はいやねと言いながらも
広大な景色を楽しんでいた
再びケーブルカーに乗ると地獄谷が眼下に迫り由紀枝は神山に抱きついた
姥子を過ぎると終点の桃源台駅に着いた





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