2012年4月1日日曜日

Vol.631 ゆり -8-41



神山が話した通りカメラマンが多くいて邪魔にならないように歩いた
由紀枝はこんなに多いカメラマンに驚き不思議な世界と感じた
東慶寺を出ると再び線路を渡り紫陽花寺に向った
「ねえ 神山さん 東慶寺でお花を撮影していた人は殆どプロですか?」
「う~ん どちらかと言うとアマだね どうして?」
「ええ みんな同じ花を撮影していたでしょ だから不思議なんですよ」
「そうか 由紀枝ね 例えば由紀枝の事を撮影しても僕が撮影するのと
洋子や亜矢子が撮影すのと違うと思うよ 要はその人がどのような
気持ちで接して表現していくかだと思うな」
「なるほど わかった ありがとうございます」
神山を真中に洋子と由紀枝が脇で神山の腕を組んで歩いていた
道を左に曲がると明月院まで観光客と一緒に歩いた
明月院総門手前の階段両脇には紫陽花が背丈ほど有り
由紀枝や洋子がその高さや株の多さに驚いていた
洋子がデジカメを出して神山と由紀枝を撮影すると
由紀枝が神山と洋子を撮影したり仲良く拝観できた
院内をひと回りすると由紀枝が
「神山さん お腹がすいてきた 何かほしいな」
神山が
「ここを出ると甘い物があるから我慢して あと3分だよ」

神山と由紀枝は朝食を食べて来なかったので神山も空いていた
明月院を出ると踏切を渡りあんみつ処でお腹を少し満たすと
浄智寺に行った 総門手前の緩やかな坂の両脇に
まだ早い蕾の紫陽花が咲いていて由紀枝と洋子はデジカメに納めていた
境内にも何箇所か撮影ポイントがあって二人は撮影をしていた
神山は時計を見ると11時30分を差していたので二人に
「では 駅まで戻って鎌倉で食事をしようよ」
先程食べた由紀枝と洋子が嬉しそうに手を叩いて喜んでいた
3人は有料駐車場まで戻り赤いポルシェに乗るとゆっくりと
鎌倉に向かい走った

鎌倉駅傍にある銀行の駐車場に車を止めると神山が
「洋子 すこしここで待っていてくれるかな ごめん」
洋子は尋ねたかったがあえて聞かないで
「ええ行ってらっしゃい」
そう言うと由紀枝が耳打ちして
「先日 宝くじが当って その換金です すぐに戻ります 済みません」
そう言い由紀枝は神山のあとを楽しそうに追い駆けて
追いつくと腕を組んで神山とニコニコ話をしていた
洋子は由紀枝に若さを見せ付けられ自分も頑張ろうと思った
暫くすると二人が腕を組んで仲良く出てくると神山が
「洋子も知らない美味しい所に案内するよ」
この時は洋子も素直に嬉しく思った
3人は再び赤いポルシェに乗ると長谷寺に向かい近くの有料駐車場に
止めると蕎麦屋に入った
洋子と由紀枝は神山の勧めでざる天ぷらを注文した
ビールと鶏肉のおつまみが出てきて3人で乾杯をした
お蕎麦と天ぷらが運ばれ由紀枝は食べると
「わぁ~ 美味しい 伊豆では無いわ 美味しい」
神山は由紀枝を微笑ましく眺めながら自分も箸を動かした
食べ終わると由紀枝が
「鎌倉はみんなこんな味するの?」
「う~ん お店で違うよ やっぱり 美味しかった?」
「ええ 満足しました~」
そう言うと由紀枝は神山の腕を両手で掴んだ
洋子も負け時と両手で掴み歩いた

神山達3人は長谷寺 光則寺 成就院 極楽寺を拝観し満足し
鎌倉文学館に入園すると由紀枝は
「わぁー 凄い薔薇 素敵だわぁー」
「ほんと 見事ね」
「ねえ 神山さん ここってね あの三島由紀夫の小説『春の雪』でも
描かれている所なんですよ 知っていた?」
「いや 初めて聞いたよ 由紀枝って 何でも知っているね」
「実は、、、種明かしは 先日PCで調べたの ふふふ」
「なんだ でも 旅行先のことを調べるって 大したものです」
「ほんと 嬉しいわー」
「そうよ 由紀枝さん 調べると色々と分かるし 楽しいわよね」
「ええ だから PCで予備知識を蓄えると 楽しさ倍増ー」
「そうか 由紀枝は凄いね 勉強家だ」
「それに 神山さんと一緒だから余計楽しいわ」
3人は薔薇の香りに包まれた庭園を写真を撮りながら満喫した
有料駐車場に戻ると由紀枝は洋子と後ろに乗り車を出した





.