2012年4月10日火曜日

Vol.640 ゆり -8-41



困ったよ あんなに頂いても」
「そう だったら 素麺と何か簡単なおつまみでいいわね」
「うん おつまみも缶詰が入っているよ」
「じゃあ 今夜はお素麺で質素な食事ね」

ガラスの美術館を出ると12時になっていたのでホテルに戻り
そのままイタリア料理を食べた
スパゲッティーとピザを一人前づつ注文してサラダを追加した
神山はビールを呑むとワインを注文して由紀枝と呑んだ
「あなた ここのカルボナーラは美味しいわ チーズが美味しいわ」
半分ずつ分け神山はピザを食べていたがパスタを食べると美味しく
「うん ここのホテルで一番美味しいね」
二人は顔を見合わせて笑った
食事を済ませると神山はカウンターで伝票にサインをして部屋に戻った
露天風呂に入ると雲が一段と厚くなり天候が怪しくなってきた
神山は由紀枝に
「雨が降ると車から出るのが億劫になるから ドライブをして
早めに御殿場へ戻ろうか」
「ええ 晴れていないと散歩もつまらないしね」
そう言い目の前の景色に満喫した二人は湯船を出て部屋に戻ると
さすがに由紀枝も疲れたのか
「ねえ 私も一緒に寝ていい?」
「うん こっちにおいで」

二人は裸のまま眠りについた
15時前のタイマーで二人は目を覚ますと身支度を済ませ部屋を出た
「ねえ 結局 部屋の真中にあったあのお風呂は利用しなかったわね」
「うん でもすごいね あんな総ガラス張りなんて
次回来た時に利用しよう」
「ほんと 全部見えるのって なんか変な気分ね でも楽しみね」
神山はフロントでカードキーを返し伝票にサインをした
精算金は勿論無料で自身驚いた
フロントが神山に
「神山様 先日 ステーキの件で大変ご迷惑をお掛けしたお詫びに
総支配人より言付かっております どうぞお納めください」
神山は包みを多分現金と考えて
「分りました 今後 美味しいステーキをお願いしますね」
「はい 畏まりました 本当に申し訳ございませんでした」
神山は包みをボストンバッグに入れるとホテルを出て赤いポルシェに乗った
「由紀枝 さっきのつつみの中味 なんだと思う」
「多分 現金ね 5百万円は有ると思うわ 赤沢でも以前あったもん
料理じゃなくてね 別だけど 支配人が用意してお客様に渡したわ」
「じゃあ あれは由紀枝のものだね」
「なんで 神山さんでしょ」
「だって ステーキが硬いと言ってシェフを呼んだのは元と言えば由紀枝さ」
「う~ん そうか まあ頂きましょうね」
そう言っていると神山は宮ノ下まで来てここから元箱根まで登ると
「あれっ 昨日来た所でしょ ここって」
「うん 良くおぼえていいるね ここから芦ノ湖の脇を抜けていくんだよ」
「でも 左ハンドルだから神山さんの顔しか見えないよ~」
由紀枝はほほに軽くキスをした
「由紀枝 ありがとう でもスピードを出している時は駄目だよ」
「は~い 分りました」
この時間になると小雨がぱらついてきてワイパーを動かした
ゆっくり走っていても雨だと景色も楽しめないのでスピードを上げた
乙女トンネルを抜けるとジグザグした道を一気に駆けおりた

御殿場市街地に入ると由紀枝のマンションは直ぐだった
車を駐車場に止めると傘をさし 荷物をエントランスに運ぶと
自動ドアを開けて荷物を全部中に入れた
神山は管理人室に行くと社長婦人が出てきて
「神山様 こんにちわ」
「実は 駐車場をもう一台分お借りしたいんですが」
「はい分りました ここは空いていますから 向こう側の駐車場は
誰も使っていませんから 大丈夫ですよ
それと 今度移られる所はこれから手配します」
「ありがとうございます お願いします」
神山は赤いポルシェを指示された所に動かし荷物を纏めていると
「神山さんこの台車を利用してください 終ったらここに置いてください」
「ありがとうございます お借りします」
神山は台車に荷物を丁寧に積み上げ更に由紀枝も持ったが
一回では済まなかったのでもう一回台車を利用して部屋に運んだ
由紀枝は神山が言っていたダンボールを開けると
「ぎゃあ~ もう なに こんなに一杯 ほんと食べられないわ」





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