2012年1月5日木曜日

Vol.544 ゆり -3-36



神山は電話を切ると代々木マンションの管理人室に電話をして
理由があってすぐに受け取れない事を話て承諾してもらった
神山は電話を切ると亜矢子に電話をした
「ごめんなさい 神山です 実は洋子さんの口座を確認したいんだ」
「はい 良いですよ」
神山は先程洋子に言われた口座番号を伝えた
「大丈夫ですよ ご安心下さい どうしたの」
「うん あの時呑んでいたから 確認さ」
「OKです ではお願いします」
神山は電話を切って ソファーに座るとタバコを吹かした
一息ついて時計を見ると11時半になっていたので店内には行かないで
早いが昼食を取る事にした
雨が止んで少し日が差して来て天気予報通り晴れる事を祈った
神山は携帯電話で杉田に電話をした
「はい こんにちわ 先輩」
「これから お昼にしようと思うが出られるかな」
「ええ 行きます どこですか?」 
神山は近くの中華料理店を言うと
「分りました 先に行っていてください すぐに行きます」
神山は中華料理店に入ると2階の窓の外から銀座通りが見える席に座って
「ビールと餃子を3人前とシュウマイを2人前お願いします」
ウエイトレスは頷いて厨房に注文してビールを先に持って来た
神山はグラスに注ぎ 一人で呑んでいると杉田と屋敷が
話しながらこちらに向ってくるのが見えた
お客さんが少ないので階段を上がってきた杉田は
「先輩 ご馳走様です」
そう言い二人は席についた 神山が二人のグラスにビールを注ぐと
「お疲れ様」
と言って乾杯をした
杉田がビールを2本追加してくれた
「どうだね 屋敷君 初めての中元装飾は」 
「ええ 楽しいですよ 杉田先輩に教えられていますが」
「それは良かった 奥村課長も喜ぶよ なあ翔」
「ええ 結構きちんとポイントを押さえているので安心です」
「いい後輩が出来たね」
「ええ こんなしっかりしているとすぐに追い越されますよ」
「まあ そんな事は無いと思うが 何しろ考えるより現場だ
考えるんだったら現場で考える これが鉄則だね」
「はい 分りました ありがとうございます」
注文したものが運ばれると神山は牛肉の入った野菜炒めを3人前と
マーボー豆腐2人前を頼んだ 
「何時もありがとうございます 助かりますよ」
「うん 僕も若い時はこうやって先輩にご馳走になったもんさ
上になると今度は下にこうやってご馳走する番だね」
「そうですね そのうちテツの下に部下が出来たら僕がご馳走ですね」
「うん そうだね だから頑張ってな」
「はい 分りました」
ビールが無くなったので杉田が2本追加をした
この頃よく気が付くようになったと思った
ここの餃子は美味しくてテイクアウトも出来人気のメニューだった
神山達3人もぺろりと食べてしまったので3人前追加をした
「先輩 実はこの8月に大幅な人事異動が予定されているんですよ」
「うん なぜ」
「ええ 外商の2部 個人客担当ですが売上が伸びないので
新しく新規顧客開発課が出来るんです そこの人数が40人ですよ
だから地方回りから移動したり店内から集めたり 既存顧客担当から
移動したりと 今準備中ですよ」
「そうか そこまで来ているか 実はニーナ・ニーナのオープンで
購買客層に変化が生じているんだ 今まで売れていない商品が
売れるようになったりしている だからこの際顧客の見直しも必要だな」
「そうですか 先日もニーナ・ニーナに行ったら
売れ行きは順調と言っていましたけどね 顧客層が変ったんですね」
「うん だから今までと同じ事をしていると 今までのお客さんは
それで良いだろうけど 新しいお客にどう訴求をするかだな
やはり デザインも考え直さないといけないかも知れないね」
「はい 分りました その事を年頭にデザインをします」
「逆に屋敷君だと 今までと拘り無く出来るからそういう意味では
新鮮で斬新なデザインが期待出来るんじゃないかな 
もっとも予算が絡んでいるからそこから見直しになるかな」
神山たち3人は鈴やの顧客層が変ろうとしている中で
販売そのものからの見直しを迫られていた

「先輩 ご馳走様でした 美味しかったです」
「まあ 僕にはこの様な事しか出来ないから」





.