「ごめんなさい 心配させて 向こうが悪いんだ こちらを全然
見ていなかったもん ごめん」
そう言って神山は直ぐにその小型車に追いつくと
後ろを良く見ろと手で合図をして追い越した
「でも 考えてみると あなたが言ったように悪いのは向こうね
しかし 3回転して立ち直ったのは凄い腕ね」
「うん 初めてだったよ 今までは2回転が最高だったかな」
「うん 普通の人だったら廻っている間に気絶ね」
「そうだね それでがしゃん だろ」
神山は雨にもかかわらず直線では200kmだし
「洋子 200出たぞ まだ踏み込みがある いいね」
「ほんと 全然平気ね ワイパーもしっかりしているしね」
「うん 視界が広くて気分が良いね タイヤも吸い付いているよ」
小田原で有料道路に入ってもスピードは落ちなかった
熱海に付いたのは約束の15分前だった
神山が熱海駅の周りを行ったり来たりしてレンターカーを
見つけると洋子が
「どうして レンタカーなの」
「うん 訳ありさ」
そう言い レンタカーを選んでいると貴婦人の4人乗りが
空車で有ったので割高だったが明日まで借りた
神山は自分の車に乗って洋子はそのレンタカーで追い駆け
先日利用したホテルの地下駐車場へ車をとめた
レンタカーで熱海駅に行くと 神山は携帯電話で亜矢子に
「神山ですが」
「私です 今 改札口を出ました」
「了解です 今すぐに行きます」
洋子が何かを言ったが聞こえなかった
駅前ロータリーに行くと亜矢子が待っていた 洋子が驚いて
「ふぁ~ 亜矢子さんと一緒だったの 教えてくれれば良いのに」
ドアを開けて亜矢子が
「まあ 洋子さんが一緒 楽しいわね」
洋子と亜矢子は車の外で話をし始めた 神山が
「ねえ ここはタクシーが来るから 後ろに入って 早くお願いします」
二人の女性は後ろに乗ると話を続けていた
神山は何も言わずに今日泊まる 伊豆多賀ホテル多賀をめざし運転した
時々バックミラーで二人の様子を確認するが双子の姉妹が
楽しくおしゃべりを楽しんでいるようだった
神山は右の山道に入って134号線から外れると高度を稼いだ
暫く走ると眼下に大海原が見えるところについた 2人は
「ふぁ~ 素敵なところ ねぇ 洋子さん」
「ええ いいわね 雨が降っていても素敵」
車の中から景色を楽しんだ
神山は尾根伝いに走ると 右手に富士山がうっすらと見えてきて
後ろの女性達ははしゃいでいた
神山は途中の売店で一旦車を止めて
「どう 雨でも素敵でしょ」
そう言い2人にビールを買って渡した
「ええ ドライバーがしっかりしているから安心よ ねぇ亜矢子さん」
「ええ 楽しいわ 洋子さんと一緒だと」
神山は少し休憩をした後 目的の伊豆多賀 ホテル多賀まで走った
大雨で景色がよくなく少しがっかりしている神山だったが
「いらっしゃいませ 大雨のなかお越し頂きましてありがとうございます」
フロント嬢のにこやかな顔を見て元気が出てきた
宿泊手続きを終えるとフロント嬢が手押し車で部屋まで案内してくれた
部屋に入ると 眼下に相模湾が見えて
「ふぁ~素敵なお部屋 亜矢子さんこっちに来て」
「ほんと 雨でなっかたもっと素敵でしょうね」
「ええ でも なんか風情があって好きですよ」
「あのなんとも言えない水平線の所に別な世界が有るみたいね」
「ええ 素敵だわ」
二人が満足してくれて良かったと神山は思っていた
フロント嬢が
「お食事はこのお部屋で頂く事が出来ますが どうされますか」
「ええ そうしようかな」
神山が答えると亜矢子が
「レストランで頂くわ ねぇ洋子さん」
「ええ その方が美味しいし レストランでお願いします」
フロント嬢が18時に用意をするといって出て行くと
神山は冷蔵庫からビールを出して2人にわたし
「では お疲れ様でした え~ これから仲良くしましょう」
「仲良くしないのは貴方でしょ ねぇ亜矢子さん」
「そうそう 私が言わなかったら こうなっていないでしょ」
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