2011年9月23日金曜日

Vol.440 薔薇 -5-30



神山はアレックスジャパンはやる気を出してきたかと感じたが
あえて指示を出さないで行動を慎むようにと
指示した内容のFAXをアレックスJrに送った
神山は御殿場アウトレット各ブースの大枠な位置付けや簡単な
デザインを考えスケッチを何枚も書いた
アレックスブース、ニーナ・ニーナブース、鈴や食品ブースと
書き上げていくが方向性が決まらなかった
3つのブースに共通性を持たせない方向だと何とか考えられたが
食品とファッションの優遇性をどこのレベルで考えるかで
全然デザインが変ってきた
神山は時間がない事で集中したがそれでも迷路にはまり込んだ

タバコを吹かしていると祥子から電話があった
「こんばんわ 私です」
「うん」
「今帰るとこです」
「うん こちらは仕事です」
「今 どこ?」
「上原の部屋だよ」
「行っていい?」
「うん 構わないよ 待ってます 少しおなかすいたから そこの
コンビニでおつまみ買ってきてくれる」
「は~い 分りました」
神山は時計を見ると23時を過ぎていた 両手を頭の後ろで組んで
一息していると祥子がやってきた
「ほんとよかったの? これでいいのかしら」
「うん ありがとう」
そう言って立ち上がると冷蔵庫からビールを出して祥子に渡し
「今 御殿場アウトレットの方向性や位置付けを考えていたのさ
少し迷路に入り込んでいたから来て貰って助かったよ」
「大変ね こんな時間まで」
「うん まあ ここの勝負でしょ だから24時間関係なく
仕事が出来る訳ですね」
「ねえ 今夜は遅くまで掛かるの」
神山はおつまみを食べながら
「う~ん 辞めるわ 今日は」
「そうしたら 私の部屋で呑みましょ」 
「うん そうだね」
神山はつまみを持って祥子の部屋に移動した
祥子が着替えてソファーにおつまみやビールをセットした
「ねぇ バーボンにする?」
「うん そうしよう」
祥子はバーボンのボトルを棚から取り出してテーブルに置いた
「祥子のお陰で助かっているよ」
「よかったわ 今日の昇進に乾杯」
神山と祥子は久しぶりにグラスを合わせ乾杯した
「ねえ まだ怒っている?」
「う~ん 今日も遅いしね 少しはね」
「うん そうね ごめんなさい」
「僕は今後 分らないよ 今日のようにここで仕事をしたり
次長室で仕事をしたり これからGプロジェクトが出来るから
よけいここに帰ってくる時間は分らなくなる それに会わせたように
祥子が遅ければすれ違いが起きるよね」
「そうね 私が何があっても早い時間にここに帰ってきて貴方を待つわけね」
「う~ん どうだろう 祥子だって縛られるのは嫌だろ」
「、、、」
「だったらこのようにピンポイントで会うしかないと思うよ」
「私 思うの 寂しいの だから今日みたいに外で食べるの」
「う~ん それと僕を待つとは違うと思うよ
本気で寂しかったら 何があっても待つんじゃない」
「そうかもしれないわね でも貴方が居ない時間を一人で待つのは辛いわ」
「それはお互い様じゃないかな お互いに仕事だもんね
立場を逆にしても同じでしょ ただ先日も言ったように
その場でごたごたしないようにするのがベターで 結局僕は
ずーっと待っていた訳でしょ その無駄を省けば時間は作れるでしょ」
「そうね これから気を付けます」
「うん そうして欲しい ぼくも今日はこうやって時間を作れたしね
最悪銀座で仕事をしようと思っているけれど ここで出来るから
帰ってきたわけさ」
「ありがとうございます 私もなるべく帰ってくるようにします」
「うん ところで明日は御殿場に行く 泊まりです 
2日のホテルオートモには間に合うように帰ってきますが」
「まあ 大変」
「うん 色々あるさ 片付けられる時に片付ける 時間がないからね」
「ねぇ 今夜はここに泊まってくれる?」
「うん そのつもりだよ」
「ふぁ~ うれしいわ」
祥子はようやく笑顔になった
神山と祥子は久しぶりに一緒にジャグジーを楽しみ交わった
「ふぁ~ 気持ちいいわ あなたとこうやって居られるの 幸せよ」
神山は少し疲れたので
「さあ 出よう 今日も大変だったので疲れたよ」
「そうね これからもっと忙しくなるでしょうね」
「しかし 体は一つだからね 上手に使ってケアしないとね」
神山と祥子はベッドに横たわり 再び交わった
祥子は交わったあとで
「ねぇ これから私頑張って時間作るからいつも一緒にいて」
「うん 会社の出来事を抱え込まなければ 一人で悩む事も無いしね」
「ええ だから一緒にいてね」
神山と祥子はそのまま抱きあって眠りについた






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