ベッドで筒井が弱々しく寝ていて 夫人が付き添っていた
「この度は 驚いている次第です 少ないですが受け取ってください」
「申し訳ございません 先ほど意識を取り戻したんですよ
今は眠っている状態です」
「あ~良かったですね 戻されたなら大丈夫ですよ ご安心下さい」
「ええ 久保さんや浜野さんが朝早くから来てくださって
意識が戻ったので帰られました 助かりました」
「そうなんですか でも良かったです」
話し声が聞こえたのか 筒井は目を覚まし
「やあ 山ちゃん 田所さん心配かけたね 済みません」
「ごめんなさい 声が大きすぎましたね」
「いやね 急にふぁ~として目がさめたらここでさ
本人はなにもわからないって事なんだ 午後から精密検査を
行うようになっているらしい まいったね」
「多分 心労ですよ 大丈夫ですよ 直ぐに現場復帰ですよ
休める時休んでください
それと昨日頂いたスーツで30日の辞令を頂きます」
筒井はにこやかな顔で
「そうか ありがとうございます あのスーツも山ちゃんに
来てもらえて喜んでいるよ きっと」
「ネクタイは田所さんと久保さんに選んで頂きました
勿論 ニーナ・ニーナさんですよ」
「そうか みて見たいな 明日抜け出そうかな」
奥さんがニコニコしていた顔をこわばらせて
「お願いしますから辞めてください これ以上嫌です」
「おう 分りました 山ちゃんが来てくれているんだ お茶 ほら」
「あっ 良いですよ すぐに帰ります
そのうちきちんと正装して本社に伺いますよ
早く良くなってください」
「うん わかった 山ちゃんありがとうございます」
「では 失礼致します お邪魔しました」
神山と洋子はお辞儀をして部屋を出た
「良かったわね」
「うん 精密検査次第だね 喜べるのは
ただ意識が戻ったから大丈夫だと思うよ」
「そうね」
「さあ次長室に戻ろう 今度は運転するよ」
「は~い 分りました」
二人は駐車場へ行って車に乗り込んだ
銀座の次長室まで20分くらい掛かった
車をホテルの地下駐車場に止めると次長室へ戻った
部屋に入ると神山は冷蔵庫からビールを出して洋子に渡し
ソファーで呑みながら 洋子に
「昨夜の東都食品の件だけど 見せてくれる」
洋子は昨夜ここでプリントした書類を神山に見せた
全てに目を通すと
「どう思う」
「ええ なんか酷いですね 会社をSEXする場所と
考えている役員が多くて 女性社員はそれをネタに恐喝とか
考えられない世界ですね」
「うん 性モラルがないのかな 崩れているのか」
「それで どうするんですか この会社を」
「うん 鈴や食品の傘下に出来ないかなと思っている」
「えっ鈴や食品の傘下」
「うん 会社全部じゃないよ 切り刻む だから部分的にだよ
向こうのAと言う部門があって業績が悪るかったら
お荷物でしょ そこを切り離して傘下にするわけ」
「う~ん 凄い事考えているのね」
「御殿場アウトレットに出店するのに何が足りないかと言うと
総合的に経験不足 一流が居ない これでは出店は無理だよ
そこで 選択肢として テナント募集形式にするか
鈴や食品の体質を変えるか これしかないんだ どう」
「ええ 貴方の考えているとおりよ もうそこまで考えているんだ」
「うん そこでしつこくステーキに拘ったが 例えばだよ
あれを御殿場でなくても食べられたら口コミで広がるだろ
先日の 地ビール作戦と一緒さ だから色々な組み合わせが出来るよう
こちらで用意している訳さ だから始まったばかりだよ
アレックスグループも見通しがついているしね 料理方法は
考えている アレックスジャパンはアルタの傘下にする」
「えっアレックスジャパンをアルタの傘下???」
「うん 御殿場アウトレットと平行して考えていろ」
「ねェ あなたの言う事は分るけど そこまで出来るかしら」
「うん 出来る 信じなければ信じないでいいよ
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