2011年9月24日土曜日

Vol.441 薔薇 -6-31



5月1日 金曜日 小雨
祥子が神山を何回も起こしているがなかなか起きないので
目覚まし時計を鳴らすと
「やあ おはよう 早いね」
「そう? もう7時30分よ 起きてください」
「そうか よく寝たな あ~あ このベットで起きるの久しぶりだな」
「ごめんなさい 今度 毎日ここで起きてね」
「まあ 毎日は無理としても出来る限りだね そのうちここへ
帰れない日もあるだろうし」
「そうね さあ早く起きてきて ご飯の準備が出来ました」
今朝はベーコンエッグとサラダ トーストといった簡単な物だった
祥子はここ2,3日買い物に行けなかったのでこれが精一杯の料理だった
「美味しそうだ 祥子 ビールが良いね これには」
祥子は冷蔵庫からビールを出して神山と自分のグラスに注いだ
「では 頂きます」
「ねえ 上原のブティックなんだけど」
「うん」
「今 ようやくアンケートを取れるようになったの そうしたら
お客さまの住所を調べると都内23区より 周りのお客様が多いの」
「いいことじゃないか」
「神奈川でも横浜や小田原といった遠いところから来て下さっているわ
あと大宮とか千葉とか 段々と輪が大きくなっているなって」
「うん どんどん広がればそれだけ顧客の数は確実に増えるからね」
「そうね 面白い現象で田所さんのスーツ 18万のが銀座では
月に1着程度なのにもう5着も売れてのよ なにか分らないわね」
「月に1着ペースが日に1着か これは銀座を見直さないと
いけない時期に来ているか 銀座の顧客が変化しているかだろう
そうすると 銀座で高くて売れなそうな商品がある程度
売れているということかな」
「ええ そうね 何故売れないのかなと言うのがちゃんと売れているわ」
「そうすると 顧客の購買意識に変化が起きている訳だ ★
いい事おしえてくれた ありがとう」
「だとすると 銀座のお店全体が安物売りをしているとか安物を
探しに来る人が多いとかに変ってきている訳」
「うん 断言は出来ないけど 可能性は高いね」
「やはり 企業イメージをあげていかなければいけないわよね」
「うん 難しいけど そうかな」
二人は楽しく朝食を食べた祥子が
「私 暫く休みを取っていなかったから 5、6日と連休を頂きました
だから4日の月曜日仕事が終ったら名古屋へ帰ります」
「そうすると 6日の水曜日に帰ってくるんだ」
「ええ 向こうでご飯は食べてきます だから遅くなるわ」
「うん わかった 暫く友子ちゃんに会っていないから喜ぶよ」
「ええ そうね」  
神山と祥子は綺麗に食べて後片付けを終ると
「今日は何処に行くの」
「ええ 青山の本社に出勤して銀座に行って分らないわ」
「浜野君はどう?」
「ええ だんだんと慣れてきたわ 安田さんもしっかり覚えているし
そうでないと私が困るけど」
「うん 良かったじゃないか」
神山は出掛ける仕度をするので祥子の部屋を出た

ボストンバックに着替えなどを詰め込み祥子の部屋をノックした
二人はエレベーターが上がってくるまでキスをした
上原のブティック前を前にした時
「工事中は大丈夫かしらと思っていたの 安心したわ」
今日は傘を差しているので腕を組めないが祥子はニコニコしていた
地下鉄で銀座へ向った 改札を出るとオフィスに向うサラリーマンで
溢れかえり冷房が効いていないこの時期はむっとした
部屋に着くと洋子が来ていなかったので コーヒーを自分で作ると
いい香りが部屋中に充満した
神山は今夜宿泊するホテルを内藤社長から貰った宿泊無料チケットで探し
伊豆多賀にホテル多賀という露天風呂がついている部屋が
有り 電話をし確認すると空き部屋があり大人3名で予約した
チケットの番号を確認すると全て無料で特別料理がついていて
ワインも1本無料で付いて来る 部屋はベッドと和式 
利用可能と案内され 細かい事を2,3確認して電話を切った
タバコを吹かしながら ソファーで昨夜書いた御殿場アウトレットの
スケッチを見直していた 段々とイメージが湧いてきて
ラフスケッチを何枚も書いていった
神山は一段落したので時計を見ると10時30分になっていた
洋子からの連絡がないので電話をしようとした時に部屋に入ってきた

「ごめんなさい 遅くなりました」





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