2011年9月10日土曜日

Vol.427 薔薇 -5-30



4月30日木曜日 快晴
神山は携帯電話の呼び出し音で起きた
時計はまだ7時になったばかりだった
「おはようございます 洋子です」
「やあ ありがとう もう直ぐ起きる所だった」 
「良かったですね ではこれだけです 会社で」
「うん ありがとう」
電話を切って冷蔵庫からビールを出しテラスに出てみた
爽やかな風が優しく躰をなで今日の昇進を祝っているように思えた
携帯電話が又なったので出てみると亜矢子だった
「朝早くからごめんなさい 亜矢子です」
「やあ おはよう」
「昨夜 電話したんだけど 出なかったから」
「うん 疲れたのか早く寝てしまった ごめんなさい」
「そう それで わかったわ 橘の事」 
「良かったじゃないか 理由は?」
「ええ 実は私への嫌がらせだったわ 酷いわね」
「なに それ」
「もう 以前になるんだけど 何回か彼から誘われていたの
だけど 私の好みじゃないし誘いに応じなかったの
で 私はお客さんと仲良く話をしたりしている物だからやきもちを
焼き それが原因だって言われたわ それで橘は厳重注意を受けたわ」
「しかし そんな事されても困るよな 酷い話だね」
「ええ 椿支配人もあきれていたわ ただ彼には5年程前に離婚しているの
そのあと彼女ができたけど 今年正月に分かれて それもあったみたい」
「困ったな 自分で蒔いた種なんだから亜矢子には関係ないのに」
「ええ これで解決したから 静かになると思うわ
また騒いだら 今度は首だって言っていたわ」
「よかったね」
「ごめんなさい 遅くなって おめでとうございます」
「えっ あっ ありがとうございます」
「頑張ってね それから宝くじのお金だけど こんどはちゃんと
一億五千万円 送るわ 私怖いわ」
「うん お願いします」
「近いうちに送金します」
「分りました それと亜矢子は合計4億だよね 今度は建てられるよ」
「ええ お話を待っています」
「うん では」

神山が電話を切るとドアホンが鳴っているので玄関に行くと
「おはようございます 起きた?」
祥子がモニターに写っていた
扉を開けて
「やあ おはよう 今日は早いね」
「ええ 昨夜は早めに切りげて帰って来ました お食事はまだでしょ」
「うん」
「だったら 今日は出来ているから食べていって」
「うん 10分位でいくよ」
「は~い 分りました 待っています」
神山はシャワーで髪と体を入念に洗い祥子の部屋に行った
和食が用意されていて
「美味しそうだね」
そう言い神山は冷蔵庫からビールを出して グラスを食卓に置き
祥子が座るのを待った 祥子が煮物を置いてテーブルに着くと
神山がグラスにビールを注ぎ乾杯をした
「おめでとうございます 頑張ってくださいね」
「うん ありがとう がんばるよ」
祥子は神山と久しぶりの朝食なので嬉しかった
一口食べては神山の顔をみてにこやかにしてまた箸を動かしていた
神山も久しぶりの家庭料理を有り難いと思って感謝していた
綺麗に食べ終わると神山と祥子は
「ご馳走様でした」
そう言い 席を立ち食器類をさげ神山はソファーに座ってお茶を飲んだ
TVをつけて見るとアレックス氏の来日とアレックスジャパンの事を
報道していた アルタや御殿場アウトレットの件は報道されなかった
神山は洋子に電話をしてアレックスジャパンの件を話をした
「ごめん 今日アルタに行くまでにアレックスジャパンの株や
売上など それに平行してアレックスJrの素行関係の記事を纏めてほしい」
「大丈夫ですよ ご安心下さい 出来ています」
「ありがとう さすがだ では会社で見せてもらうね」
神山の電話が終ると祥子がソファーに座って
「大変ね そこまでお仕事するわけ」
「うん こちらが仕事を優位に進めるには 相手を知らないとね」
「そうね 素晴らしいわね」
祥子は神山のほほに軽くキスをしてきた





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