2011年9月6日火曜日

Vol.423 薔薇 -4-29




神山は自分の携帯がけたたましく鳴っているので起きた
「済みません 亜矢子です」
「神山ですが」
「驚かないでね」
「又 宝くじ?」
「そうなの 今度は一等賞と前後賞が両方当ったの」
「えっ また 一等賞と前後賞 えっ、、、ほんと」
「ええ 二億円 私 会社にくる夕刊を調べたわ 本当よ」
「えっ なんで 、、、 何回も」
「それだけじゃないの あなたの分も一等賞と前後賞が当ったわ
前後賞は一つだけど 一億五千万円よ
これは今 知らせないと バチが当ると思って電話したの」
「えっ 一億五千万円、、、ぼくが、、、」
「そうよ 私は二回目だから 結構落ち着いて調べられたわ
だけど ふたりで 当るなんて信じられないわ」
「うん そうか、、、わかった そうしたら また電話する」
「ええ 待っています 夜 遅いほうがいいわ」
「了解」
神山は携帯をテーブルに置いてベッドに戻ると洋子が
「ねえ 一億五千万円とか二億円ってなに」
「うん 宝くじが当ったの」
「へぇ~ だれが」
「僕がさ」
「ふぁ~ 凄いじゃないの それが一億五千万円とか二億円なの」
「うん」
「ふぁ~ あなた大金持ちね 凄い~」
「うん 内緒だよ」
「ええ それで 幾らなの 当ったのって」
「一億五千万円」
「そうすると 二億円は?だれ」
「うん 知っている人だよ」
「う~ん わかっているわよ 亜矢子さんでしょ」
「えっ えっ なんで えっ」
「何で 慌てるの いいの この間 話している時 わかったもん
女の感ね これは 私 大丈夫ですよ ご安心下さい
ただ 私といる時は 私のもの いいわね」
洋子は神山のおちんちんを握り締めよじ挙げた
「わかったから辞めてくれ 痛い お願いします」
「ほんとよ 私 貴方に大切な物をあげたけど 後悔していないの
だって 素敵なひとと一緒にいられるんだったら いいわって
だから 後悔していないよ こんなにいい男いないもん
だから どこで女をつくっても私 自信あるから大丈夫ですよ」
「ごめんなさい」
「誤る事ではないでしょ きっと亜矢子さんも気が付いているはずよ」
「ごめん」
「もういいの 最初から私一人ではない事は覚悟していたから
一緒の時は私だけを考えてね でないと亜矢子さんだって
辛いだろうと思うわ」
「うん ありがとう」
「だからと言って 自分から探し出したら ただの助平親父よ
わかったぁ ほんと 結婚できないと思っていたし いいわ」
そう言い洋子は神山の胸で泣き出した
そのまま二人は横になったが洋子は泣き止まなかった
亜矢子が言ったように現実を見た悲しさがこみあげて来た時だった 
神山は洋子の髪を優しくなでて
「洋子 ずーっと 一緒じゃないか
会社で一緒 終ってからも一緒 一杯一緒じゃないか
洋子が泣いていると 寂しくなるよ」
「もう ばか ばか」
洋子は神山の胸にコブシを当て続けた 
洋子は自分を責め責めてももって行き場所がなく神山に当っていた
「ほら 笑ってごらん 泣いている洋子は嫌いだよ
笑顔の洋子が大好きなんだ」
洋子は涙でぐしゃぐしゃになった顔を作り笑いして
「こんな顔でもいいの」
「もちろん 素敵だよ」
神山は洋子と唇を合わせた
洋子はまた新しい涙が出てきたが 嬉しい涙だった
暫くすると洋子の気持ちが多少落ち着いたのか
「ねぇ お願いがあるの」
「うん なに」
「今度ね 亜矢子さんと一緒に旅行しましょ」
「うん わかった 時間をつくるけどなんで」
「うん 二人で貴方を監視する協定を作るの」





.