2011年9月3日土曜日

Vol.420 薔薇 -4-29



僕は会社を動かした事は一度もない しかし人を動かす事は出来る
僕が言っているのは会社形態じゃない 
内藤社長がアレックスジャパンの最高顧問になれば 
アレックスジャパンはアルタの傘下さ そう言う事さ」
「あっそうか そうよね 内藤社長が実権をとるんですもんね」
「うん たまたま僕は運が良くて重要人物と会っている訳さ
それって チャンスだろ 生かしていかなければただの遊びだよ
そのためには裏情報を集める事が大切なんだ」
「ねぇ 私 わかったけど あなたが何か大きすぎて
わからなくなったわ 私一人で大丈夫?」
「うん 大丈夫だよ こんな程度でOKさ あとは僕が料理するから」
「私 あなたと一緒にいられるかしら」
「うん 慣れれば大丈夫だよ」
神山は冷蔵庫からビールを2本出して洋子に渡しタバコを吹かした
洋子は神山がどこか遠い世界を見ているように見えてきた
「御殿場アウトレットは普通にお仕事をするんでしょ」
「うん さっきの組み合わせとかその他の業種の組み合わせ
こういった事を考えなければ廃れるだろうね」
「そうね」
「例えばだよ アレックスブティックを造りました
毎月 目玉商品が格安で出品します どうこれって」
「う~ん 普通でしょ」
「毎月買いに行く まあ 2,3ヶ月に一回 買いに行く?」
「う~ん どうでしょうね」
「そこで あのブティックに必ず行きたくなる方法 心理を考えるのさ
二つ三つ挙げると さっき言ったイベント
これは何処の店でも考えるんだ
僕は この方法でない 方法で例えばクッキーが出来る過程を
みせ出来立てを食べてもらうとか そういった異業種の組み合わせを
考えているんだよ」
「う~ん そうね あそこって美味しいわもありだし そうか」
「そうそう そうなんだよ ひとつの事を出し切ると後が廃れるんだ
だから組み合わせが絶対条件になってくる
僕が描いているのは アレックスグループブティックの真中を
くりぬいて 広場を造って そこにさっき行ったような異業種を
年2、3回或いは 4、5回のペースで替えていけば飽きが
来ないだろうと思う その下のレベルでイベントを開催していけば   
楽しくて面白くて 安いアレックス商品が買えるわけさ」
「すごいわ そう言うふうに考えられないわね普通 そうしたら
楽しくて又行って イベントを見るだけで良い訳でしょ
そうするとアレックスのネームバリューが上がる訳ですね」
「うん 僕はそのプラスアルファーの底辺を上げたいのさ」
「あっ そうか 素晴らしいわよ 私 幸せだわ」
「御殿場アウトレットには多分時計屋は出ないよ そこで
時計屋の宣伝もしながら アレックスで使うわけさ」
神山は次長室からスケッチブックを持ってきて簡単な絵を書いた
「凄いわね みんな喜ぶわ絶対ね」
「分ってくれた 僕がしたいこと」
「うん 凄くわかる わたしこの時間あなたと一緒って幸せよ
だって出来ない夢じゃないもの できるわ」
「楽しいだろ 考えているだけでも」
「ええ みえるわ うん ちゃんと見えている 大丈夫よ」
洋子はようやく神山の進めたい所に光が見えてきたし
これで心構えも出来て戦う準備が出来たと思った
「ふぁ~ わたしが独占している すごいな~」
「ありがとう だから洋子は焦らずに僕が指示してくれた事を
こなしてくれればいいよ 背伸びする事はないから」
「だけど 趣旨を聞かないと分らないままになり捗らないかも」
「御殿場アウトレットに関しては先ほどから言っている通り
だってその他は仕事ないじゃん」
「まあ ないわね」
「だから 食べて呑んで 自分の栄養にするのさ わかった」
「は~い 分りました それから昨夜報告しなかったのですが
AEXのカードが届きました こちらです」
洋子は神山に郵便物を手渡した
神山は開けてみると格好いいカードが現れた
「すごいわね 格好いいわね きらきらが」
「さあ このカードは何時使うかですね 殆ど使わないね
しかしこんなこと言うと洋子に怒られるから言わないよ」
「そうね 今の状況だと使わないわね」
「今年 洋子のクリスマスプレゼントが第一号かな その後は 来年の
ホワイトデー そんな所か」
「うん もう 私が心配してんのに 知らない」
「ほお 怒った顔も素敵だよ」






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