神山や女達も露天風呂で2回づつ昇天し疲れ果てた
あいにくの天気で髪の毛が雨に濡れてしまったのでシャンプーをした
神山が先に上がって座卓についていると女たちは化粧も落として
バスタオルを蒔いただけの格好で上がってきたが頭には同じ様に
タオルを巻いていてどちらが亜矢子か洋子か分りづらかった
二人も同じ格好で相手を見てみると鏡を見ているみたいで驚いた
神山が
「双子みたいだ 分らないよ」
洋子がわざと
「私は 亜矢子だけど分る」
「えっ 亜矢子? 声が洋子だよ また」
「ふふふ やっぱり声でわかっちゃうか」
「それは分るさ しかしそうやってタオルを巻いていると分らないね」
神山は冷蔵庫からビールを出してみんなで呑んでいると夕食の時間になり
「では レストランに行こう 今日は特別料理が出るらしい」
「何かしら 楽しみね」
3人は1階のレストランに着くとカウンターの女性が席を案内してくれた
席につく時に女同士が一緒に座って神山と対面した格好になった
神山はウエイトレスにビールを注文するとビールと先付けが直ぐに
用意され説明されたが神山はちんぷんかんぷんだった 神山が
「では 乾杯」
女性軍も元気よくグラスをぶつけ合っていた
前菜や吸い物を食べ終り刺身が出てきたところで神山はワインを注文すると
このホテルのお勧めで最高級のワインだといって置いていった
神山がワインをグラスに注ぎ改めて乾杯をした
下駄に盛り付けられた切り身と生き造りの船盛りの2品目が出てきた
「わぁ~ まだ動いているわ このお髭」
洋子が生きている伊勢えびの髭を触るとぴくぴく動かしていた
亜矢子も美味しいと言って洋子と明るく話しながら食べた
神山は
「周りがあるから少し静かに食べようよ ねっ」
はい と言って少しは静かになったが何しろ楽しそうだった
神山はこちらを観ている2人の男の目線を感じていた
そのテーブルは連れがいて 若かったが直ぐに夜の女と分るほど
キツイ化粧をしていた 静かと言うより暗い感じで食事をしていた
同じペースで出される料理だったが 特別料理がなかったので
スタンダードプランを選んだ客でこちらが楽しく美味しい物を
食べているので僻んでいるのだろうと思った
焼き物が出て来た時にはワインボトルが空いていたので
もう一本追加をし金額を聞いてみると二万円だと答えた 亜矢子が
「相場ですね ここのホテルって そんなに高くないわよ」
「美味しいけれど 食べきれるかしら」
また 女性軍は話し出し神山が注意した
牛肉も美味しかったがソースも美味しく3人はぺろりと平らげてしまった
よく食べて 楽しくおしゃべりしていると
ワインのボトルも空いてフルーツを食べた
女性軍はやはり甘い物は大好物と見えておなかが一杯でも綺麗に食べた
受付で伝票にサインをすると先ほどの4人も付いて来て
自販機がおいてあるところでビールを買おうとした時に
その4人組も一緒に入ってきて神山にいちゃもんを付けた
「おい 若いの静かに食べているのにうるせな ぎゃあぎゃあと
こちらは 4人ともまともに咽に通らなかったんだ
どうしてくれる 連れも楽しくないって不味くなったじゃねえか
えっ 若いの少しだせよ 口直しするからよ」
神山はこの男は虚勢を張っていると見抜いて
「お金もないし何もない」
「ばかやろー ワインなんか追加しただろ え~ だせよ」
神山がニコニコしていると 洋子と亜矢子は
手を胸にあて抱き合って見ているしかなかった
その時男が殴りかかってきた瞬間 神山は体を反らしてかわすと
今度は別のところを狙ってきたので腰を引いてかわした
「この野郎 しゃれた真似するんじゃねえ」
今度は神山の思うところにパンチが来たので柔道の一本背負いを決めた
男は3mくらい飛ばされ もう一人が心配になり助けに入った 男が
「悪かった 済みませんでした この通りです」
その場で土下座をして神山と女性達に謝った
神山は洋子の作った東都食品の資料に恐喝騒ぎが有ったのを思い出し
「君たちは東都食品だろ 社長に知れても良いのか
分っていたよ最初から どうする」
今度は神山が責める番になった
「仰られるように 東都食品の者です 済みませんでした
なんでもしますから会社だけには知らせないで下さい」
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