2011年8月23日火曜日

Vol.409 薔薇 -3-28


「ネクタイだから このスーツだとワイドカラーがいいかな」
以前の係長が寄って来て
「神山部長様先日は失礼しました」
神山はシャツに詳しい人間を呼んでもらった
直ぐに来て 神山はスーツをハンガーから出して見せた
2種類のシャツを選び 通常こちらを着られる方が多いと説明を受け
洋子と相談してもう一方のシャツを選んだ 2万円だった
まだ時間があったので 靴下を買いネクタイを選ぼうと思ったが
「柄があると可笑しいかな」
「そうね わたしは無いほうが好きだけど 当たり前になるし
いっそうの事 ニーナ・ニーナに行ってみましょうよ」
「うん」
ふたりはニーナ・ニーナのブティックでネクタイを探し始めた
丁度祥子が用事があって戻ってきたので聞いてみると
「確か無地ではなかった筈です」
祥子が合うネクタイを3本出してくれた
どれも個性が強かったが 洋子と祥子が同じ意見で決まった
3万円だったので清算をして 急いで部屋に戻ると
まだ3時30分だったので その場で着替え洋子に見てもらった
「どう」
「ええ 凄く素敵よ ポケットチーフがあるから待っていて」
洋子はクローゼットから自分のポケットチーフを出して
神山の胸に差した 着替え室に入って見てみると 
全てにバランスが取れていて可笑しくなかった
神山は着替え室の中でGパンスタイルに替え出ると
スーツや靴を整理してボストンバッグを持って仕度した
「これで 問題ないね」
「ええ 大丈夫ですよ ご安心下さい あとは片付けます」
「うん ありがとう 忘れ物はないな それと30日だけど
何時に出られる」
「ええ 9時30分でしょ 私は9時頃来ますよ」
「わかった ありがとう 電話します」
「はい 分りました 気を付けてね 行ってらっしゃい」
「うん」

神山は時計を見ると3時15分になっていた
地下の駐車場からフェアレディーZを出すと
ビルの前に洋子がいたので止ると
「これ忘れ物」
「なに?」
「お金 朝も さっきも使ったでしょ だから50万円入ってます」
「ありがとう 忘れていた では行ってきます」
「はい」
神山は静かに出し 銀座通りを走り首都高に入って
東名高速に入った 今日の東名は空いてたのでどんどんスピードがでた
あまり出しすぎると不味いと思って少し控えたが
それでも130は下がらなかった 小田原に出て真鶴にくると
燃料が心配になったので スタンドによってハイオクを
満タンにして貰った 下の道路はゆっくりと走り熱海についた
やはり早かった 1時間掛からなかった 屋根つきの駐車場を
見つけるのに苦労したが ホテルの駐車場を借りる事にした 
洋子が心配してくれているので電話をすると
「ありがとう さっき着いたよ 気持ちよかった
車はホテルの駐車場に入れた」
「良かったわ まだ新車だからいたずらは嫌ですもん
早かったわね 200出した?」
「出さないよ でもまだ踏み込めたよ 150くらいが安定しているね」
「そうでしょ あの車ってその位のスピードでも
アクセルコントロールが出来るし最高よね 帰りも気を付けてね」
「うん なるべく電話をする 今日はありがとう」
「は~い 分りました」
電話を切ると祥子に電話をした直ぐに出て
「私です 今日はありがとうございます でも車素敵ね」
「うん 仕事だよ 全て仕事です それとネクタイありがとう
早速次長室で着替え鏡を見たらよかったよ 田所さんも誉めていた
今は もう熱海に来ているんだ これから仕事です」
「熱海?」
「うん 御殿場とは違うけど まだハッキリしていないので
何もいえないけどね」
「明日は?」
「こちらでの話し合いがめど着けば早いし分らない」
「遅くなってもいいから 電話ください 寂しいわ」
「おいおい 分るけど こちらはいつも電話をしているよ」
「そうね ごめんなさい これから気を付けます」




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