2011年8月11日木曜日

Vol.397 薔薇 -2-27

洋子は食器を洗い終わると 食器棚を拭き始めたので手伝った
全ての食器がデパートで陳列されているように綺麗に並べられた
洋子は再びソファーに座り見渡すと
「ほんと素敵よ 綺麗なお部屋に出来たわね 素晴らしいわ」
神山は冷蔵庫から地ビールを出して洋子に渡した
「さあ 新しい部屋に乾杯だ」
「ええ おめでとうございます わたしもがんばるわ」
「うん 頼んだよ」
洋子は嬉しそうに地ビールを呑んだ
「洋子 今日買い物全部で 幾らぐらいだった」
「ええ 46万円使ったわ カードの保証金も一緒だけど」
「ありがとう そやって直ぐ出てくると」
「だって もう癖ね これは職業病でしょ」
二人は見詰め合ってわらった
「気が付かなかった もうこんな時間だ 何か食べにいこう」
神山は時計を見ると21時になろうとしていた
「そうね いいわよ 駅前寿司で」
「そうするか 車はここに置いといて 明日僕が会社に乗っていこう
そうすると 今夜はゴルフバッグはここに置き近いうちに移動 
洋子もそれで良いよね」
「ええ 大丈夫よ 当分使わないわ」
「近くにゴルフ練習場が在ればここでも良いけどね」
「探して置きます」
「ありがとう」
「洋子 気を悪くしないでほしいんだが この部屋の出入りは自由さ
しかし無断使用は控えてくれ お願いします 色々と大変だから」
「ええ 大丈夫よ 私がここを勝手に使って何か起きたら大変です」
「うん ありがとう そう言ってもらえると助かるよ 
それと 幾ら大事な商談相手もいれない ここは二人だけしか知らない
内藤社長は知っているが ほかは誰も知らない いいね」 
「はい 分りました 大丈夫ですよ ご安心下さい」
「そうしたら バッグ類を持って来よう」
神山と洋子は下に行ってバンからゴルフバッグを取り出し部屋へ
持って帰った
「そうか この中に肌着があるね」
「ええ だけど明日会社から持って帰ります」
「なんか便利そうだけど 不便だね」
「ここは 代々木ホテルと位置付けすれば 迷わないわよ」
「代々木ホテルか そうだね そうすると専用の浴衣が必要だね」
「ええ 時間を作って買いましょ」
「うん ではこのボストンは車だ ごめんなさいね 行ったり来たり」
「ええ 平気よ」
「今夜はこれで大丈夫かな」
神山は癖で部屋中を見渡し
「では 行きましょう」

神山と洋子はタクシーで上原の駅前寿司に行った
日曜日なので家族連れが多いが 奥の座敷は空いていた
女将がビールを持ってきてくれた
神山が洋子にビールをグラスに注ぎ
二人はようやく落ち着き洋子が
「内野さん 大丈夫なのかな心配ですね」
「でも 何も連絡が無いから大丈夫だよ」
「内野さんって 杉田君に似てませんか 純情で素朴な感じがしたわ」
「そう言われると なるほど似ているね 二人とも飾り気が無いからいいね」 
「あなた」
「うん」
「もう内野さん 私たちとゴルフしないわよきっと あなたが苛めたから」
「おいおい 遊んでくれないなきっと 洋子しかいないか相手は」
「そうね 二人で日本中のゴルフ場を廻るのも良いでしょうね」
「うん プラス1日でいいからね 3日の仕事だったら4日目にはゴルフ」
「ええ バッグも送れるし便利になってますから」
「これから 仕事の時はそうしよう」
神山と洋子はゴルフの話で盛り上がっていた 神山の携帯が鳴った
「はい神山ですが」
「高橋です こんばんわ」
「やあ 孝ちゃん 誠二君は大丈夫?」
「ええ あれから少し酷かったんですが 3時間くらい仮眠させて
帰ってきました 本当にご迷惑をお掛けしました すみませんでした」
「良かったですね 大事にならなくて」
「ええ ありがとうございます それで 山ちゃんの明日の予定は?」
「うん 9時にご挨拶に伺いますが」
「うん 夜は」
「う~ん 分らないな どうして?」
「ええ 誠二君がお詫びをしたいって言っているんです」
「ああ 気にないでって 言うとよけい気にするな 今は忙しいって
そう伝えて 時間が出来たら連絡するし これから毎日会うと思うよ」
「そうですね 分りました」
神山は電話を切ると洋子に
「誠二君が気にしていて お詫びをしたいんだって やさしい子だね」
「ええ 貴方に申し訳なくてどうにもならないのよ きっと」
「そうだね 杉田と一緒だ 彼も後3日で先輩になるんだね」
「ええ 美術の屋敷君も結構 純粋で好感が持てるわ 催事課には
ピッタリの性格だと思うわ 返事はしっかりしているし」
「それはいつ調べたの」
「だって そんな探偵じゃないからしつこく付回してた訳じゃないわよ
すれ違った時とかの感じよ」
「そうか 気をつけよう いつ誰に狙われているか分らない訳だ」
「そうよ 貴方位になると みんなが注目するでしょうね」
神山も誰かに狙われている話をされると怖くなった
「明日は 8時30分にでてアルタだったね 部屋はどうなんだろう
使えるのかな 何か聞いた今日」
「そう言えば 何も話が出なかったですね」
「わかった 孝ちゃんに聞いてみるね」
神山は携帯で高橋に電話をした
「孝ちゃん 神山です 何度も済みません」
「いえ」
「明日の次長室の件だけどどうなっていますか」
「ええ 多分早めに出勤と考え7時に田中君が行きます
済みませんでした 先ほど言わなくて」
「そうしたら 7時30分に変更してください お願いします」
「はい了解です」
洋子に
「明日 7時に待っているからと言われても早すぎるから
7時30分にしてもらった だからその時間にお願いします」
「そうね 電話の設定とかいろいろと聞かなければいけないし
大丈夫ですよ ご安心下さい」
洋子は笑顔で言った
「次長室も楽しみだね どんな風になっているか」
「ええ しかし工場で見た時と違うでしょうね」
「うん 工場は広いけど 普通は狭い所で使うものだからね
なんと言うか味が凝縮されたといったら言いか まあそんなとこです」
ふたりはゴルフをしたせいか よく食べよく呑んだ
「そうだ忘れていた 東都食品 関東で有名な一流企業だけど
何でもいい 調べてくれる?」
「なんでもいい?」
「うん 出来れば内情だ いいね」
「スキャンダルを含めてですか?」
「うん そのスキャンダルでその後どう動いているかとか」
「はい 分りました」
「それと アルタから出る時に 土地と言ってくれるかな」
「えっ 土地?ですか」
「うん 内藤社長に聞くタイミングが無くて だから忘れていると困るから」
「はい 出ときに 土地ですね」
洋子は分らないけど神山が何かで動き出していると感じていた
ただはっきりとしていないので私にいえないのだろうと思っていた
「さあ こんなところかな」
「私 食べ過ぎたわ おなか一杯」
「僕もだ これはゴルフだね 健康でいいね 来週からはというより
30日から動くね 楽しみだ」
神山は最後の『楽しみだ』を言った時はどこか違う世界を見て
言っていると洋子は感じ取った もう動いているこの人は
「では 本日は色々とありお疲れ様でした ありがとうね」
「わたしも楽しかったわ」
「あす早いから帰ろう 代々木ホテル駐車場7時でどう 一緒にいこう」
「分りました 待っているわね お願い」
「よし決まった では帰るか」
「はい」




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