「1打千円 男性はスクラッチ 田所さんは1Rハンデ4でどう?」
と聞いてきたので
「うん いいでしょう ねぇ 洋子さん」
「ええ 大丈夫です お願いします」
相談がまとまり4人はカートに乗せられたバッグからパターを取り出し
グリーン練習場でパッティングの練習を始めた
神山が夢で起きた事が現実になるかじっと構えたままでいた
しかしなにも起きずに仕方なく打つとカップそばまで転がった
カップまでのラインが見えるか夢のように見えるかグリーン上を
見つめていたが ラインは浮かんで来なかった
神山はなぜ寝てしまったんだろうと言う事とあの夢はなんなんだろう
と不安がっていた
練習に夢中になっていると洋子が
「あなた 大丈夫?」
「うん 平気だよ なんで?」
「だって さっきなにか そう魂が抜けたような力なくふっと
寝てしまったの だから病気かと思ったんだけど息をしているから
そのまんま寝かせておいた訳なの」
「うん 気持ちよく寝られ いい夢をみたよ」
洋子の表情は明るくなって
「そう 大丈夫ね 頑張りましょ」
二人はまた練習グリーンでパッティングの感覚を試した
時間が来てティーグランドに向かう時に高橋が
「山ちゃん さっき受付に聞いたら こんなにベストな天候は
まれで お客様たちは大当たりですだって
こうなったら ほんと良いスコアが出そうだね」
「うん なんかわくわくするね」
受付が言っているように 風がぜんぜん無い日は珍しく
月に数えるほどしかないコースコンディションだった
フェアウェイが広いわけではなく 風が吹くと難しいコースだった
特に南西からの風 北東からの風は強い時には4番手5番手
違う事もあるほど難しく攻略が出来ない
1Hで順番を決めた
順番は 洋子 神山 高橋 内野の順になった
1Hは400y Par4のストレートなレイアウトだった
洋子はドライバーを持ち軽く素振りをして構えた
女性特有の柔らかくてしなやかなスイングをして打ったボールは
フェアウェイ真中に運ばれ 残180yのところまで転がった
男性群が
「ナイスショット」
と誉めるとニコニコしてさがってきた
次は神山の順番でやはりドライバーを持ってティーグランドに立った
洋子と同じ様に2,3回素振りをして構えた
神山は7割程度の力で打つとまっすぐに飛んで行って残150yまで
転がっていった 後ろから
「ナイスショット」
と言われるとちょっことお辞儀して下がった 高橋が
「素晴らしいですね 山ちゃん」
「いや 頑張って」
高橋は激励されティーグランドに立った
ドライバーを数回振って構えた 力が入って左のラフに捕まった
残180yだった 戻ってきた高橋に神山が
「力んだでしょ」
「うん 力はいったよ 山ちゃんのあんなの見せられたから」
そう話していると最後の内野が左のラフに打ち込んでしまった残200y
コースを歩いていると風が無く気持ちよかった
内野のボールは余り深くは無かったが 木が邪魔して直接グリーンを
狙えなかった 5番アイアンで刻んだつもりが飛びすぎて
ガードバンカーに入ってしまった 2打終了 残30y
高橋の位置は比較的グリーンを狙いやすかったがそれでもグリーン真中は
無理で5番アイアンでフックをかけた 上手に掛かってフェアウェイ
真中に落ちて残30yにきた2打終了 フェアウェイ真中にある洋子が
スプーンで軽く打ってグリーンにオンしたがピンまで20yと
今ひとつだった 神山が7番アイアンで打つとピン手前8yにつけた
神山と洋子が2オン成功でパター勝負になった
高橋がピッチングで打つとボールはピンをこえスピンが効かずにグリーン
オーバーをしてしまった 内野もバンカーから出しただけでエッジに止った
結局このホールは神山がバディー洋子がパー高橋と内野がボギーとなった
2Hに向う時に洋子が
「凄く上手ね 力んでいないし」
「うん まだ分らないけど このクラブが本当にバランスがいいんだ
だってさっきのが初めてだよ 打ったの」
「えっ 初めてであんなに飛ぶの 凄いわ」
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