神山は駅前寿司屋を出ると別れ 上原のマンションに帰った
部屋に入るとボストンの中から洗濯物を取り出し洗濯機の中へ入れた
FAXを見るとアルタの田中から明日7時に次長室に伺いますと
書かれた物だった 受信時間が18時になっていたので
時間変更依頼をする前の物だと判断した
神山は23時を少し廻っているが祥子に電話をしたが出なかった
留守電に
【明日は早く出勤する為 朝食は不要です 今日はこれから寝ます】
とメッセージを残した
神山はシャワーを浴びて浴槽のジャグジーで疲れを取った
髪の毛を洗い流し浴室から出て冷蔵庫からビールを出し呑んだ
テーブルに置いた携帯が鳴ったので出てみると祥子からだった
「ごめんなさい 遅くなりまして 今 帰るところです
メッセージは聞きました」
「うん」
「それと昨日のショップの件 大変ありがとうございます
助かりました」
「それはそうと なんで直ぐに出られない?」
「ええ ごめんなさい なるべく気をつけているんですけど」
「明日 早いから今夜は寝ます」
「ごめんなさい ほんと では お休みなさい」
神山は電話を切るとタバコを吹かしビールを呑んでいると携帯が鳴った
「はい 神山ですが」
「亜矢子です 夜分にごめんなさい 実は相談があって電話したの いい」
「うん 大丈夫だよ」
「この間のお金だけど 何か良い使い道無いか考えたんです
それで病院の近くに私と同じ境遇の方たちの為に
老人ホームを作ってあげようかなって考えたんです」
「うん 良いけど 運営するに当って資格とかいるんでしょ」
「ええ 私は母と一緒に母屋で生活できれば良いわ
運営自体は信頼できる人に任せるわ」
「うん そうか そうすると 大きな建物を建てて
お母さんと一緒に暮らす部分と 老人ホームの部分と合体した
建物が良い訳なんだ」
「ええ そうすれば母も一人じゃないし 楽しく生活できると思うの
どうでしょう それともあのお金じゃ足りないかしら」
「わかった 調べるよ 今日は何時まで起きているの」
「ええ もう直ぐ仮眠です」
「う~ん そうしたら明日の夕方逢って泊まりは出来る?」
「うれし~ 出来ます」
「わかった 17時に熱海でどうですか」
「分りました うれしいわ~ 楽しみにしています」
「うん わかった その病院の名前を教えて」
「ええ ちょっとまってね 御殿場xxxxx病院よ」
「出来るだけ近い所に建てたいんだね」
「ええ」
「今のゴテンバ グランド インとは近いの」
「ええ そんなに遠くは無いわ そうそう今日いかれた
ゴルフ場の辺りよ」
「そうしたら 環境がいいね 空気が美味しかったよ」
「そうでしょ だから母をいい環境に移したいの
ごめんなさい 長話をして では明日17時にお待ちしています」
「はい では」
神山は祥子に電話をした
「はい 私です」
「神山ですが 遅くてごめん 実は今 急に決まった事だけど
明日仕事で出かけますで29日の夜帰ってきます」
「そう お仕事 何処?」
「御殿場方面さ 又電話します」
「はい 気を付けて お休みなさい」
神山は明日の仕度をしてベッドに入った
4月28日 火曜日
目覚まし時計のベルの音で神山は飛び起きた
シャワーで躰を引き締め ビールを持ってテラスに出た
今朝は快晴ではないが うっすらと日が差していた
タバコを吹かし雲の形を見ているとぼんやりと出来たが
今日 やっておかなければいけない事を頭に叩き込んだ
神山はまさかと思ったが昨夜干した赤いパンツを穿いて仕度をした
アルタから貰った支度金500万をカメラバッグからだし
ビトロのボストンに入れ部屋を見渡し後にした
一応祥子に携帯に
【神山です おはようございます これから行ってきます】
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