2011年8月18日木曜日

Vol.404 薔薇 -3-28


「さあ あなた綺麗になったでしょ」
「ありがとう 感謝しているよ」
神山は抱き寄せてキスをした 
「だめです 後輩が来ます」
「そうだね そうしたらコーヒーでも買って来ようかそこの自販機だけど」
「ええ コーヒーくらい出しても良いかな」
「じゃあ買ってくるよ」 
神山が出たとき人事の若い女性が2人で台車を押してきた
「ここの受話器で扉が開くよ」
そう言われ 後輩が受話器を取上げると田所が出たので
慌てて 人事のものですと言うと ドアが開いた
二人が台車を押しているので神山が手伝い部屋の中に入れた
「驚きました 突然先輩の声が聞こえたから 済みませんでした」
「いいのよ 悪いのは神山さんでしょ」
「ええ 受話器でドアが開くと言われたので まさかと思ったんですよ」
神山は
「じゃあ 買ってくる」
神山はほんの2,3分の所にある自販機で缶コーヒーを買い部屋に戻った
「はい これ飲んでいって」
神山はそう言って次長席に座り
鍵のついた引出しから5千円札2枚をだして
「少ないけど お駄賃 内緒だよ いいね」
「えっ~そんな 先輩頂いていいんですか」
「頂いていいわよ 内緒よ」
「ふぁ~ うれしいわ」
二人は笑顔で5千円札を握って幸せそうだった
神山と洋子は自分にもこんな時期があったな~と思い出していた
「先輩 このお部屋 誰が考えたんですか」
「神山さんよ どうして」
「ええ すごく格好いいんですよ だけど落ち着きますね
わたしもこんな感じのお部屋に住みたいなって思ったんです」
「私もです なんか圧倒されそうなんだけど バランスが取れていて
落ち着くって言うか 変な雰囲気ですね」
「洋子さん 3人目」
「そうですね」
神山と洋子は笑っていた 若い女の子達はコーヒーを飲み終わったので
「失礼しました 先輩 また用事があったら私を指名してくださいね」 
「はい」
「では 神山部長 ありがとうございました 失礼します」
女の子達が出て行くと静かになった
「やはりこの部屋は なにか特別な見る人の心が見えるようだね」
「ええ 面白いわね それはそうと4日は何処にしますか」
「近場だと 四季だけど 築地にしようか
銀座築地 寿司屋いせ丸で決定」
神山が電話しようとすると洋子が
「私がします 電話番号を教えてください」
神山が教えると9人で予約を入れ大丈夫だった
「洋子なぜ9人なの 8人だろ」
「いいのよ お楽しみって言うか アルタの小谷さんを呼ぶの」
「そうか それはいいや 話題が逸れて ありがとう
4日ってことは我々の部下になるんだ そうか まあ下を
繋いでおけば何かあったときは助かるでしょ」
「そうね 上より下ですね」
神山がソファーで寛いでいると洋子は自分のスーツを片付けたり
目の前を行ったり来たりしていた 
神山も何かやろうと思って立ち上がったが何も無いので洋子の
お尻を撫でると
「なにやっているの 私は忙しいのに もう」
そう言って神山の手をピシッと叩いた 結構本気だったので
「催事課で使っていたもの持ってくる」
そう言い退散した
神山は催事課の部屋に行き自分で使っていたデザイン用具を
ダンボールに詰め込んでいた 杉田が店内から戻ってきて
「先輩 いらっしゃいませ 先日はありがとうございます」
「うん ところで 上原ご苦労様でした」
「ああ もう先輩が帰った後大変でしたよ ここの1階はお客さんで
一杯になるし 僕なんて5時過ぎまで上原に居たんですよ
ほんと 疲れました だけどその夜 池上店長がご苦労様でしたで
この部屋で宴会でした 池上店長も歌なんか歌ってましたよ」
「そんなに喜んだか」
「ええ なにが嬉しかったのか 怖いくらい上機嫌でした」
「それで 日本酒を呑みすぎか 翔は」
「ええ 何で分るんですか 誰から聞いたんですか 僕がべろべろに
なって 足腰が立たなくなったって」




.