2011年4月26日火曜日

Vol.290 青葉 -7-21


「もしかして 女か?」
「はい アルタの社長夫人からです」
「おお 内藤さんの奥さんか 以前ゴルフを2,3回したが上手だ
それに 明るくて 楽しい人だ いい人に見込まれたな うん
スーパーマンはいい女が寄ってくるもんじゃ 洋子気をつけなさい」
「は~い 早く中を見て頂いて 知って欲しいですわ」 
「うん じゃあ 6時に」

二人は挨拶をして 部屋を出た
部屋の人間はようやく洋子と分り みなビックリしていた
洋子は少し笑みを浮かべ挨拶に来る同僚に挨拶していた
エレベーターに向かっていると 下の階にある本社経理部の係長が
箱から出てきた 洋子とすれ違っても分らず 人事に行き伝票を渡し
帰るかと思ったが そこで話し込んだ 女の子は仕事が出来なく
困っていたが なかなか帰らなかった 手のつけられない男だった
洋子はその係長の傍により
「何をしているの?」
「おっ 係長のお出ましか 綺麗になって 何も悪い事していませんよ」
「仕事の邪魔をしないで下さい」
「邪魔はしていませんよ 話しているだけですよ」
「それが邪魔をしている事でしょ」
「そんな 偉そうに」
「ええ 私は本日付で 部長です」
「うそいえ 聞いていないぞ 第一こんな時期に命課があるわけない」
見かねて 神山が
「私は神山です 現在部長です 田所さんは 本日部長になり
私も30日にここの次長になります この鈴やで働きたかったら
態度を改め 言葉を慎みなさい わかったか」
きょとんとしていたが 神山の噂は本社中に知れ渡っていると見え
「あなたが あの神山部長さんですか 大変失礼を致しました
以後気を付けますので お許しください お願いします」
「まあ この場は逃れても 後日同じ様な噂を聞いたら 左遷です
今の鈴やには あなたを働かせる余裕は無いはずです わかったか」
係長は深々とお辞儀をして出て行った

人事の女の子が寄ってきて お辞儀をした
「神山部長 ありがとうございます 助かります」 
「よかった 又 何か有ったら 洋子さんに連絡しなさい わかったね」
深々とお辞儀をして 席に戻ると 人事課の女の子が全員立ち上がり
「ありがとうございます」 
そう言い お辞儀をした
エレベーターに乗ると洋子が
「あの人は悪い人じゃないの 頭も良いし だけどああ言う態度をとるのね
上には媚びうって 部下や女性には見下すわね だけど効きましたよ
あなたは 何をしても凄いのね 頼もしいわ」
箱が1階に付いたとき 洋子が
「ねぇ 日産ギャラリーに行きましょうか?」
「うん パンフだけでも貰うか」
神山は言ってしまった
「こんな素敵な人だったら ずっと手を握りたいもんだ」
今度は洋子が耳を疑った こちらを観たのでウインクをした 
「そう言う気持ちだよ」

洋子は嬉しかった そんな思いで歩いていると日産ギャラリーについた
入った瞬間に神山の背中に電流が流れた そこに飾られていたのは
新車のフェアレディーZだった 曲線が綺麗でまさに『貴婦人』だった
洋子に
「これにする どうだい」
「私もこれにする」
「二人で乗るんだし ツーシートでいいと思う 運転しやすいし」
「ええ 馬力もあるし これなら充分だわ 戦略的にも」
洋子はそう言って神山の手を遠慮深くちょこんと握り
「ねえ 早速 西野さんにこのパンフを持って行きましょう」
善は急げでパンフを5冊貰って 本社に戻った
途中洋子と 3000ccで良いことや 色はオフホワイトでいい事などを
決めたとき お互い共通点あることを確認した
本社の西野理事に会いに行くと
「おう 洋子ちゃん 綺麗になった いい上司が出来て良かったな
ところで 車か 決まったか」
「はい この車です」
そう言い パンフレットをだして説明した
西野理事は説明がきちんとしていれば全然怖くなかった 話が出来た





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