2011年4月12日火曜日

Vol.276 青葉 -7-21


「そうね 必要ですものね」
洋子は自分の成果を見せびらかす訳ではないが
「車種はなんでもOKのお許しを 頂いたわ」
「えっ 何でもOK 凄いじゃない なんで 教えて ねぇ」
洋子は神山がアレックスグループと戦う事になると
現状より上のクラスにして欲しい旨を訴え聞いてもらった
「そうなの 神山さん喜ぶわね 初仕事おめでとう 応援するわ 
ではなくて 応援させて頂きます 部長」
「よろしい 120点」
二人は顔を見合わせ笑った
改めて副社長に会いたいと申し出て 副社長の部屋に入った
「社長 頑張りますので 神山ともどもお願いします」
「うん わかった 洋子君 内緒だぞ」
洋子はにこっと笑ってお辞儀をし
「神山は本日 色々な手続きやお願いがあってここに来ます
社長にご挨拶もしたいと申しております お時間のご都合は?」
「何時ごろ来る?」
「多分14時前後と思われますが」
「わかった めしは帰った後にする それとも一緒に行くか?」
「それが神山のスケジュールが詰まっていますのでお約束できません」
「わかった しかしもうりっぱな秘書だな うん待っている」
「ありがとうございます では 失礼いたします」
「うん」

洋子はお辞儀をして副社長室を出ると 秘書室に戻り
「ごめんね さっきの電話番号だけど」
「うん 聞いておいたわ 凄いわ 03-XXXX-2200 よ
こんないい番号って 理事でははじめてよ 凄いわ~神山さんって」
「そうでしょ 凄いでしょ 彼の力って底知れないわ」
「良かったわね 変な理事じゃなくて」
「だから ちょっかいしたら駄目ですよ 減俸です」
「は~い 分りました」
二人は笑った
洋子は急いで古巣の人事に行くと みんながおめでとうと言ってくれたが
「ごめんなさい 10時30分に上原に着かなければいけないので
ご挨拶は 改めて後で 神山と来ます」
洋子は神山のAEXカード発行手続きの手伝いをして欲しい旨を伝えると 
「分ったわ だって向こうで審査する時は理事ですもんね」
「そうなの それで この申込書を作って欲しいの
先方からの請求明細などは会社送付にしてね 次長室よ お願いね」
「はい分りました 部長」
洋子は時計を見ると10時になっていた 自分の荷物を持って
急いで車を探した 丁度 タクシーがきたので乗車して
運転手に行き先を告げた

タクシーが動き出すと さきほど交わした会話内容を記入した
それが終ると 備品類のリストに目を通し 漏れがないかチェックした
全て作業を終った時 外を見てみるとまだ4月の半ばなのに
みんな涼しそうな格好をして歩いていた
Tシャツも無地の白からイラストが入っているものまでカラフルだった
外を見ながらボケーっとしていると 上原の駅に付いた
昨夜渡されたチケットを渡し降りると 何も無く寿司屋があった
暫く歩いても見つからないので 携帯に電話すると
寿司屋で待つよう言われ待っていると 神山がにこにこしてきた
「やあ 時間どおりだね ありがとう」
「地図を貰えばよかったわ ごめんなさい 今 少し大丈夫ですか?」
「うん」
「車ですが 好きな車種を選んで頂いてOKです」
「へぇ~ 凄い 初仕事おめでとう」
「それから 直通の番号が決まりました 03-XXXX-2200です」
「へぇ~ それも凄い なんだか怖いな うまく行き過ぎて」
「副社長ですが 私たちが伺うまでお昼に行かないそうです」
「う~ん 困ったな ねぇ 副社長って 魚は好きだった」
「ええ 大好物よ」
「そうか よし ちょっと待っていて」
そう言うと 神山は目の前にある寿司屋に入っていった
「いらっしゃい あれ今日は早いですね もう少し待ってください」
「いや 後で来るけど しめ鯖は今から作って3時ごろは大丈夫かな?」
「大丈夫ですよ その位だったら後でこられた時にお出しできます」
「そうしたらさ そうだな しめ鯖を3人前くらい取っておいて」
「へい 今日は築地から逸品の鯖が入り朝から仕込んでいます
ちょっと待ってください」
そう言い 冷蔵庫に入っている鯖を捌き 切り身を神山に渡し
「どうぞ 試してください」





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