2011年4月21日木曜日

Vol.285 青葉 -7-21


「神山部長 これで間違いないでしょうか?」
「う~ん うん なし 120点」
洋子も人事事務の女の子もみな笑った

「では 印鑑を押してください ここと ここです
このカードは紛失時の保証が500万円まで付いています
それと物品汚破損保険が300万円まで付いています
年会費は10万円です」
「しかし凄いね わかった」
「はい こちらが控えですが 私が預かります」
「うん わかった」
「これでカードの件はOKで早くて1週間で秘書室に届きます
今後 会社関係のオフィシャルな郵送物は全て秘書課ではなく
秘書室に届き 配られます」
「うん わかった」
洋子が元気の無い神山を見て
「どうしたの 元気がないわ」
「うん こう短時間で自分の周りが変るので追いつかないんだ
カードの保証金額や活動費や 昨日までの僕の生活と全然違うだろ
だから 分っていても実感が湧かないんだ ごめんね」
「いいのよ それが 本当だと思うわ だけど 時間が出来たから
パリに市価調って言って行かれるんですよ これからは」
「うん わかった」
「元気だして」
そう言い人事部を出る時 カードの申し込み書を渡し
「間違いはないわ ありがとう ではお願いしますね」
今まで部下だった女の子に渡し本社を後にした

「そしたらニーナ・ニーナに行くよ」
「その前に 部屋に寄ってクーラーBOX置いてきたほうが」
「うん でも そうだ警備員のところに置いていく」
洋子と神山は店内に入りニーナ・ニーナに向かった
祥子が出迎え
「お待ちしていました こちらが神山様から伺ったスーツです」
洋子はビックリした 余り詳しくないが素人目でも最高級品と分った
「ブラウスは2点ご用意させて頂いています こちらがバッグで
ハイヒールはこちらででございます」
祥子は神山が依頼した全ての商品を丁寧に説明した 洋子は
「素人の私が見ても素敵です スーツの生地も肌触りがとても柔らかくて
気に入りましたわ」
「それでは ブラウスとスーツをご試着してください」
祥子は試着室を案内して 戻ってくると神山に
「素晴らしく均整のとれた方ですね 多分直さないで済みますよ」
祥子は廻りにみなが居るので気を使って話した 試着を終え出てくると
女優が出てきたと錯覚するくらい綺麗だった 祥子やスタッフも驚いた
「田所さん 素敵ですよ いや 綺麗だ」
「ほんと よくお似合いですよ イメージにピッタリです」
洋子は神山に 
「このスーツ 軽くて柔らかく 着やすいです 買って良いですか?」
「うん もらおう」
「では お直しが必要か確認しますね」
祥子が失礼しますと言って 上着をめくり腰のラインを確認した
「神山様 お直しする所ありません」
「田所さん そう言う事です 凄いですね パリのプロポーションです」
「神山様 今お召しのが50万です もう一着もお試しになられますか」
「うん 頼みます」
祥子は40万円のスーツを渡した 洋子はそれも試着した
「どうですか 神山さん」
「こちらのデザインも捨てがたいな ハイヒールを履くこと出来る?」
「ええ どうぞ」
そう言われ洋子はハイヒールを履き その場でくるりと廻った
「田所さん バッグを掛けてみて」
「はい 分りました」
洋子はバッグを肩に掛け ポーズを作った
ファッション誌から飛び出してきたようだった
「久保さん スーツは2点とも頂きます」
祥子は少しビックリしたが ありがとうございますと言った
「すべて直しがないならこのまま 着ていこう 初仕事です」
「はい 分りました」
洋子はこのままで行動するので バッグの中身を入れ替え 
着ていたスーツからもハンカチーフを着ているのにしまった
洋子は着ていたスーツを渡すと 祥子が預かった 洋子が
「お忙しい処 お手数をお掛けしますが これを本社人事課安井に
届けてください 分るようにしておきます お願いします





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